第203話 マーマ
愉快な仲間達との騒がしくも楽しい朝食の時間も終わり
我が家の裏庭で椅子に座ってお茶を飲みながら、まったりと今日の予定を考える
今日は普通に仕事をする日なのだが、大商会の会長であり大富豪でもある俺は、積極的に仕事をしてはいけないらしい
従業員の名誉を守る為なら素直に従うけれど、逆に俺がして良い事を誰か教えて欲しいよ
「シンさーん、何処に居るのー?」
この声は、お藤さんが俺を探しているみたいだ
「お藤さーん、俺は裏庭ですよー」
「良かったここに居たのね、ミリーちゃんが来たわよ」
「シン君おはよう」
「ミリーさんおはようございます」
普通に挨拶したけれど、なんとなくミリーさんの様子がおかしいような気がする
「ねぇシン君、お藤さんがコニーとフラニーのマーマになったって本当なのかしら」
「本当ですよ、お藤さんは我が家のみんなのお母さんですから、コニーとフラニーもお藤さんの子供って事になりますね」
「そう、、、」
うーむ、これはまた面倒事だろうか、ミリーさんが頬を膨らませて怒ってる?
いや、あれは拗ねてるのか?
元世界だとあんな感じで頬を膨らませるのは、あざとい系の女子しかやってるのを見た事無いけど
俺の目の前で頬を膨らませてるミリーさんは、子供が拗ねてるようにしか見えない
対応に困ったので隣に居るお藤さんに助けを求めてみる
おおっ!
お藤さんが胸を叩いて任せろってジェスチャーをしてくれている、さすが我が家のお母さん頼りにしてます♪
「ミリーちゃん何か悩み事があるなら聞くわよ」
「・・・私も、*#§%£@♭しいです」
「ん?えぇーと、ごめんねミリーちゃん、よく聞こえなかったからもう一度お願い」
「、、、私も、、、私もお藤さんにマーマになって欲しいって言いました!」
「あらまあ♪」
あらら、ミリーさんが耳を真っ赤にして横を向いてしまった
エルフは年齢のわりに精神の成長が遅いみたいだから、ミリーさんが母親に甘えたい気持ちは分からんでもない
元世界でも母親と姉妹とか友達みたいに仲良しな女性はけっこう居たからな
ミリーさんも故郷の眠れる森に帰れば両親に会えるだろうけど、毎日忙しそうだから難しいんだろう
でもその心配も今日で終わりかな、何故なら我が家のお母さんが凄く嬉しそうだもの(笑)
「ふふふ、また私に子供が増えちゃったわ、ミリーちゃんは凄く美人さんだけど、、、
せっかく黒くて綺麗な髪をしてるのにお手入れが全然駄目ね
そうだわ!今から一緒にお風呂に入ってお手入れの仕方を教えてあげる、いらっしゃい♪」
「えっ?あの、、お藤さん?!」
「シンさん、お風呂の準備お願いね」
「はい!」
「ついでだからウェンディちゃんも一緒に入りましょう。ウェンディちゃーん、今から一緒にお風呂に入るわよー!」
お藤さんはミリーさんの腕をつかんで引きずるようにして我が家に入って行ってしまった
お藤さんは子供に遠慮しないパワフルなお母さんになるのが夢だったって言ってたけど
のんびりした性格のエルフに、お藤さんみたいなマーマで大丈夫だろうか?
コニーとフラニーはお藤さんと一緒に寝るようになってから、凄く笑顔が増えたけど
考えたところで俺に出来るのはお風呂の準備くらいだ、いつものように家庭用プールに水を入れて火魔法でお湯にする
あとはお藤マーマにお任せだ、俺は裏庭で今日の予定を考える続きをしよう。
しばらくぼーっとしていると、全身ピカピカでツヤツヤになったミリーさんがやって来た
着ていた服も、お藤さんが作った白いシャツと黄色のスカートに着替えていて少し恥ずかしそうにしている
こうやって見るとミリーさんも実は精神年齢が凄く若くて、人族の年齢で考えたら18~20歳くらいではなかろうか?
「シン君どうかな、お藤マーマに貰ったんだけどこういう服は初めてなの」
「ええ、とても似合ってますよ、俺の個人的な意見ですけどミリーさんは黒髪のショートヘアですから、明るい色の服が似合うと思います。」
「そう」
一瞬、ミリーさんがまた頭を抱えてしまうんじゃないかと焦ったけど、大丈夫そうか?
「シン殿ぉ、私もお藤マーマに服を貰ったんですけどどうですか~?」
「よく似合ってますよウェンディさん」
ウェンディさんもお藤さんの服に着替えていてとても可愛くなったけど、申し訳ないが可愛いの方向が中学生っぽい幼さの残る可愛さになっちゃってるんだよなぁ
それにしても、お藤マーマはエルフに大人気だな
そのうち王国中のエルフが集まって来たりしてな(笑)
あ゛っ!
これはまたあれか、旗か?
旗が建つやつか?
だがしかし
お藤マーマならなんとかしてくれるだろう♪
つづく。
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