第288話 暗躍のお時間です♪
セルジオのとっつぁんにお願いして夕食に作って貰った豆板醤を使用した特製の『牛鍋』はステフ様にも大好評で
〆(しめ)のうどんを食べ終えるまで無言だったくらいだ(笑)
その代わり様子を見に来たセルジオのとっつぁんと、配膳担当のメイドさん達の熱い視線に耐えられず
ヤン先生に貰った豆板醤と、俺の収納に入っていたうどんを全部渡す事になってしまった(悲)
うどんはウチの商会の製麺所で作った物だったから大事に食べたかったんだけど、うどんの美味しさを知って貰えるチャンスだと割り切ったよ。
早ければ明日にはサウスビーチに向けて出発したいから、ステフ様と色々話したかったけど『牛鍋』でテンションが上がったのか、俺がプレゼントしたワインが美味しかったのか
いつも以上のハイペースで飲んでしまったらしく、執事さんに支えられて早々に自室に戻ってしまった。
改めて確認するけど、あんな感じでもステフ様はちゃんと領地運営してるんだよな?
少し街を見ただけだけど、住民の皆さんからは何か不満を持ってる雰囲気は感じられず、表情も明るかったから
優秀かどうかは置いといて、少なくとも『まともな領主』ではあるんだろうな
貴族なんて裏で何かしらのブラックだったりグレーな事をしてるのが普通で、そのしわ寄せが領民に行くから住んでる人々の表情を見ればどんな領主なのかはなんとなく分かる
むしろステフ様は『まともな領主』だからこその苦労をしていそうだよ
せっかく出来た『友』を失いたくは無いからな、ピンチの時には遠慮なく助けを求めて欲しい。
その辺はアストレア様にもお願いしておくとして
夕食も終えたあとは寝る時間まで何もする事がなくて暇なのだが、その時間を利用して
ここからは暗躍のお時間です♪
「それじゃあ、カスミ、スミレ、何かあったら直ぐに防犯ベルのピンを抜くんやで、それが無理なら渡した笛を吹いてくれたら助けに行くからな、それから」
「ご主人様、そんなに心配しなくても大丈夫ですから」
「うん、大丈夫~♪」
「そない言うてもやな、ネチネチ嫌味を言われたりとかあるかもしれんし」
「主様の関係者であるカスミとスミレに気に入られようとはしても、嫌がるような事をする人などここには居ませんよ」
「むぅ~、、、そうかもしれんけど」
「それでは行って来ます!」
「行って来ま~す♪」
『コンコン、ガチャ』
「あぁ~行ってしまった、心配やなぁ大丈夫かなぁ」
「ふふっ、相変わらずあの2人には甘いんだから」
「良いでしょーが、あの2人は甘やかしたってなかなか甘えてくれないんだから!俺はカスミとスミレには甘々に接して行くって決めたんだ♪」
「時には厳しさも必要だと思うけど、わっ、私も、、、%Ж☆*¢£して欲しいな」
「ん?ごめんニィナ、最後の方がよく聞こえなかったんだけど」
「今話題の甘味よー♪」「やったぁー♪」「女神様に感謝を!」「もふもふの天使が来たー♪」
カスミとスミレが入って行った部屋の中からメイドさん達の喜ぶ声が聞こえてきた
「どうやらカスミとスミレは上手くやったみたいね、私達も早く行くわよ!」
「おっ、おう」
うーむ、何故かご機嫌が少し斜めになったと思われるニィナに手を引かれて、俺は目的地に向かう
俺とニィナが向かっているのは兵士達の休憩室だ
そして、カスミとスミレが入って行ったのがメイドさん達の休憩室で
メリルとケイトは執事さん達の休憩室に向かっているはずだ
それぞれが手土産を持ってな♪
兵士の皆さんには酒
メイドさんにはシュークリームとクッキー
執事さんには紅茶とコーヒー
これらの手土産を渡す事によって、アリエス辺境伯家を支える人達を取り込み裏から俺の意のままに自在に操る、、、
などという事を考えている訳ではなく、アリエス辺境伯家に仕えていればこれからも俺や池田屋商会から贈り物が来る事を分かって貰う為だ
あとは次に来た時も歓迎して貰いたいし、こういう地道な事もいずれ役立つ時が来るかもしれない
それじゃあ俺は兵士の皆さんに酒を振る舞って来ますか
『コンコン、ガチャ』
「失礼しまーす♪」
つづく。
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