第289話 暗躍のお時間です♪ その2

『コンコン、ガチャ』


「失礼しまーす♪」



「こんな時間に誰だ!、、、ってナガクラ殿?」


「門兵君、、じゃなくて(汗)ケトゥス隊長じゃないですか、それにジュリアさんと、セルジオのとっつぁんも一緒とはちょうど良かったです♪」



手土産を持って兵士の休憩室に来たらちょうど守備隊隊長のケトゥスさんと副隊長のジュリアさん、それにセルジオのとっつぁんが居て


他の兵士の皆さんとなにやら真剣に話をしている最中っぽいから、会議中だったのかな?



「ナガクラ様こんばんは。我々に何か御用でしょうか?」


「ジュリアさんこんばんは。まあ御用というほどの事じゃないんですけど、これからもよろしくって事で『コイツ』で皆さんと親睦を深めようかと♪」



俺は収納からビール瓶とワインのボトルを取り出して、振りながら部屋に居る兵士の皆さんに見せる



「「「「「おおっ!!」」」」」


「大商会の会長がステファニー様の客として来るって言うからどんな成金野郎かと思えば、見た目は案外普通だし礼儀もわきまえてるらしいな」


「しかもステファニー様を投げ飛ばすほどの無手の達人だ」


「なに?!チキショー!何でそんな面白そうな事をやってる時に限って外回りの警備なんかに当たっちまってたんだよぉ(悲)」


「だが美人連れってのは気に入らん!しかもタイプの違う女が3人だぜ」


「それはお前がモテないから嫉妬してるだけじゃねぇーか(笑)」


「うるせぇ!」


「ちょっとあなた達、ナガクラ様の前で下品な会話は止めなさい!申し訳ありませんナガクラ様」


「いえいえ、それよりまだ仕事中なら邪魔したくないので失礼しますけど」



「ナガクラ様!結論を急いじゃあいけませんぜ、あっしらは明日の予定を確認していただけでさぁ、それもたった今終わりやしたんで(汗)」


「おいおいセルジオさん、何をそんなに必死になってるんだよ、酒ぐらい俺達が倉庫から持って来れば良いだけだろう」


「馬鹿野郎が!『バコッ』あの酒瓶をよく見てみろ!『ボコッ』」


「いちいち殴らなくてもいいでしょーよ(泣)」


「瓶詰めの酒ってだけで高級品なのにアノ酒瓶は初めて見る物だ、少なくともガーデンシティじゃ手に入らん!


何よりナガクラ様が持って来たって事は最高に旨い酒に決まってんだよ、分かったか馬鹿野郎共!」


「そりゃあ俺達は皆スラムや孤児院出身で、腕っぷしだけでここにいる学の無い馬鹿だけどさぁ」



おぅふ


セルジオのとっつぁんは相変わらず手が出るのが早いよ、皆さん慣れてる感じだからいつもの事なんだろうけど



『シュポッ、シュポッ、シュポッ、シュポッ、シュポッ』


「はいはい、とっつぁんも殴るの止めて皆さんにビール配るの手伝って下さいよ」


「ガッテン承知でさぁ!」



このノリは好きなんだけどなぁ(笑)



「冷たっ?!」「わざわざ酒を冷やしたのか」「エール?」「無料で飲めるなら何でも良いさ♪」「酒場の酒よりはマシだろ」



面倒くさいから栓を抜いただけの瓶ビールを皆さんに配っているのだが、各自木製のジョッキに注いだ反応が様々で面白い


これは飲んだ時の反応も期待出来るぜ♪



「皆さん酒は行き渡りましたね?それじゃあ、かんぱーい」


「「「「「かんぱーい、んぐんぐんぐ・・・」」」」」



むむっ?


酒を飲んだ皆さんがフリーズしている、これはいったい



「あのう、皆さん味はどうですか?」


「「「「「なんじゃこりゃーー!!」」」」」



このリアクションを見るのも何回目だろう、初めてビールを飲む人はだいたい同じリアクションになるのね(笑)



「ナガクラ様、この酒は何なんですか?見た目はエールだが味が全く違うし、シュワシュワもえれぇ強いし」


「エールと同じ麦の酒でビールって言います、詳細を知りたいならキャラバンシティに住んでるドワーフと交渉して下さい」


「火酒で有名なドワーフですか、それならこのビールって酒もドワーフの秘技って事か、、、」



ゴメンとっつぁん!


それはスキルの「店」で購入したお値段の安いビールです。



「ナガクラ殿、俺と勝負しよう!」


「は?」



おいおい、いきなり何を言い出すんだよケトゥス君、ここには脳筋体質の奴等しか居ないのかよ



「いやぁ~、ビールって酒が最高に旨いからもう1本飲みたくてな(笑)


だが、高級酒を買える金なんて持ってないから、ナガクラ殿と勝負して俺が勝てば酒を貰えないだろうか?」


「勝負って事なら俺もまぜやがれ!」


「俺も参加させてくれ!」「俺も」「俺もだ」



ノリと勢いだけは良いんだからなぁ


まったく


そういうの俺は嫌いじゃないぜ!



「えぇーと、皆さん酒をかけて俺と勝負したいって事ですか?」


「「「「「おう!」」」」」



「ちなみに、ジュリアさんも俺と酒をかけて勝負しますか?」


「いっ、いいえ!ナガクラ様と勝負なんておそれ多いですから」


「分かりました、ジュリアさんおかわりどうですか?ワインも美味しいですよ♪」


「えっ?じゃ、じゃあワインをお願いします。」


『トクトクトクトク』


「はい、どうぞ」


「ありがとうございます♪」



「ちょっと待って下せぇナガクラ様!酒のおかわりは勝負で勝たないと駄目なんじゃ?」


「俺はひと言もそんな事は言ってませんよ、そもそも皆さんと親睦を深める為に持って来た酒なんですから、おかわりも無料に決まってるじゃないですか♪


でも確認したら皆さんは俺と酒をかけて勝負したいって事なんで、親睦を深める為ならしょうがないなぁと」


「「「「「あ゛っ」」」」」



「馬鹿野郎ケトゥス、お前のせいで酒が飲めなくなるかもしれねぇじゃねぇか!」


「隊長なに余計な事言ってんですかぁ」


「責任取れー、ブーブー!」


「しっ、しかしだな、あんなに旨い酒が無料でおかわり出来るとは思わんだろう(汗)」





いやっほぉー♪


こういうの嫌いじゃないけどあまりにも一方的に話が進むのはシャクだからな、今のは俺の『技あり』ポイントってところだろう



このノリは俺も好きだから


酒をかけていざ尋常に勝負しようじゃないか♪






つづく。

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