第210話 アルヴェロヴェールという男

優秀だけど面倒くさい男のアルは、実は凄い奴だったんじゃね?


という疑惑が急浮上して一抹の不安を抱えながらも、グラフィアス商会会長のレサト殿を、商会の本店にある俺の私室に案内してきた。




「シン殿、確認なのだがアルヴェロヴェール様は池田屋商会で働いている、という事で間違い無いだろうか?」


「間違い無いです。半年くらい働いてますかね」


「そうですか、ちなみに商業ギルドマスターを辞めた理由はご存知で?」



アルがギルマスを辞めた理由かぁ、俺と一緒に働いた方が楽しそうとか言ってたような気もするけど、よく覚えてないや(笑)


アルなら単純に商業ギルドの仕事が面倒だからとか言いそうだけど、それを今のレサト殿に言うと頭を抱えそうだから止めておこう



「そうですねぇ、商業ギルドに所属したままでは大きな組織の小さな歯車でしかなく、自分のやりたい事が自由に出来ないからじゃないでしょうか」



それっぽい理由を延べたけど、嘘は言ってない、、、はず!


以前にギルマスだと、俺みたいに自由に仕事は出来ないってぼやいていた事があった気がするんだけど(汗)



「確かにアルヴェロヴェール様のような御方なら、組織に縛られては充分に才能を活かせないか」


「レサト殿、商人にとって商業ギルドのマスターというのは何かとお世話になりますし、尊敬の対象になるのも分かりますが、アルはレサト殿がそこまで言うほどの男なのでしょうか?」


「シン殿はギルマス時代のアルヴェロヴェール様を詳しく知らないご様子、良い機会なのでアルヴェロヴェール様について少しお話ししましょう」




ーーーーー10分後ーーーーー



レサト殿に教えて貰ったアルの尊敬ポイントを纏めると


1.バルゴ王国南部地方の商業ギルド及び商人組合の纏め役だった(東部地方の纏め役はミリーさん)



2.南部地方の貴族に多大な影響力を持っている(一部で王族の隠し子の噂有り、詳細不明)



3.才能を認められ、王国から財務担当としてスカウトされるも断る(理由不明)



4.池田屋商会の幹部として働いている




色々と気になる部分はあるけれど


1、2、3、は商業ギルドマスターとして優秀だった証拠だから、尊敬するのも納得なんだけど


4の理由はおかしいやろ!


さっき実際に商会で働いているアルを見るまで、噂話でしか知らず半信半疑だったらしいが


ウチで働く事の何処に尊敬ポイントがあんねん、幹部だからか?幹部が凄いのか?


羨ましがられるなら分かるけど尊敬されるのは理解出来ん、まあ王国が認める程の男なら今後何かあった時には頼りになるだろう。



こうなってくると王国の北部と西部の貴族にも繋がりが欲しい


運良くスコーピオン公爵家は西部の有力貴族だけど、お見合い相手のペトルーシュカお嬢様とは結婚するつもりは無いから、良い関係を築くのは難しいだろうなぁ



グラフィアス商会と商売のやり取りをして、地道に友好関係を築くのが良さそうだな


そうと決まれば、お仕事を頑張りますか♪






つづく。

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