第275話 ガーデンシティ
やって来ましたガーデンシティ!
宿場町ケバルライから馬車で数日かかるところを、俺のトゥクトゥク風自転車なら2時間程度であっという間に到着だ!
ガーデンシティはアリエス辺境伯領の領都なだけあって立派な石壁に囲まれている、、、というより最早要塞だな
それもその筈、アリエス辺境伯家は国境の防衛を任されており、ガーデンシティも敵を迎え討つ事を前提にして造られているからだ。
アストレア様から事前に得た情報だと、バルゴ王国に辺境伯家はいくつかあるけれど、その全てが国境の防衛を任されており、独立国家とほぼ同等の権限を与えられているらしい
まあ国境の防衛と言っても、アリエス辺境伯家の場合は領地の東端に国境があり、そこを傘下の武闘派貴族が代官として治めているのでガーデンシティと国境は馬車で7日ほどの距離がある
加えて東側の隣国との関係も良好らしいので、街に入る為の列に並んでる人達も和やかな雰囲気だ。
それでも有事に備えて国境付近には常に人を配置しておかなければならないので、犯罪奴隷の強制労働先になっていたり、冒険者や傭兵の出稼ぎ先となっている
そのせいでムサい男共と一緒に列に並ぶ事になっているのはマイナス2千ポインツ!
更にウチの可愛い娘達が嫌らしい目でジロジロ見られているので、マイナス1万ポインツ!!
ただ、最低限のマナーは持っているのか揉め事を避けたいのかは知らないけど、声をかけるどころか一定の距離から近付いても来ないのでそこは評価して、プラス5ポインツ!
しかしジロジロ見てくるわりにニィナが視線を向けた先に居る奴は、顔を青くして慌てて視線を外すという失礼な奴も居てちょっとイラッとする
今日のニィナはいつも以上に優しく微笑んでいてとても可愛いのに、女性の見る目がない男ばかりで嫌になるぜ!
そんなこんなで、俺達を見てくるムサい男共を睨んでいたら街に入る順番がやって来た。
「次!身分証を見せろ、、、いや待て!そっちの3人は奴隷か?」
「はい、こちらの3人は私の奴隷です。」
鎧を着込んだ厳つい顔の門兵が、ニィナ、カスミ、スミレを見て問いかけて来たので答えたが
何故か門兵の右目が蒼く輝いている、あれってもしかして魔眼か?!
おそらく『鑑定』のスキルみたいな効果があるんだろうけど、キャラバンシティやサウスビーチとは門兵の質からして違うようだ
さすが王国十二家の一角を担うアリエス辺境伯家といったところか。
「その若さで3人も奴隷を連れているとは何処かの商会の後継ぎか、、、まあ良い、身分証を見せろ」
「はいどうぞ」
俺、メリル、ケイトがそれぞれのギルドカードを門兵に見せる
「ほぉ、そっちの女はAランクか、、、ん?細身の長剣を使うAランクの女剣士、まさか貴様はアイアンメイデンか?!」
「ちっ、違う」
「否定するか、しかし現在Aランクの女はアイアンメイデンだけだと記憶しているが、違うとするとこのカードは偽造か?」
わぁお!
ケイトの昔の二つ名だった『アイアンメイデン』久しぶりに聞いたよ
だがしかし、門兵貴様は根本的に間違っている(怒)
「ちょいとお待ち下さい、誰と勘違いしてるのかは知りませんけどね、ケイトはアイアンメイデンなどという名ではありませんよ
私達の大切な家族で名前は『ケイト』です!
カードにも記載されているはずです、お間違え無いようお願いします。」
「ふん、ただの屁理屈に聞こえるが?」
「貴方にどう聞こえていようと関係は無いでしょう。重要なのはカードが本物かどうかですよね?早く確認して通して欲しいんですけど」
「まあ良い、少し時間がかかるから詰所に来てもらおうか」
「はいはい、気が済むまで調べて下さい」
「ダンナごめん、あたしのせいで」
「なんでケイトが謝ってるんだよ、また迷惑かけたからってひとりでどっかに行くとか考えてんのか?」
「ケイトねぇちゃん居なくなっちゃうの?」
「スミレ大丈夫だよケイトは何処にもいかないから。でも自分が悪いと決め付けて一方的に謝るのは絶対駄目!帰ったらお母さんに叱って貰うから。」
「えぇーー!!そりゃないよお嬢ぉ~(泣)お母さんには黙っててよぉ」
「ダーメ!」
「うぅぅ(泣)」
「「「「「あはははは♪」」」」」
「貴様等何を遊んでいる、早く来い!」
おっと、門兵君に怒られてしまった(汗)
門兵君に案内された詰所はいわゆる運動部の部室のようだ
テーブルと椅子とロッカー的な木製の棚があり
見た目は凄く綺麗にしているけど、門兵なんてムサい男ばかりだろうし鎧やブーツが蒸れるんだろうな、なんとも言えない部室臭がする
俺の背中に居るスミレも鼻を押さえてとても臭そうだ
「早くカードが本物か調べて下さいよ、我々は忙しいんですから」
「専用の魔道具で調べているから直ぐ終わるさ。それより貴様と隣に居るお嬢ちゃんがキャラバンシティで登録した商人だったとはな、本当だとすればたいしたもんだ」
門兵君はとことん疑ってかかる性格なのかな?
「失礼します隊長」
「おう、どうだった」
へぇー、門兵君は見かけによらず隊長だったのか、見た目と言葉使いから古参の鬼軍曹ポジションだと思ったんだけどな
それよりも
詰所の奥から出て来た女性が気になり過ぎる、年齢は20代後半くらいでブロンドのショートヘアーが眩しいぜ♪
運動部の部室のような詰所には場違いなほど綺麗だ、それはまさに砂漠に突如現れたオアシス♪
なんとなく隊長に振り回されてる苦労人の副隊長って感じがする(笑)
「カードは3枚とも間違い無く本物です。街に入れても問題無いと思います。」
「そうかご苦労」
「それと隊長、この方はシン・ナガクラ様です。」
「ん?だからどうした」
「隊長、シン・ナガクラ様が来たら失礼の無いように案内せよ、と報せがあったでしょう」
「だから万が一にも何かあってはいかんと調べているんだろうが!我等の仕事は外からやって来た者を街に入れても問題無いかどうかを調べる事であって、接待では無い!
問題アリと判断すればたとえ相手が公爵だろうと門を通すわけにはいかん、ここに居るシン何某が辺境伯様の客人であろうともだ」
おぉ!
門兵君は仕事に真面目な男だったか
しかも融通が利かなくて出世とは無縁っぽいのが良いね♪
精神年齢が39歳の俺からすると、30歳くらいに見える門兵君はまだまだ青臭く見えるけど
仕事に真面目な奴はたとえ男であっても
俺は嫌いじゃないぜ♪
つづく。
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