第189話 いつかまた会う、その日まで

「みんな、お宝は袋に詰めたかー?ってニィナ、カスミ、スミレはお宝は持って帰らないの?」


「はい、我々は主様と一緒に居られればそれで充分です。それにお世話になった方へのお土産は確保していますので問題ありません。」


「カスミとスミレも?」


「宝石を持っていても使い道が無いので、出来れば畑にあった野菜を少し譲って頂けないか、ゴレさんに聞いて欲しいです」


「スミレはメロンの方が好きー♪」




スミレはそうだよねー(笑)



そりゃあ宝石の使い道なんて売るかパーティーに付けて行くくらいだけどさぁ、お宝より野菜が欲しいとか欲が無さ過ぎやろ




「そういうダンナもお宝は持って無いじゃん」


「俺はこのオーブンとミキサーがあるからいいんだよ、宝石付きの宝箱もあるしな


ケイトもあんまりお宝持って帰らないんだな」


「そりゃあダンナと一緒に居たら金は使わないから、記念品として少しあれば充分だよ」



うーむ、金に困ってないとお宝を見てもこんな感じになるのか



「メリルもお宝には興味無い?」


「自由に持っていって良いなら遠慮する理由は無いかな、将来外国に商会の支店を出す時の資金として、私は袋に入るだけ持って帰る!


王国の金貨や銀貨だと価値が低くなっちゃう可能性もあるからちょうど良いよ♪」



ははは、メリルはやっぱそうでなくっちゃな♪ちょっと安心したよ、俺も宝箱に入るだけ持って帰るか



おや?


あそこにあるのって


『鑑定』


ほぉほぉ♪



「ケイト良いもん見つけたぞ、これは持って帰れよ、ほれ」



俺は宝の山から見つけた物をケイトに放り投げる



「おっとっと、、、剣かぁ、こういう剣って実用性が無いんだよなぁ」


「そう言わずに鞘から抜いてみろよ、驚くぞ」


「そうなの?どれどれ、、、へぇー白っぽい刀身って珍しいね」


「その剣、俺の鑑定だとミスリル製だよ、しかも柄にハミングバードが彫られてるだろ、その効果で素早さが上がるらしいぞ」


「おとぎ話に出てくる伝説の剣じゃあるまいし、そんなとんでもない剣があるはずないよ(笑)」



俺もそう思うけど鑑定で出てるからなぁ、ケイトは鞘から剣を抜いてブンブン素振りして確かめてるけど、どうかな?



『ヒュヒュン!』


「うわっ?!本当に素早さが上がったよスゲェな浮島のお宝、あたしこれ持って帰る♪」


「良かったな、これでアイアンメイデンじゃなくてハミングバードって二つ名に変更だな♪」


「ダンナァ、それは言わないでよぉ(泣)でもハミングバードかぁ、えへへ♪」


「それじゃあみんな、忘れ物は無いな?それぞれのお宝は俺の収納に入れてと


ゴレさん、畑の野菜少し欲しいんだけだ良いかな?」


「畑の作物は好きなだけ持って行って良いよ、ボクしか食べないから、それに飽きちゃったしね


ねぇ、キミ達に付いて行ったら美味しい食べ物が食べれるの?さっきの凄く良い匂いはキミがやったんでしょ?」


「そうですけど付いて来るのは困るかなぁ、街にドラゴンが居たら騒ぎになりそうですし(汗)」


「むぅ、、、迷惑かけちゃうと女神様に叱られるからなぁ」



「ドラゴンさん落ち込まないで下さい、さっきの匂いの正体はコレです、コレなら沢山差し上げますので」



俺はスキルの「店」から目についたタレ各種を、片っ端から購入してドラゴンさんの前に並べていく



「わぁ♪微妙に容器が違うけど、全部味が違うの?」


「そうですね、あんまり期待されても困るんですけど、これなら生でも焼いた物でも、肉と野菜を飽きずに食べれると思います。」


「嬉しいなぁありがとう♪ねぇねぇ、人の姿をしてたら街に行っても大丈夫だよね、女神様にお願いして人化の魔法教えて貰うから、そしたら遊びに行くね♪」


「そっ、そうですか」




とりあえず今すぐ来るとかじゃなくて良かった、新キャラはもうお腹いっぱいで要らないんだけど異世界小説定番の


フェニックス、リヴァイアサン、妖狐、ヴァンパイア、ドリアード、リッチ等々


他にも各種ドラゴンが存在してるんだろうなぁ


だってここは


『テンプレな異世界』なんだから




今はいつ来るか分からないテンプレ展開より、我が家に帰るのが先だ!



「みんな、お宝も手に入れたしさっさと我が家に帰るぞ!」


「「「「「おー!」」」」」



急いで洞窟から出ると、辺りは薄暗くなり始めている



畑の野菜も急いで収納して、、、


よし!



「みんなハーネス付けるから集まってくれ、、、ニィナ、ケイト、そっちに先にパラシュート付けるけど準備は良いか?」


「ひぃぃぃ、良くは無いけど早くしてよぉ」


「それじゃあパラシュート装着っと」


『ブワッ』


「ケイト殿、女は度胸ですよ♪」


「だから、こんな度胸は要らないよぉーーーーーー(泣)」




あははは、ケイトはやっぱり高いところが苦手か




「よぉーし、ニィナとケイトも無事に飛んだし、俺達も行こうか」


「うん♪」「はい!」「あい!」



「ドラゴンさんにゴレさん、浮島探検楽しかったです、それじゃあ行きますね」


『ブワッ』


「気を付けてねぇ~♪」


「「「「ばいばーい♪」」」」




よし、ちょっと薄暗くて分かり難いけど、予測通り浮島はキャラバンシティの近くを通ってるな





「ご主人様!あそこを見て下さい」



カスミに言われた方向を見ると




ドラゴンさんと、ゴーレムのゴレさんが手を振っている


しかもその横には



ルファ、ベーやん、ガンマン、ルタ姐、イプ兄、ゼタ丸、イーさんも並んでこちらに手を振ってくれているじゃないか



まったく



ゴーレムなのにそんな事されたら、別れが寂しくなっちゃうだろ



「写真撮っておきますね『カシャカシャカシャカシャ』次に会えるのは10年後なんですよね・・・」


「カスミ大丈夫や、案外もっと早く会えるかもしれん」


「はい!」



ふふっ


カスミは知らんやろうけど、別れ際にゴレさんから渡された物がある



『50.6MHz』と彫られた石だ


この数字は無線機の周波数だろう、だからこの周波数に合わせればゴレさんと連絡がとれるはず


だから連絡すれば毎年来てくれるんじゃないかな


帰ったら無線機のアンテナ建てなくっちゃ♪






心の定義なんて曖昧だし、ゴーレムに感情があるのかも全然分からんけど


俺とゴレさんは確かに心を通わせたはず


だからゴレさん


次に会う時まで元気で



「ほな、またなぁーー!」






つづく。

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