第274話 旅2日目

朝、目が覚めると


見慣れぬ天井が見えた。


この世界に来た当初は、目が覚めて見慣れぬ天井を見る度に不安だったなぁ、と少し懐かしい気持ちになる。



今日は旅2日目


宿場町ケバルライの商業ギルドで宿として用意して貰った、改築中の店舗の2階に泊まっている。


左右を見ると、俺の左腕を犬耳のスミレ、右腕をうさぎ耳のカスミの愛しのぷりてぃーもふもふ姉妹が握って気持ち良さそうに寝ている


そしてカスミの隣でダークエルフのニィナが警棒を握りながら寝ている


ニィナが警棒を握りながら寝てるのも久しぶりだ。旅先だし念の為なんだろうけど、毎回びっくりするから枕元に置いといて欲しい


そして、メリルとケイトは隣室で寝ていてこの部屋には居ない。朝に腹を出して寝ているケイトを見れないのは少し物足りなかったりもする(笑)



今日はいよいよ、アリエス辺境伯領の領都ガーデンシティに行って


ステファニー・フォン・アリエス辺境伯に会う予定だ。


今回の目的はこれからもお互いによろしく的な挨拶をするだけなんだけど


アリエス辺境伯を筆頭に中立派の貴族は池田屋商会を守る為に裏で色々と動いてくれているらしいので、以前から直接お礼を言いたかったのもある。


あとは、珍しい食材等があればレシピと交換で定期的に安く仕入れさせて貰えれば、お互いに得してウィンウィンな関係になれるんだけど


その辺は出たとこ勝負だ!



さてと、そろそろ起きて朝食の準備をするかな



「みんな起きろ~」


「主様、おはようございます」


「ご主人様、おはようございます!」


「ご主人にゃにゃ、親子丼ごじゃいましゅ、、、むにゃむにゃ」


「ニィナ、カスミ、スミレ、おはよう♪」



それにしてもスミレはガッツリ寝ぼけてるなぁ(笑)


やはり旅は疲れるんだろうな、昨夜は寝る前にみんなに回復魔法をかけたから、肉体的な疲労は無いと思うんだけど


どうやら精神的な疲労に回復魔法は効かないみたいだ。



さてさて朝食を作りますか


浮島で手に入れたオーブンとミキサーは、お藤さん、コニー、フラニーの為に我が家に置いて来たから、旅の間は基本的にカセットコンロの弱い火力でも作れる簡単な食事がメインになる。


いざとなったらスキルの「店」で惣菜や弁当も買えるし、スキルの収納にも作り置きの料理とお菓子がたんまり入ってるから問題は無いだろう


改めて、ありがとうチート能力、ありがとう創造神様♪



朝食は昨日の夕食で食べたすき焼きの残りに、肉と野菜を少し足して、うどんを入れて卵でとじた『うどんすき』


我が家の腹ぺこ娘達は、すき焼きをおかずにしてそれぞれが好きな丼物を食べるというワンパクぶりだからな


スミレでさえ、すき焼きをモリモリ食べながら親子丼を完食するんだもの


小さい身体の何処にそれほどのエネルギーが必要なのかは謎だけど、健康に大きく育ってくれるなら存分に食べて欲しい。


とはいえ2人で1つずつ、合計3つの鍋ですき焼きを作ったらさすがに余った


お陰で朝食を作る手間が省けて良かったけど(笑)



『コンコン、ガチャ』


「おにいちゃん、おはよう」


「ダンナおはよぉ~」


「メリル、ケイトおはよう」



「スンスン、すき焼きの匂いだ♪」


「すき焼きじゃなくて『うどんすき』だけどな」


「どっちにしても美味しいんだから早く食べようよぉ~」


「はいはい、それじゃあいただきまーす」


「「「「「いただきま~す♪」」」」」



朝食が済んだら宿のカギを商業ギルドに返してから町の外にやって来た。


トゥクトゥク自転車を収納から取り出してと


「みんな乗り込めー、、、今日の目的地ガーデンシティに向けてしゅっぱ」「ナガクラ様ー!お待ちくださーーーーい!!」



むむっ?


町の中から走ってくる声の主は商業ギルドのヴォルネツィオさんか



「おはようございますヴォルネツィオさん、そんなに急いでどうしたんですか?」


「おはよう、はぁ、はぁ、、、ございます。これほど早くナガクラ様が出発されるとは知らず、急いで追いかけてまいりました。


昨日はあまりにも衝撃的な事が多く、失礼な態度をしてしまった事を謝罪します。申し訳ありませんでした。」


「謝るような事は無かったと思いますけど、謝罪は受けとりました。


お菓子ですけど、興味があるなら1度キャラバンシティに行く事をお勧めします。


ウチの商会も屋台でお菓子を売っていますから、それらを買って研究して真似るのは自由ですよ♪」


「なっ?!池田屋商会の利益を奪うような真似をするわけには(汗)」


「ははは、下手に真似したら偽物だって言われちゃいますもんね。ミリアリアさんかピスケス伯爵家を通してくれれば相談には乗りますから」


「はぁ~、、、ナガクラ様には最後まで驚かされてばかりです、次にお会いする時までには我々も新たなお菓子を作ってお持ちしますので、その時はよろしくお願い致します。」


「楽しみにしてます!」


「それではナガクラ様と皆様の旅の御無事を祈っております。行ってらっしゃいませ。」



「ありがとうヴォルネツィオさん


それじゃあ改めて、ガーデンシティに向けてしゅっぱーつ!」


「「「「「おー!」」」」」


『チリンチリン♪』






つづく。

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