第324話 shall we dance?
「ヤン先生、薬師ギルドはここから遠いんですか?」
「遠いってほどじゃないけど、冒険者ギルドが街の海側にあるのに対して薬師ギルドは領主邸がある内陸側だから
ナガクラ君達にとっては来た道を戻る事になるかな」
「帰り道にあるなら楽で良いです♪そう言えば薬草の活用方法は見付かりましたか?」
「まだ試作中だけど今までよりは断然良いのが出来そうだから楽しみにしててよ♪」
「えぇーっと、俺はすこぶる健康なので誰か必要としている人にでも」
「ふっふっふっ、私はナガクラ君から貰った本で学んだんだよ♪今までは体に異常が出てから薬草を使っていたけど、それだと元のように健康になるには時間がかかる、それで閃いたんだ
健康を維持する方が簡単なんじゃないかってね!」
「おおっ、さすがヤン先生」
「だから健康なナガクラ君に是非試して欲しいんだよ」
「そう言う事なら責任を持って試させて貰います。」
「ありがとうナガクラ君、おっと!話に夢中になってたら薬師ギルドに着いたね」
「ここが薬師ギルド?」
ヤン先生に連れて来られて薬師ギルドに到着したはずだけど、俺の目の前にある建物は、、、
海の家だな!
こじんまりとした木造の建物は50センチくらいの高床になっていて
床と屋根はあるけど壁は無い、その代わりに日差しを遮る為のすだれっぽい物がかけられていて涼しげな雰囲気ではある
ゴザを敷いてちゃぶ台を置けば、ちょっと昔の海の家って感じがする。
受付に居る職員さんも、ビーチが似合う涼しげな服装をしているから尚更海の家感が増してるし
ここでトロピカルジュースとか寒天ゼリーを売れば凄く流行りそうだよ(笑)
「もしかしてナガクラ君は今驚いてるのかい?」
「そりゃあ驚きますよ、他のギルドと雰囲気が違い過ぎでしょ!」
「あははは、他と比べて薬師は人数が少ないからね、サウスビーチに居る薬師も5人だったかな?登録試験も王都のギルドに行かないといけないし
だからここのような支部の仕事と言えば薬草の群生地の情報を纏めるくらいだね。」
「へぇ~、ギルドによって色々と違うんですねぇ」
「まっ、そう言う事。とりあえず奥の椅子に座って待っててくれるかな、ギルマスに話してくるから」
さてと
ヤン先生が戻って来るまでにスキルの店で『M○E』を大量購入しておかないとな、ついでに日本のメーカーが作ってる普通のクラッカーとエナジーバーも購入しておこう
『MR○』って外国の戦闘糧食なだけあって、ひとつひとつが凄く大きくて
日本人ならスナックブレッド1枚でお腹いっぱいになるボリュームがあるから、気軽に食べられる小袋サイズもあった方が良いだろう
「こんにちは、ヤンから話を聞いたけど君が池田屋商会会長のナガクラ君だね?」
「はい、シン・ナガクラと申します。」
椅子に座って待っていた俺達の所にやって来て声をかけて来たのは、南国の街がとても似合うエキゾチックな顔の女性
ラテン音楽を聴かせたらすぐに踊り出しそうな雰囲気がある♪
「私はここのギルマスをしているナタリアだ、堅苦しいのは苦手だし私も平民だから敬語は無しでお願いしたいんだけど、良いかい?」
「俺も堅苦しいのは苦手なんで助かります。」
「ありがとう、それでナガクラ君が携帯食を売ってくれるって聞いたけど」
「携帯食と言うよりは保存食なんですけど、収納に入ってるんでとりあえず出しますね、よいしょっと」
テーブルに出したのは『MR○』に入っていたエナジーバー各種
アップルシナモン
ストロベリーシナモン
ラズベリーシナモン
ブルーベリーシナモン
ラ・フランスシナモン
どうやらエナジーバーはフルーツとシナモンの組み合わせが定番らしい
「へぇー、変わった包みに入ってるんだね」
「ええ、この包みを破らなければ100日くらいは腐らないようになっていて、詳しくは知らないんですけど何処かの種族の秘技らしいです。」
「100日?それは凄いね、池田屋商会の事は色々と噂で聞いてはいたけど、噂以上か」
うん、嘘は言って無い!
別の世界の技術って事を言い忘れただけで、嘘は言って無い!
とにかく『秘技』って言っておけば深く追究されないのは助かる(笑)
「他にもクッキーとか色々あって、どれも1個銀貨1枚くらいで買って欲しいんですけどどうですか?」
「それで構わない、あるだけ買うよ」
「即決ですね、味見せずに決めて良いんですか?」
「それだけ池田屋商会を信用してるって考えてくれたら嬉しい。それに100日も腐らない時点で大銀貨1枚出しても欲しいって奴はいくらでも居るだろうからね」
未だにこの国の保存食は、カッチカチのパンと塩辛いだけの塩漬け肉が主流だもんなぁ
快適な旅の為にはその程度の出費は安いって事なんだろう。
とりあえず『○RE』からヒートパックやらアクセサリーパックやら、食べ物以外の物を抜いて
30セットほどを取り出してテーブルに置いていく
「よいしょっと、値段は初回サービスで2割引きにしておきますね♪ついでに小袋もサービスしとくんで、支払いは振り込みでお願いしまーす。」
「ふふ、、あはははははは、ヤンのやつとんでもない商人を連れてきたなぁ(笑)
取り引き成立だナガクラ君!お祝いに踊ろうじゃないか♪」
「は?、、、え?!」
「行くよ、はい!ワンツー、ワンツー、背筋を伸ばして、ルンタッタ~、ルンタッタ~♪お連れの皆さんも一緒にルンタッタ~、ルンタッタ~♪」
うーむ
俺と初めて会う人は、だいたい頭を抱えるか爆笑するかのどっちかなんだけど、これは初めてのパターン
しかも俺はフォークダンスくらいしか知らないから、ナタリアさんの足を踏まないようにするので精一杯だよ(汗)
やはり南国とダンスというのはセットなのか?
でもまぁ、いつの間にかやって来たヤン先生と一緒に見よう見真似で踊ってる、カスミ、スミレ、ケイトが楽しそうだから良いか♪
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。