第196話 新事業

突然メリルから新事業の提案をされた



この街の名物になって、街の皆から感謝されて、俺は面倒くさい事はあんまりしなくて良い事らしい


そんな都合の良い事だらけの事が存在するのかは謎だけど


メリルのやる気に満ちたキラキラした笑顔を見たからには


やるっきゃない!





という事でやって来ました商業ギルド♪



「そういう訳なんで、ミリーさん新事業をしませんか?」


「そういう訳が何かは聞かないけれど、シン君がいつも突然なのはもう慣れたわ、それにしても新事業なの?新しい料理とかお菓子じゃなくて?」


「新事業ですね、俺が必要な物を提供するので商業ギルドが運営して欲しいんですよ」


「まずは詳しい事を聞いてからね」






俺がメリルに提案されたのは


『配送業務』と『貸しテント』



まず配送業務


この国の荷物を運ぶ道具と言えば、馬車と荷車


馬が引く馬車は沢山の荷物を運ぶ事が出来て街の大通りでは便利だけど、小回りが効かず細い道では使えない欠点がある



それをカバーする為に登場するのが人力で運ぶ荷車


小回りは効くけど木製の荷車その物がかなりの重量があり、屈強な男数人で運ばなければならず効率は超悪い



そこでメリルが考えたのが、俺が持ってるリヤカーを使っての配送業務


リヤカーなら1番小さい物でも約200キロの荷物を乗せる事が可能なうえに、上手くやれば子供でも一人で運ぶ事が可能なんだ


キャラバンシティは商人の集まる街、青果物から武器防具、建築資材に至るまでありとあらゆる物が集まるので、運ぶ荷物に困る事はない


当初はリヤカーの素材で騒ぎになる事を懸念して、木目柄のテープを貼ったりしてたけど、ドワーフでさえステンレスやアルミを知らなかったので


街の人に見られても鉄との区別がつかず騒ぎになる事は無いだろうという事で、遠慮なくリヤカーを使える。



この街も大分改善されたとはいえ、まだまだその日暮らしでギリギリの生活をしている人は多い


そういう人達を日雇いして配送業務をしてもらい、働きぶり次第で長期契約や正式採用する計画だ。




次に貸しテント


その日暮らしでギリギリの生活をしている人が多いのは既に説明した通りだが


では、その人達が日々の生活で節約するのは何か?


それは『宿代』か『飯代』のどちらかになる



宿代を節約した場合、街の空き地で寝る事になる、冒険者なら天幕を持ってる奴も居るけど


たいていは着のみ着のままで寝ている


そうすると、寝ている奴の荷物を盗もうとする馬鹿が現れる


俺からすると着のみ着のままの奴から何を盗むのかさっぱり分からんけど、窃盗や喧嘩等の揉め事は後を絶たない



次に飯代を節約した場合


その場合は宿に泊まるので窃盗には会わないけど、空腹が原因でイライラして喧嘩をする奴が後を絶たない


そして無銭飲食をして捕まる奴も後を絶たない



そこで登場するのが、またまた俺の持ってるテントだ


一人用の簡易テントならスキルの「店」で10mp、約千円で購入できる、安いけどそこは世界に誇るジャパンクオリティ、、、を模した創造神様製だけど


隙間風も入らないし雨漏りする事も無い、組み立ても解体も簡単だから、商業ギルドで専用の場所を確保して貸し出す


個人的には旧領主邸の庭が良いと思うんだよな、あそこなら無料で使えるし塀で囲まれててある程度プライバシーも守れそうだ


料金は1泊銀貨1枚で貸し出したら、控えめに言ってボロ儲けだよ(笑)



条件次第で割引き料金にするとか、配送業務で雇った人には無料でテントを貸し出すのもアリだろう



ただし、このままではセキュリティの問題が解決してないので、池田屋商会で警備専門の部署を作る事にした


人材は何処かの馬鹿な貴族が他国から違法に手に入れた奴隷達


馬鹿な貴族は捕まったけど残された奴隷達の処遇に困っていたらしい。普通なら即奴隷解放されて祖国に返すのだけど


祖国では元奴隷にまともな扱いは期待出来ないらしく奴隷解放を拒否


強制的に送り還す為の費用も人材も何処からも出ない為にどうするか困っていたところ



「池田屋商会で面倒を見れば良いじゃない♪」と、アストレア様の鶴の一声で即決定


俺にまた奴隷が増えました。



『池田屋商会見廻組(仮)』として


まずは研修としてこども園の周辺をメインに警備の仕事をして貰う予定だ。





『配送業務』と『貸しテント』


池田屋商会としてはさほど儲からないし、基本的には商業ギルドに丸投げ予定だから俺やメリルが直接関わる事もほぼ無い


メリルが凄くやる気だっただけに、それはいいのかとメリルに訪ねたら


良いそうです。



『配送業務』と『貸しテント』が上手くいけば、ぐるっと回ってまた違う商売が出来そうな予感がするんだとか。


メリルさん、仕事熱心なのは良い事だけど、人手不足になる事は避けて頂きますようお願い致します。



こんな感じでメリルから新事業を提案されたけど、説明するのは会長の俺でなければ駄目らしいので


頑張ってミリーさんに説明してる最中です。





「という事で『配送業務』と『貸しテント』を商業ギルドでやって欲しいんですけど、どうですかミリーさん」


「シン君にしては凄く真面目な仕事の話だったわね、お互いに損は無いし試しにやってみる価値は充分あるわ」



何故だ?俺はいつも真面目な話しかした事無いと思うんだけどなぁ



「とりあえず料金やその他の細かい打ち合わせは後日改めてですかね?」


「そうしてくれると助かるわ、場所の確保とか色々と手続きもあるから。新事業の話はいったん終わりにして、私シン君に聞きたい事があるのよ」


「聞きたい事ですか?商売の秘密とかは答えられませんけど、遠慮無くどうぞ」


「たいした事じゃないから大丈夫よ、シン君は商人組合の会合に出るのはやっぱり面倒なのかしら?」


「ん?、、、確かに面倒そうですけど、この街にも商人組合があるんですか?」


「・・・え゛っ?!」


「え?」






もう何回目だろうか『えっ』じゃなくて聞いた方が不安になる『え゛っ』っていうリアクションを見るのは


不安しかないけど、頑張って話を聞くっきゃない!






つづく。

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