第319話 お詫びは大事 その2

『コンコンコン』


「入れ」


『ガチャ』


「失礼しまーす」


「何か忘れ物かセバス、、、シン殿?!そちらはケイトさんだったな」


「ゲオルグ様こんばんは、突然来てすいません、まだ仕事中でしたら失礼しますけど」


「問題無い、カニとエビ関連の進捗状況の報告書を読んでいただけだ、順調に行けばシン殿の滞在中にある程度の所まではいけそうだよ」


「それは楽しみです♪是非ともエビ籠は早急に完成させて欲しいですね、皆さんにエビ料理も振る舞いたいですから」


「ほぉほぉ、やはりエビ料理も幾つも種類があると見るが、如何だ?」


「そこは楽しみにしてて下さい。」


「ふはははははは、やはりシン殿と居ると退屈せんな!これは何がなんでもエビを捕って来て料理を振る舞って貰わねば」


「ご期待に応えられるように頑張ります!」


「うむ、それで2人でわざわざこんな時間にワシに会いに来たという事は何か相談でもあるのか?」


「いえいえ、ちょっとした報告と確認がありますけど、本題はコレなんで一緒にどうかなと」


「おおっ!やはりシン殿は分かっておるな♪」



収納から取り出したワインのボトルをゲオルグ様に見せたら凄く喜んでくれている


酒はエモンズ商会のタコヤーさんに頼んで、定期的にゲオルグ様に贈っているとはいえ


仕事終わりに毎日飲めるほどの量は無いからなぁ



「今日は酒のつまみとなる料理も色々持って来てますから、ある程度食べたい物のリクエストにも応えられると思います。」


「流石シン殿、抜かりは無いか♪はぁ、それに引き換え我が国の上級貴族の当主達は、この程度の気遣いも出来ん者ばかりなのだから嫌になるわ!」



ゲオルグ様には申し訳ないけど


上級貴族が気遣いを覚えたり、プライドを捨てて何かをするとかの知恵を付けられると、色々と面倒な事にしかならない


だから上級下級問わず、この国の貴族の皆さんには今まで通り自分達の家柄とか地位とか権力とか


その他なんやかんやに胡座をかいて、ふんぞり返って偉そうにしていて欲しいんだよ(笑)



「ゲオルグ様、とにかく乾杯しましょう!最初は何を飲みますか?」


「ダンナァ、あたしはビールが良い♪」


「あいよ~」


「シン殿、ビールとはまた新しい酒か?」



ありゃ?


そういえば、ゲオルグ様にはワインとウィスキーしか贈ってなかったか・・・



「そっ、そうですね(汗)ビールは未だにドワーフにしか売っていない酒で一般販売の予定もありませんけど、少量なら次回から贈りますね。さあさあ乾杯しましょう!」


『シュポッ、トクトクトクトクトク』



「ほぉ、見た目はエールに似ているが、ビールの方が透明度も高く綺麗な色だ♪」


「それでは、乾杯」


「「乾杯」」


「んぐんぐんぐ、ぷはぁっ、旨い!これはまたウィスキーとは全く違う趣(おもむ)きの酒だな、酒精もほどほどで誰でも気軽に飲めそうなのが良い♪」


「気に入って頂けたみたいで良かったです。」


「ダンナァ、つまみが欲しいんだけど」


「はいはい、今日はケイトが食べたい物なら何でも出してやるから、遠慮なく言ってくれ」


「やったぁー♪じゃあねぇ、豚カツにカレーライスのソースかけて欲しい」


「カレーライスのソース?あぁ、カレーのルウをかけるって事か、カレー気に入ったのか?」


「うん!ビールに絶対合う味だったから」



カレーは良いんだけど残念ながら出来立て熱々のカレーは俺の収納には無い


豚カツは沢山ストックがあるんだけだどなぁ


一応レトルトカレーならストックがあるけど温めなきゃいけないのがちょっと面倒だから


こっそりスキルの「店」のお弁当コーナーを見てカレーのルウだけ売ってないか探している


惣菜やお弁当は温かいまま出て来るという、創造神様の優しさ満載の仕様なんだ


ありがとう創造神様!



おっ!カレーのルウ発見


購入をポチッとな



「ケイトお待たせ、豚カツとカレーはまだまだあるから沢山食べてくれ、ゲオルグ様も良かったらどうぞ」


「今更シン殿のする事に驚きはせんが、こうも次々に新しい料理が出てくると呆れてしまうな」



ゲオルグ様、呆れるのはちょっと止めて欲しい


料理は俺が考えたんじゃなくて、元の世界の先人達が数千年の時をかけて考えた物だから、、、


ってそんな説明をする訳にもいかないんだよなぁ



「さあさあ、豚カツとカレーが冷める前にどうぞ」


「うむ、カレーを改めて見ると凄い色だが先ずはひと口、、もぐもぐもぐもぐ♪ここでビールを、んぐんぐんぐ、ぷはぁっ♪わはははははは、これはまた旨いな!」


「これはねぇ、豚カツのサクサクを楽しむのも良いんだけど、カレーに豚カツをズボッと浸したままにして衣にカレーが染み込むのを待って食べるのも美味しいんだぁ♪」


「それは本当かケイトさん!さっそくワシも豚カツをひと切れ浸しておこう♪」




あれ?


いつの間にかゲオルグ様とケイトが意気投合している


そういえば去年来た時も何故かガッチリと固い握手をしていたっけ


っていうかぼーっと2人のやり取りを見ている場合じゃない


今日はゲオルグ様に確認しなきゃいけないことがあるんだよ、酔っぱらう前にさっさと終わらせよう!






つづく。

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