第325話 薬師と治癒師

「はい、ワンツー、ワンツー♪タッタターン、タッタターン、タッタータン♪はい、おしまい」


「ふぃ~、つっ、疲れた(汗)」


「おやおや、大商会の会長はダンスが苦手だったか(笑)


ナガクラ君なら貴族のパーティーに呼ばれたりするだろうに、そんなんじゃ笑われちゃうぞ」


「ナタリアさん、恐ろしい事を言わないで下さいよ、貴族のパーティーなんて断固拒否です!」



「貴族の誘いを平気で断れるのがナガクラ君だからねぇ(笑)ダンスをしたから喉が渇いたでしょ?特製のドリンクを持って来たから飲んでよ」


「ありがとうございま、、、す?!」


「さあさあ、グイッと♪」



ヤン先生が持って来たのは緑色のドロドロした液体だった


これは意識高い系の人が毎朝飲む感じのアレやな!



「ヤン先生、野菜のスムージーは喉を潤す飲み物ではないと思いますよ」


「「っ?!」」


「ナガクラ君、今このドリンクをスムージーと言ったよね、既に一般的に飲まれてる物なのかい?」



あぁ~、これはやっちゃった感じですね(汗)


ナタリアさんとヤン先生が驚いた顔で俺を見てるもの、スムージーはおそらく目の前の2人が考えて作った飲み物と予想する


そして、今まで誰も考え付かなかった画期的な飲み物って事なんだろうなぁ



「えっと、一般的に飲まれてると聞いた事はありませんね(汗)」


「でもナガクラ君はこのドリンクの事を知ってるんだよね?」


「ふぅ~ん、ナガクラ君とはゆっくりじっくりお酒でも飲みながら色々と話したいねぇ♪」



ヤバい!


ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!


これは何か上手い言い訳を考えないと帰してくれないパターンのやつや!






あっ


閃いた♪




「分かりました、薬草の知識について実は隠していた事があります。他言しないと約束してくれるなら話しても良いです。」


「勿論約束するけど、秘伝って事なら私もヤンも無理矢理聞く事まではしないよ」


「他言しないで貰えればそれで良いです。実はベラドンナ様と知り合いでして、酒を飲みながら色々と話す仲なんですよ


知ってますよね、ベラドンナ・ステッツェン様」


「確認だけど、かつて王都の治癒師ギルドに居たベラドンナ・ステッツェン様で間違いないよね?」


「そうです、今はベスと名乗っていて治癒師とは関係無い仕事をしてます。俺はたまたまベスと知り合って一緒に仕事をするようになったんで、まあ色々と話をする機会は多いですね


神殿の事とかアレやコレやの面倒な事とか、なのであまり詳しく話すとベスに迷惑がかかるようなかからないような、、、」


「なるほど、ベラドンナ様と親しいのならナガクラ君が薬草に詳しいのも納得だね。」




よし!


ヤン先生が良い感じに勘違いをしてくれたぜ(笑)


これ以上追究されると色々とボロが出そうだし、何処で神殿の奴等に知られるか分からん


俺の薬草の知識はベスから教えて貰ったという事にしておくのが良いだろう、キャラバンシティに帰ったらベスに頼んで口裏合わせて貰わないとな。




「そうか、ベラドンナ様は今も元気にしておられたか」


「ナタリアさんはもしかしてベスと知り合いなんですか?」


「知り合いというか、ベラドンナ様は私の師匠なんだよ」


「でもナタリアさんは薬師でベスは治癒師ですよね、師匠と弟子の関係にしては変な気がしますけど」


「師匠が治癒師なら弟子も同じ治癒師って考えるのが普通だろうね。


簡単に言うと、怪我人や病人を治療するのが治癒師、薬を作るのが薬師。


薬師は治癒師の助手をする事もあるから、治癒師に弟子入りする薬師も少なくは無いんだよ。」



へぇ~、薬師というのは元世界の薬剤師と看護師を一緒にしたみたいな感じだろうか



「ちなみにナタリアさん、神殿って面倒な組織だったりしますか?ベスの事もあるんで深入りするつもりは無いんですが」


「やっぱりそっちも知ってたのか、まあ面倒な組織なのは間違い無いけど神殿の領分を侵さない限り問題は起きないよ。万が一何かあっても素直に頭を下げて、寄付でもすれば収めてくれるはず


ベラドンナ様はそこを変えようとして何処かの馬鹿の機嫌を損ねて追い出された訳だけど、神殿に対して徹底抗戦するって言うなら色々とアドバイスはするよ♪」


「物騒な事を言わないで下さいよ(泣)金で解決するならそれで良いです!


非暴力、お金でマルッと解決、万々歳ですよ!」


「あはははは、池田屋商会くらいになるとお金でさっさと解決した方が損は少ないだろうからね♪」



「はい!ナガクラ君も気になる事は聞けたみたいだし、スムージーだったっけ?せっかくナタリアさんと考えて作ったんだから飲んで感想を聞かせてよ」




おぅふ(汗)


このまま飲まなくて良いかなと思ってたけどさすがに無理か


ただなぁ、匂いからしてガチのやつなんだよ



「ご主人様、これリンゴの甘さもあって美味しいです♪」


「そっ、それは良かったね」


「カスミさんは分かってるねぇ♪本当はハチミツを入れたかったんだけど、値段が高いから妥協案としてリンゴにしたんだよ」



さすがカスミ完飲してるよ、うさぎ耳獣人なだけあって野菜の苦味もへっちゃらだったか


でも、スミレも美味しそうに飲んでるから、見た目よりリンゴの割合が多いのかな?


ただし、ケイトはあからさまに嫌そうだけどな(笑)


しょうがないからケイトに諦めて一緒に飲もうとアイコンタクトをする


いざ!



「「せーの、グビッ!」」






つづく。

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