第204話 貴族の度肝を抜くパン?
「お藤さんにマーマになって貰えたし、今日から私もこの家の家族よね♪という事でお茶会に相応しいパンを教えて頂戴、シン君♪」
「ミリーさん話題の変え方が急過ぎー!お茶会に相応しいパンを知りたいのは分かりますけど」
「恋は急に始まるって言うじゃない、あれと一緒よ」
「パンと恋は違うと思いますけど、、、」
エルフは一部の貴族から『魔法が得意なだけのマニメルヌサゴケロロス』と呼ばれていて、ミリーさんはそれがどうしても許せないらしく2度とそんな事を言わせない為に
最近ウェンディさん、コニー、フラニーと一緒にパン作りを頑張っている
貴族のお茶会にエルフが作ったパンを出して度肝を抜きたいのだろう
『マニメルヌサゴケロロス』が何なのか凄く気になるけれど、眠れる森のエルフにとっては禁句みたいでとても聞ける雰囲気ではない
「とにかく今はお茶会に相応しいパンが先よ!シン君ならそういうパンも知ってるんでしょ?」
「そうですねぇ、食パンを使ったフルーツサンドが良いと思いますよ、見た目も綺麗ですから貴族に人気が出そうです。」
「うんうん、良いわね♪それから?」
「え?、、、あとはプリンとか出せば充分だと思うんですけど」
「せっかく魔法でパンを膨らませられるようになったんだし、もっと色んなパンをお茶会に出したいじゃない」
「俺はお茶会に出席した事ないんでよく知らないんですけど、手軽に食べられる料理の方が良いんですよね?」
「そうね、立食形式の場合は尚更手軽に食べられる料理が良いわ」
「そしたら魔法で生地を膨らませる必要の無い、スコーンっていうパンみたいなのは駄目でしょうか?片手で食べられるサイズを作るのが簡単なんですけど」
「えぇー?!魔法で生地を膨らませるやつじゃなきゃやーだー!」
「そう言われましても、、、ミリーさんキャラ変わってませんか?」
「ん?私は仕事以外はこんな感じよ、ウェンディだって仕事の時とプライベートでは話し方が違うんだし、これが普通だと思うわよ」
「そう言われると、、、それよりパンですよね、ハード系のパンを作って生ハム挟んでサンドイッチ作りましょうか、小さく切り分ければ片手で食べられるでしょうし
試作してる生ハムは貴族が好きそうな味だと思うんで」
「それはいいけれど、ハード系のパンってどんなの?」
「外側がパリッとしてて中がふわふわのパンです、この国は歯応えのある料理が多いんで、柔らかいパンよりハード系の固めのパンの方が好まれるかなと思うんですけど」
「へぇー、固さに関しては今までは白パンと保存食のカッチカチパンしか無かったから、味さえ良ければ関係無い気もするけど
とにかく、そのハード系のパンを作ってみましょう♪」
ーーーーーーーーーーーーーーー
さてと、午前中はミリーさん達のパン作りに付き合わされてしまったけど、暇は潰れたから良いか
ちなみにパン作りを頑張ったミリーさん、ウェンディさん、コニー、フラニーの4人はお昼寝中だ
パン生地を膨らませるのに魔法を使うんだけど、思った以上に魔力を消費するらしく3~4回で魔力切れになるらしい
それで全員魔力切れになったから今は仲良くお昼寝をしている
午後から俺はドワーフの皆さんのお土産にピザの仕込みをしなければいけない、本格的なピザ生地はどうなのか知らんけど
ピザ生地は発酵時間が30分~1時間程度だから魔法無しでもさほど苦労はない
ピザの具はトマトソースとチーズだけのシンプルなやつから、イタリア人には絶対にピッツァと認めて貰えないと思う日本ではお馴染みの具のピザとか色々用意した
収納にオーブンを入れて行くから、焼くのは向こうに着いてからだ
「ご主人さま~、スミレも一緒に行っちゃダメ?」
俺が親方の工房に行く準備をしていると、スミレがお出かけ用の背負い袋を持ってやって来た、一緒に行くのは構わないんだけど
今日は酒盛りになっちゃうだろうから、スミレには楽しくないと思うんだよな、、、
ぐはぁっ!
スミレがキラキラした瞳で俺を真っ直ぐ見つめている、そんなに綺麗な瞳で見つめられたら、欲にまみれたおっさんは消滅してしまう(汗)
「じゃあスミレも一緒に行くか」
「うん♪それでねご主人さま、お酒が欲しいの」
「えっ?、、、スミレが飲むの?」
「ううん、おじいちゃんのお土産にするの♪」
「おじいちゃんって言うと、ジャックおじいちゃんだよね」
「うん♪」
ほっ
一瞬スミレが飲むのかと思ってビビったけど、スミレはジャックおじいちゃんに会いに行きたかったのか
しかしお土産って事はいつもの安い酒じゃ駄目だな、ウチの可愛いスミレのお土産だから誰に渡しても恥ずかしくない物を持たせてあげないと
スキルの「店」を検索っと
えぇーと、コレだ!
スーパーでもお馴染みアメリカのジャックでDなウィスキー
その中でもシングルバレルという高級なのをスキルの「店」から購入
自分で買うには高いけど、お土産としては値段もほどほどで絶対喜んでくれる品だろう
このシングルバレルは通常の物よりアルコール度数も高いし、ジャックおじいちゃんのお土産としては名前も含めてピッタリだよ(笑)
「はいスミレ、お土産のお酒は背負い袋に入れとくな」
「ありがとうご主人さま♪」
それじゃあ親方の工房に
れっつらごー♪
つづく。
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