第197話 叱られるおっさん
「えっと、シン君は商人組合の事は知らなかった、という事でいいのかしら?」
「そうですね、この街の規模ならあってもおかしくないとは思ってましたけど、そういう話は全然聞かなかったんで無いんだと思ってましたよ」
「そう、、、」
あれー?
まただよ、これも何度目か忘れたけどミリーさんが頭を抱えてしまった、俺と話をするとミリーさんはよく頭を抱えてしまうんだよな
「あのうミリーさん、とりあえずお菓子食べませんか?今日はハチミツを使った新作プリンです、表面をキャラメリゼしたんで香ばしくてパリッとした食感が楽しめますよ♪」
「、、、ハチミツ、、、プリン?」
「そうですハチミツプリンですよ♪お好みでカラメルソースかけて下さいね、はいどうぞ」
「、、、美味しい、、甘くてほろ苦くて凄く美味しいわぁ~~(泣)」
あぁ~、ミリーさんが泣いてしまったよ
なんだか俺のせいで本当に申し訳ございません。
「ふぅ~、ハチミツプリン大変美味しゅう御座いました。」
「お粗末様でした。」
プリンを3個完食してミリーさんも落ち着いたみたいだ
「それで何処まで話していたかしら?」
「組合があるのを知らなかったって所までですね」
「そうだったわね、確かにこちらから知らせた事は無いからしょうがない部分はあるけれど
ひと言質問なり相談なりがあってもよかったと思うのよ、シン君の立場を考えると普通の人は気軽に話しかけるなんて難しいのよ
そのせいで組合からシン君が会合に来ないのは商業ギルドが何かしたからだろうとか、裏で何か企んでるんだろうとか散々言われたんだから」
「ん?、、、ミリーさんいまいち話が見えないのですが、、、組合に入る前から会合に出る出ないの話をされても困りますよ」
「・・・え゛っ(汗)」
「その反応でなんとなく察しましたけど、俺も含めて池田屋商会では誰も組合に入ってませんよ」
「ちょっ、ちょちょちょちょっと待ってちょうだい!シン君は池田屋商会の会長よね?
貴族の御用商会でもあるんだから、普通は組合に入ってるでしょ?」
「普通が何かは分かりませんけど、、、
そういえば、池田屋商会はアメジスト商会が潰れた時に、中身をそっくりそのまま引き継ぐ形で設立しましたよね
設立当初はアストレア様が仕切っていたはずなんで、組合の事もアストレア様が対応した可能性はあるんじゃないですか?」
「あっ、、、ちょっと待ってて頂戴!」
ミリーさんが自身の机から書類の束を出して確認しているけど、これで組合に加入してたらどうしよう(汗)
あぁ~、その心配は無さそうだ
何故ならまたミリーさんが頭を抱えてしまっているもの
「ミリーさん大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ、そしてごめんなさい、組合に関する書類があったのだけど池田屋商会の組合加入は無期限の保留となっていたわ、アストレア様のサイン付きでね」
おお!
勝手に加入するでもなく拒否するでもなく『保留』とはアストレア様の優しさが感じられるぜ
「ミリーさん、という事はこれからも組合には入らなくて良いって事ですよね♪色々やる事があるんでこれで失礼しま」『ガシッ!』
「ちょっと待って!」
ぐぁっ!
帰る為に立ち上がろうとした瞬間、ミリーさんに腕をガッチリ捕まれてしまった
それはもう指の跡が付くんじゃないかと思うくらいのチカラ強さで
「ミリーさん腕が痛いです(泣)」
「それについてはごめんなさい、でもね、私、シン君の為に頑張ってると思うのよ
恩着せがましく言うつもりは無いんだけど、恩を感じてくれているなら今回だけは私に恩を返すと思って組合に入って貰えないかしら?」
「えぇーっと、組合って凄く面倒くさそうですよね
昔から仕切ってるジジイの言うことを聞かないと駄目だったり、暗黙のルールがあったり、新参者には発言権が無かったり
俺は人付き合い苦手なんで嫌われて除け者にされそうなんですよね、だったら最初から組合に入らず陰口言われる方が良いかなぁなん、、、て、ミリーさん?!」
「シン君、私だってかよわい女の子なのよ(泣)人族からしたらそうは見えないかもしれないけど、だから朝昼夕と毎日訪ねて来る組合員のクソジジイから嫌味を言われるのはもう嫌なの!
毎日ネチネチネチネチ、暇なのかしら(怒)だからお願い、組合に入ってよぉ~~~(泣)」
おぅふ、これはどうしたらいいんだ?
とりあえず助けを求めるように左側を見る、完全に気配を消して関わらないようにしてるけど
ニィナよ
主を助けるのは護衛の義務だと思うが、俺の事はどうでもいい
だから、ミリーさんを慰めるぐらいはしてくれーーーー(泣)
つづく。
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