第303話 逃がした魚は大きい?

スミレの鼻が見つけた『ミンチ肉串』の屋台


これは新たなサウスビーチ名物と金儲けの予感がするから是非とも食べなければ!



「すいませーん、その肉串?6本下さい」


「はー、、い゛っ?!すすすすすすみません、今焼いてるので最後なんです(泣)」



なんと既に最後の2本だったか


やはり『ミンチ肉串』は人気商品なんだろう


だがしかし!


店員のお嬢さん、俺を見て涙目にならなくても良いでしょうよ(悲)


今は自衛隊の制服じゃなくて私服だけど、平民にしては身なりが良いから貴族の関係者くらいには思われて、無礼討ちされると思われているのかもしれない


これ以上店員のお嬢さんを刺激するのも悪いから



「あとは頼んだでカスミ」


「はい、お任せ下さい!」



同じ年齢くらいのカスミが相手なら多分大丈夫だろ、俺は少し離れて他の屋台でも見とくかな









「ご主人様、お待たせしました」


「ありがとうカスミ、幾らやった?」


「2本で銅貨1枚でした」


「安っ!もしかしてサービス価格?」


「ん~、多分違うと思います。小銭入れの袋からは銅貨5枚分の音しかしませんでしたから、毎日パン1~2個を買うのがやっとの生活じゃないでしょうか、割引き出来る余裕は無いと思います。」



わぁお!


細かい音の違いも聞き分けられるとは、さすがうさぎ耳のカスミやで♪


しかし銅貨5枚という事は串10本分やけど凄く美味しそうやのにえらい数が少ないな、試作品を試しに売ってたんかな?



「とにかく6等分して食べようか、、、いただきまーす」


「「「「「いただきまーす♪」」」」」




あーんっと、、、旨っ!


フワフワ食感で肉汁がジュワッと出て来て、めっちゃ旨い焼き鳥屋の『つくね串』みたいやな


一味唐辛子と生卵と冷酒が欲しくなる味やん♪


上にかかってる黒いタレも少し苦いけど旨味もあって、おそらく魚醤に色々混ぜて熟成させた物やと思うけど、ええ仕事してるで



『つくね串』って全部手作業で作ろうとしたらめちゃめちゃ手間と時間がかかるはず。


さっきの店員さんがフードプロセッサーみたいな道具を持ってるとは考えられへんから


相当な苦労の末の1品なのは間違い無い!



「おにいちゃん、この肉串作った人は凄いよ!」



どうやらメリルも俺と同じ考えのようだ、こんなに丁寧な仕事をする人材は是非とも確保しなければ!



「よし、さっきの店員さんに話を聞こう」


「えっと、ダンナにお嬢、残念だけどさっきの子はもう屋台を片付けて帰っちゃったよ」


「なんだと?!」



確かにさっきまで屋台のあった場所は綺麗に片付いて何も無い、焚き火もあったのにそれも綺麗に掃除して帰ったみたいだ


最後まで丁寧な仕事をして行くとは、益々欲しい人材だから残念だなぁ



「ねぇおにいちゃん、あの子また明日もここに屋台出しに来るんじゃないかな?」


「それだ!キャラバンシティに帰るまでは毎日見に来よう」


「うん、優秀な人材は何人居ても良いからね♪」




『つくね串』なら俺のおでん屋で出しても良いし『お食事処リリー』でも良い


なんて言ったって酒に合う料理はオリビエさんやドワーフの皆さんが喜んでバクバク食べるから、いくらあっても困る事など無い!


こんなに美味しい『つくね串』を作れるなら居酒屋を1軒任せても良いくらいだ♪


少なくとも屋台通りの端っこで細々と営業させておくなんて勿体無さ過ぎる、一応商業ギルドに登録してないか確かめておくべきだな


もし登録してなくても子供が店員をしている食べ物の屋台は珍しいだろうから、あの子の事を知ってる奴も居るだろう




「主様、今の季節ならそろそろ潮が引く時間ですので浜辺で簀立て漁が行われるのではないでしょうか、タコヤー殿と会えるかもしれませんがいかがしますか?」


「もうそんな時間か?って季節によって引き潮の時間が違うってよく知ってるな、せっかくだから簀立ての様子を見てからゲオルグ様の所に行くか


浜辺に向かって、れっつらごー♪」


「「「「「おー♪」」」」」






つづく。


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