第261話 爪を切る
『パチンパチンパチン、パチンパチン』
「スミレ長さどうや?ちょうどええか?」
「ん~、、、うん♪バッチリ~ありがとうご主人さま♪」
俺は今、風呂上がりのスミレを自分の膝の上に乗せて爪を切ってあげている
他人の爪を切るのは初めてだけど、まあまあ上手く切れたと思う。
なんたって道具が違う、スキルの「店」で見つけた『匠の爪切り、極(きわみ)』という名前の高級爪切りだからな♪
どうして急に高級爪切りを購入してスミレの爪を切っているのか、勿論理由があるからこそだ!
今日もいつものように夕食後に1番風呂に入った俺は、部屋でまったり風呂上がりの酒を飲んでいた
みんなが風呂から出るまで暇なんだけど、テレビもラジオも無いと本当に暇を潰すのが難しい
だから風呂上がりに俺が出来る事といえば
酒を飲む
スキルの「店」の新商品をチェックする
爪を切る
耳掃除をする
ぼぅーっと空を眺めて流れ星を探す
生活魔法の新しい活用法を探す
かつお節の作り方を調べる
創造神様達にお供え物を選ぶ
ポータブル電源のバッテリーを交換する
ぼぅーっとする
マドレーヌとフィナンシェを食べ比べる
とまあこれくらいしかする事が無い、だから今日は爪が伸びていたので、安い爪切りを使って爪を切っていのだが
風呂から出て部屋に戻って来たカスミが、俺が爪を切ってる姿を見た時のリアクションは生涯忘れる事は無いだろう
俺が爪を切ってる姿を見たカスミは最初何をしているのか分からなかったのか、不思議そうな顔をしていたけど
俺が爪を切っていると分かったら、目を見開いて凝視した後に嬉しいような嬉しくないような、とても複雑な表情をしていた
理由を聞いたら納得だったよ、そして俺は我が家のみんなから怒られてしまった、爪を切る専用の道具があるのならもっと早くに教えて欲しかったと、、、
聞くところによるとこの街には爪を切る専用の道具は無い、ハサミはあるけど布を切る為のゴツい裁ち鋏しか無い
さすがに裁ち鋏で爪を切るのは無理がある、不可能じゃないけど止めといた方が良いだろう
じゃあどうやって爪を切るのか?
答えはナイフで切る
聞いただけで恐いわ!
ナイフで爪を切る場合、短く切り過ぎると危険なので中途半端な長さにしか切れないし、かなりの技術が必要になる
カスミとスミレはニィナに切って貰っていたのでまだ良かったけれど
お藤さん、メリル、コニー、フラニーの4人はケイトに切って貰っていたので、、、
早い話が、毎回凄く怖かったらしい
ケイトはAランク冒険者としてナイフの扱いにも長けていて、一流と呼んで差し支え無いレベルだし、毎回完璧に爪を切っていたらしいけど
ケイトの日頃の言動を見てたらそりゃあ不安になっても致し方無しだ(笑)
一般的には3回に1回くらいは切り過ぎて肉まで、、、
なんて事はよくあり過ぎて今更話題にもならないくらいに普通の出来事になっているらしいから、自分で切るよりはケイトの方がまだ良い!
って感じで頼んでいたみたい
そんなこんなで、爪切りがあるなら早く言って欲しかったと、お藤お母さんからも怒られる事になってしまった(悲)
お藤さんは俺のチート能力の事は知ってるはずだから普通に聞いて欲しかったけど、この世界に転生して数十年ナイフで爪を切るのが当たり前の生活だったから、爪切りの存在をすっかり忘れていたらしい
という訳でお詫びとして、高級爪切り『匠の爪切り、極(きわみ)』を購入してみんなの爪を切っている
「よし!次はカスミの番やな、こっちおいで」
「はい、よっ、よろしくお願いします。」
うーむ、しょうがないとはいえ、カスミはえらい緊張してんなぁ、よそ見でもせん限り綺麗に切れるねんけど、、、
カスミさん?どうして俺の膝の上に座るのでしょうか、しかも俺に背を向けて座ってるから、このまま爪を切るにはかなり密着する事になるのだが(汗)
カスミは難しい年頃やから、本当は凄く我慢してるとかじゃないならええねんけど
「ほな切ってくでぇ~、『パチンパチン、パチンパチンパチンパチン、、、』はい終了♪」
「ありがとうございました♪」
「はい、次の人どうぞ~」
「よろしくお願いします。」
「うぉい?!ニィナまで俺の膝の上に座る必要あるかな?」
「どうしても嫌だと仰るなら降りますけど」
「えぇーと、膝の上に座ってないとすこーしだけ切り難いからこのままの方が良いかも、、、」
「ではよろしくお願いします♪」
ほっ、悲しそうに涙目で言われたら断れませんやん(汗)
「じゃあ切りまーす『パチンパチンパチン、パチンパチン、、、』はい終了。次の人~」
「お願いしま~す、よいしょっと」
次はメリルか、当然だけどメリルも俺の膝の上に座るよね(笑)
「はい、切りますよ~『パチン、パチンパチンパチン、パチンパチン、、、』終了♪」
「ありがとうおにいちゃん♪」
この流れはお藤さんも俺の膝の上に座る気か?!
うん、それは無さそうだな、お藤さんはもう1本の爪切りでコニーの爪を切ってるし、フラニーもお藤さんに切って貰うみたいだ
残るはケイトだけど、俺かお藤さんどちらに爪を切って貰うか迷ってるみたいだが
ここはお藤お母さんに切って貰って、母と娘の触れ合いを楽しみなさいよ♪
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。