第227話 雨でも元気な一番隊♪
「我らは見廻組一番隊~♪」
「「「「「池田屋商会を守るんだ~♪」」」」」
「敵意のある奴、フルボッコ~♪」
「「「「「囲んで殴って蹴り飛ばす~♪」」」」」
「包囲!」
「「「「「殲滅!」」」」」
「包囲!」
「「「「「殲滅!」」」」」
「「「「「「フフフフ、フッフフ、フッフーフ~♪」」」」」」
「今日の昼食、オムライス~♪」
「「「「「ソースは当然」」」」」「トマトソース !」「トンカツソース!」「肉味噌!」「ビーフシチュー!」「砂糖!」
「ガンホー!」
「「「「「ガンホー!」」」」」
「ガンホー!」
「「「「「ガンホー!」」」」」
待て待て待てー!!
1人変な奴が混ざっとる、オムライスのソースに砂糖はおかしいやろ!
他人に強要せんかったら、食の好みは自由やけども
甘いたまご焼きが好きやとすれば、オムライスにソースとして砂糖をかけるのもアリなのか?
俺はメリルとニィナと共に池田屋商会の本店に来ている
ミリーさんが休養する間、商業ギルドの仕事を引き受ける事になったから応援を頼む為だ。
それで商会に来てみたら、商会の裏庭で雨でも嬉しそうに変なかけ声でランニングをする見廻組を発見したという訳だ。
見廻組はローテーションを組んで、『仕事』『待機』『休日』の3組に別れており雨季の間も警備の仕事をしている
だから現在、商会の裏庭をランニングしてるのは『待機』と『休日』のメンバーだ。
仕事以外の時間をどう過ごすかは自由だけど、見廻組が何を目指しているのか俺にはさっぱり分からん
ちなみに、雨なのに嬉しそうにランニングをしてるのは、俺が支給したポンチョ型の雨合羽のせいだろう
街で売ってる雨避けの外套と違って、桁違いに軽いし雨が染み込む事も無い
新しい雨具を買って貰って、雨が降るのを待ちわびていた小学生って感じかな(笑)
そして俺の隣で一緒に見廻組を見ているメリルは全く興味無さそうだけど、ニィナは、、、
素敵な笑顔でとても満足そうです。
「おや?会長と副会長が揃って商会に来られるとは珍しいですね、何か緊急の用件でしょうか?」
3人で仲良く見廻組を見ていると、優秀だけど面倒くさい男のアルがやって来た
アルの姿を見たメリルとニィナが嫌そうな顔をしているけど、初対面の時にアルと話して凄く疲れたのがトラウマになったのか
未だにアルに慣れないらしい(笑)
俺もアルと話すと疲れるんだけど、最近はアルの話はほぼ受け流してダメージも最小限に抑えられている
2人は性格的に相手の話を無視するとか、受け流すとかは無理みたいだから仕方あるまい
「やあアル、緊急という訳ではないけど昨日ミリーさんが流行り病で倒れてさ、今はもう回復してるけどしばらく我が家で静養するから、その間ギルマスの仕事をアルに代行して貰おうと頼みに来たんだよ
アルはサウスビーチの商業ギルドの元ギルマスだしミリーさんからの委任状もある、俺達も手伝うからどうかな?」
「ほぉほぉ、昨日商業ギルドが騒がしかったのはそういう理由でしたか。
しかし、商業ギルドの業務が滞ると池田屋商会としても困りますねぇ♪」
おぅふ(泣)
出たよ、面倒くさい男の面倒くさい部分がな!
アルが俺の顔を見ながらニコニコしてるけど、こういう時にアルが考えてる事はただひとつ
俺との会話を楽しむつもりだ!
アルの目的は分かってるんだ、俺には元世界の知識がある、それはアルにとって全く知らない新しい知識
だから俺とたくさん話せばそれだけ自分の知らない事を知れるかもしれないという、単純な好奇心だろう
だが生憎と雨季のジメジメした時に、アルとゆっくり話すなどという苦行をするつもりは無い!
「なあアル、今は商業ギルドの仕事を片付けるのが先だ、そのうちゆっくり話す機会を設けるから。
そうだなぁ、流行り病の原因と対処法を教えてやるからそれで勘弁してくれ」
「なっ?!、、、流行り病の原因と言いましたか?しかも対処法?!そっ、そんな事が、、、ふふっ、ふふふ、あははははははははは♪」
はい、いつものようにアルヴェロヴェール君がおかしくなったから無視しまーす。
アルのあの反応からしてどうやら熱中症の対処法というのはこの国ではとても凄い事っぽい
これは早急にアストレア様に教えてその後の対応を丸投げしないといかんな
じゃないと他の貴族に知られたら強引な手段で、なんやかんやをして来る可能性は充分ある
これは毎度の事ながらトラブルに巻き込まれる予感がするぅー(泣)
つづく。
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