第302話 サウスビーチ
約1年振りのサウスビーチに無事到着♪
保守派の重鎮、ゲオルグ・サダルスウド侯爵が治めるサウスビーチは
キャラバンシティから南に140~150キロ来た所にある海沿いの街で、キャラバンシティは秋だったのにここはまだまだ暑く
夏休みがまた来た感じがして得した気分だから、時間があれば海水浴やビーチでスイカ割りをしたい所だ♪
毎回街に入る時はドキドキするのだが、サウスビーチだとさすがに池田屋商会の名前は周知徹底されているらしく、門兵にギルドカードを見せたらすんなり通過出来た
ただし、門兵の人が憧れの有名人に会えた時のようにキラキラした目で俺達を見て来るのには参ったよ
ゲオルグ様は兵士の皆さんに俺達の事をどういう風に説明しているんだか。
「ヤン先生とはここでお別れですね、良ければゲオルグ様に紹介しますよ?その方がサウスビーチ周辺にある薬草の情報も得られるでしょうから」
「いいから、いいから(汗)気遣いは嬉しいけど君のように平民が侯爵様に気軽に会いに行くとか普通はしないからね!」
「まあ無理にとは言いませんよ、ヤン先生はこれから薬草探しですか?」
「その予定だったんだけど、ナガクラ君に教えて貰った薬膳料理とか栄養の事を考えてたら、私がやるべきなのは薬草の活用方法を探す事なんじゃないかって思うんだよ」
「薬師の仕事は全く分からないんで頑張って下さいとしか言えませんが、俺達は4~5日滞在してからキャラバンシティに帰る予定なので、タイミングが合えば帰りも送りますよ」
「それは助かる♪途中の宿代が浮けばその分を他に使えるからね。私は薬師ギルド直営の宿に泊まるから何かあればギルドに連絡してくれたら良いよ
私からの連絡も薬師ギルドを通してするから覚えておいて。短い間だったけど私の人生で1番濃厚な時間だったのは間違い無いよ!」
「そんな大袈裟な(笑)それじゃあ次は4~5日後に会いましょう」
「うん、お連れの皆さんも元気でね」
「「「「「さようなら~♪」」」」」
「ばいばーい♪」
この国で女性の1人旅はマジで危険なのにヤン先生は逞しいなぁ、俺もこの世界に来た当初は自由気ままな1人旅が出来るんだと心踊らせてたけど、今じゃ恐ろしくて絶対に1人旅なんて無理だよ
ヤン先生みたいな素敵な女性は男女問わず惚れる奴は多いんだろうなぁ、俺はギリギリ惚れなかったけどな!
さてと
ゲオルグ様に会いに、、、
行く前にスミレが鼻をくんくんさせて落ち着かないって事は♪
「スミレ、なんかええ匂いしてんの?」
「うん♪あっちー!」
「よっしゃ!せっかくやし街を軽く見てからゲオルグ様の所に行くか、ほんならええ匂いのする方に、れっつらごー♪」
「「「「「おー♪」」」」」
スンスン、スンスン♪
スミレの案内によってやって来た場所はいわゆる屋台通りだ。
道の両脇に食べ物の屋台がズラッと並んでいて、俺達と同じように香ばしい良い匂いに釣られてやって来た人々でとても賑わっている
サウスビーチも他の街と同じように食材を焼いただけの店がほとんどなのだが、近くに海があるから魚貝を焼いてる店があるのは良いね♪
海で捕まえてから直で持って来て焼いてるだろうから、海水の塩分だけで充分美味しいだろう。その証拠に大行列が出来ているからな
去年来た時に『魚の三枚下ろし』をレシピ登録した甲斐もあって、大きい魚はちゃんと三枚に下ろされて焼かれている。まぁ相変わらず小さい魚は内臓だけ取って丸焼きだけどな(笑)
スープには同じく去年レシピ登録したカマボコっぽい物や、つみれっぽい物が入っている
そして最近行商人達の間で手軽に食べられると人気のサウスビーチ名物
エモンズ商会の『サバサンド』
最初はパンに焼いたサバを挟んだだけのシンプルな物だったけど、色々とトッピング出来るようになっているみたいだ
1年でこの街も色々と変わったんだなと思うと、ちょっとだけ心の汗が染み出してきそうだったよ。
だがしかし
そういう美味しそうな屋台を華麗にスルーしたスミレが立ち止まったのは、屋台通りの1番端っこで更に木の影に隠れてしまって見えにくい場所にある1つの屋台
はっきり言ってハズレの場所だろう。
ついでに屋台も他と比べてかなり小さいというか粗末というか、店員もガリガリに痩せた7~10歳くらいの女の子だし
おおかたこの屋台通りを仕切ってる奴にハズレの場所を押し付けられたって感じだろうな、場所を貰えただけラッキーと言えなくもないけど
しかし
この子供が売ってる物が気になるじゃあないか!
魚なのか豚なのか、とにかくミンチ状の何かの肉を串に付けて焚き火で焼いているのは
つみれ?
つくね?
遠火でじっくり焼かれている『ミンチ肉串』は良い感じに肉汁がジュワジュワしていてとても旨そうだ♪
これは串に刺したハンバーグという可能性も出て来たけれど、新たなサウスビーチ名物の予感がする
そして金儲けの予感もしまっせ♪
つづく。
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