第223話 『雨』それはおっさん達の希望の光 その2

なんやかんやあって、今日はナスとネギ農家の為に色んな料理を作ってみた。



焼きナス、ナスの煮浸し、豚肉とナスのしょうが焼き


お好み焼き風のネギ焼き、焼き鳥のネギマ串、刻みネギたっぷりの冷奴、ナスとネギのピザ



とりあえず一般人代表でロブさんに急いで感想を聞かないと、既にホロ酔いだし酔い潰れるのも時間の問題だよ



「ロブさん、今日の料理はどう?」


「おう!どれも旨いよ旦那、特にこの汁に浸かったナスがうみゃ~ぜぇ~♪あははは」



なるほど、ロブさんはナスの煮浸しが旨かったと、ついでにそろそろ酔い潰れそうだ(笑)



「アルは何か気に入った料理あるか?」


「ふっふっふっ、気に入った料理は何か?ですって、くっくっくっ」



待て待て待てーい!


あきらかに面倒くささMAXのリアクションはやめーい!


こういう時のアルを真面目に相手すると面倒しかないから、サクッと話を終わらせよう



「はい、アルは全部美味しいって事ね、了解でーす。」


「そうなのです!当然の如く全部美味しいのですが、ナスとネギ農家から苦情が来たからといって、まさかこれほどの料理を作るとは、いったい誰が想像出来たでしょうか、当然答えは『否』です!


またまた私はシンさんの底知れぬ知識の奔流に飲まれているのですね、なんと心地良いのでしょうか♪」



なんかもう面倒くさいっていうか気持ち悪くなってないかな(汗)


これ以上アルと絡んでも時間の無駄だから無視して



「親方とジャックさんはどの料理が良かったですか?」


「ワシは冷奴じゃな、物としてはおでんの厚揚げと同じみたいじゃが、おでんとは違い冷たいのがこの時期には合っていて良い♪」


「うむ、シン殿の作る料理はどれも旨いが、このネギ焼きのタレが旨いな♪なんとも言えんさわやかな味に酒が進むわい♪」


「ネギ焼きのタレはたこ焼きの時にも使ったポン酢ですね。ドワーフと言えど雨季のジメジメした時には、あっさりした料理が良いんですね、これは意外な発見でした」


「そういえばそうじゃな、お前さんと出会う前は料理なんて何でも良かったが、今は季節や酒に合わせて料理を探すようになったからな。

しかし、今回の料理に使っとるタレは醤油ばかりじゃな、醤油も商会で売る事にしたんか?」


「そうなんですよガゼルさん!醤油は未だ販売しておらず商会の食堂か、シンさんのお宅でしか味わえない幻の調味料なのです!

今日の料理にこれほど醤油を使っているという事はレシピ登録をお考えで?」




おぅふ(汗)


アルは静かにしてると思ったらこれだもんなぁ



「醤油は年内にはピスケス伯爵領の特産品として販売される予定だから、それに合わせて醤油を使った料理のレシピは登録の予定だけど、醤油の事アルは知らないのか?」


「むむむ、、、そのように重要な事を私が知らないはずは無いのですが、、、」



あっ?!


これはアレやな、俺がアルに教えるのを忘れてただけのやつやな


わざわざアルに教えに行くの面倒くせぇーって思ってそのままやった、申し訳ない。



「まあそういう事だから(汗)レシピはアストレア様に渡しといてくれ」


「それは構いませんが、これもまた莫大な利益になるのに良いのですか?」


「アストレア様とは目先の利益より、末永くお付き合いしたいから良いよ」


「そういう事でしたらお任せ下さい。」




「どうやら醤油は購入出来るようになりそうで良かったが、もうちぃーっとだけでええから屋台の頻度は増やして欲しいぞ」


「なんだかんだで、会長の仕事が忙しいですからね、主にお偉いさんと『会うだけ』のお仕事が多いのが悩みです。

もうすぐ組合の会合もありますし」


「わはははは、大商会の会長を悩ます仕事が人と会う事だとはな、いかにもお前さんらしい悩みだ。

ガハハハハハハハハハハ♪」


「はぁ、わりと真剣な悩みなんですけどね。とまあ普段は忙しいので雨季の間は出来るだけ屋台をやろうと思ってるんですよ、雨季の間は基本的に暇ですから」


「本当か?!いやっほぉーー♪

雨季なんぞ毎年道具の手入れしかやる事が無いからな」


「今年は昨日収穫したブドウでワインの仕込みがありますよね?」


「そっちはオリビエが仕切って完璧にやっとるから心配要らんぞ。お前さんから貰ったワイン造りの本を毎日熱心に読んどったからな。

最近は写本までして、毎日楽しそうに熟読しとるから問題無いじゃろ」



オリビエさんに渡した本って、入門編の薄い本から辞書みたいに分厚い専門書もあったと思うんだけど、全部写本したのかな?


今更ドワーフの酒に対する情熱を侮ったりはしないけど


とりあえずウィスキー造りの本はあんまり分厚いのは止めておこうと心に誓った。


穏やかな雨の日の出来事だったとさ






つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る