第305話 タコヤー・K・エモンズ その2

何故か筋肉ムキムキのマッチョマンになっていたタコヤーさん、更にはマッチョ集団の親玉にもなっいるというおまけ付き


以前会った時から約2ヶ月、夏の間にタコヤーさんにいったい何が、、、




「いやぁ~、夏の間に色々ありまして気付いたらこんな感じになってました(笑)


私も友人達もすっかり見慣れてしまったのですが、久し振りに会うシンさんが驚くのも無理はありませんよ」


「えぇ、本当に驚きましたよ。それでタコヤーさん、夏の間に何があったんですか?」


「実は『海蜘蛛』に簀立ての網を破られてしまいまして、海蜘蛛が簀立てに近寄らないようにする為に、私も海で作業を手伝っていたらいつの間にかこんな感じに(笑)


他にも魚貝の人気が凄いんで簀立て漁を担当する商会の従業員も、見ての通りすっかり逞しくなりましたよ」



なるほど、マッチョ集団はエモンズ商会の従業員だったのか。簀立て漁は簀立てに入った魚を1匹ずつ網か手で直接捕まえなくてはならない


しかもデカい簀立てが10個もあるから自然と筋肉も付くんだろう



それにしてもですよ、簀立ての網を破った『海蜘蛛』って何?


めっちゃ怖いんですけど(汗)




「タコヤーさん海蜘蛛とはいったい」


「そうですねぇ、私も初めて見ましたしシンさんより海の生物に詳しい者が居ませんのでとりあえず『海蜘蛛』と呼んでいます。


ですがハサミがあったのでもしかしたら『海サソリ』の可能性もありますね」


「海サソリ?!もしかして魔物ですか?」


「幸いな事に魔物では無いようです。ですがハサミの力が強いので不用意に近付くと大怪我をするかもしれません


なんとなくサウスエビにも似てますから亜種という可能性も、シンさんに見て貰おうと捕まえて樽に閉じ込めてありますから、、、


夜はゲオルグ様の所に行くんですか?」


「簀立て漁を見てから行こうかと考えていた所です」


「では簀立て漁が終わったらゲオルグ様の所にお持ちしますよ、もし食べられるのなら是非私にも味見を!」


「ははは、勿論構いませんよ♪俺が知ってる種類である事を祈ってて下さい。ちなみに海老って捕れますか?」


「ほぉほぉ、その聞き方だとサウスエビでは無いんですね♪」



ふふっ、海老と聞いてタコヤーさんの表情が変わった、こういう所はやはり商人だなと思う


おそらく簀立て漁で捕れる魚の種類はあまり多く無いと思う。今はまだ良いかもしれないけど同じ種類ばかりではいずれ飽きてしまうからな


新たな儲けのチャンスだと考えているんだろう



「サウスエビより小さくて細い種類の海老で、サウスエビのように大きなハサミもありませんね」


「なるほど、海老と言う事であれば海の底に居るのでしょうから、簀立てを作った事で生息地を荒らしてしまった可能性がありますね


別の場所で海老が居ないかさっそく調査させます。」


「お願いしますね、俺の方でも海老の捕獲方法を調べておきますから」


「海老が捕れた暁には是非とも海老のフルコースを!では後ほどゲオルグ様の所で。

皆、行くぞ!」


「「「「「うぉーーーーー!!」」」」」



わぁお!


タコヤーさんの合図と共にマッチョな従業員の皆さんが、雄叫びをあげながら海に向かって走り出した


ちょっと待ちなさいよ


簀立て漁ってそんなに気合いを入れてする物だったか?


走り出したマッチョ達が3~4人のグループに別れて簀立てに入ると、魚が暴れているのか水しぶきが凄い


浜辺からは遠くて分かりにくいけど、簀立ての中に居る魚は50~80センチくらいはありそうだ


ビチビチ暴れる魚をマッチョ達が自慢の筋肉で抑え込み、輸送用の樽に次々と入れていく


マッチョと魚・・・


1ミリもテンションが上がらない組み合わせだな




おっと、忘れるところだったけど我が家のみんなの為に海老漁の方法を調べないと、こんな時はスキルの「店」頼りだ!


なんやかんやで最強のチートスキルだよなぁ


魔王を倒せる能力より、いつでも『イチゴのショートケーキ』が食べられる能力の方が断然楽しい人生が送れるよ(笑)



さてさて、スキルの「店」で購入した『伝統漁法』という本によると


海老漁は餌を入れた籠を海に沈めておくだけで良いらしい、色々なサイズを作ればカニも入りそうだし


細長い籠ならウナギやアナゴも入るんじゃね?



これはさっそくゲオルグ様に話して『籠』作って貰おう。上手く行けばエビフライがサウスビーチの新たな名物になる


去年来た時に商業ギルドで『魚のフライ』をレシピ登録したせいなのか、貝やサウスエビはフライに向かないと思われているっぽいんだよな


最初は『衣を付けて油で揚げる』という調理法を登録しようとしたら、登録する時に担当の職員さんから「意味が分からない」って言われて仕方なく『魚のフライ』で登録したんだ


あの時はまだ面倒くさい男のアルが商業ギルドのギルマスをしてたんだよなぁ、随分と昔の事のように思えるよ


魚のフライは屋台でも見かけて人気みたいだったし、エビフライも間違いなく人気が出るだろう


タコヤーさんにも会えたし簀立て漁も見れて満足したし


ゲオルグ様の所に


れっつらごー♪






つづく。

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