第188話 戦い終えて日も暮れる
「ズズー、、ヒック、、、目が、、エック、、イタイよぉ~(泣) うぅぅ、、」
俺達の前には、ゴレさんに抱き抱えられながら涙と鼻水まみれのドラゴンが居るのだが
これはいったいどうすれば、、、
「えぇーと、ドラゴン、、さん、もう戦わないって事で良いのでしょうか?」
「う゛ん゛、もう、ヒック、、戦わない、だから目をどうにかしてよぉ~(泣)」
「じゃあ桶に水出すんで洗い流して下さい」
『ドボドボドボドボ』
俺は収納から取り出した桶に魔法で水を出して注いでいく
『バシャバシャ!バシャバシャ!』
「はぁ~痛かったぁ、酷いよぉ女神様の道具を使うなんてぇ!」
そうか、やっぱりスキルの「店」の商品は創造神様の創った物だったか、元世界から取り寄せてるとかでは無かったんだな
「それは申し訳ないと言いますか、こちらもいきなりドラゴンさんと戦うとか知らなくて」
「先に教えると試練にならないから仕方ないけどさぁ、ここは勇気を試すだけだから怪我をしても勝手に治るんだよ
キミ達も使ってる魔法と似たような物かな、当然ボクの怪我も治るから本来ならボクを倒すとか無理なんだけど、女神様の道具はボクのチカラより強いから
そこの黒いエルフの棒も女神様の道具でしょ?」
「そうですね、それでドラゴンさんを倒して世界の理(ことわり)を知れ、というのは?」
「そのセリフに意味は無いよ、女神様は雰囲気作りだって言ってたけど、ボクにはよく分かんない」
創造神様が何を参考にして試練を作ったのか気になるけど、知らない方が幸せでいられる気がするよ
「この試練というのは勇者の為の物なんですか?」
「一応勇者の為に作られた試練だけど、今まで勇者が来た事無いし女神様もそこまで勇者に興味は無いみたい」
この世界の勇者が何処に居るのか知らんけど、、、
あっ!
忘れてたけどイセガミさんって勇者召喚されてこの世界に来たんだった、イセガミさんが勇者として何かする事は無いだろうなぁ
他にも勇者召喚された人が居たっぽいけど、こっちに迷惑がかからなければどうでもいいや
「それでドラゴンさん、この洞窟はここがゴールって事で良いのでしょうか?」
「うん♪それと見事試練をクリアした景品があるから受け取って。奥に部屋があるから」
ドラゴンさんに案内されて奥まで行くと、そこにはいかにもな感じの石の扉があった
「じゃあ開けるね、開けぇ~ゴマ!」
『ゴゴゴゴゴゴゴ』
石の扉がゆっくりと横に移動していく
「おおっ!」
「「「「「わぁ♪」」」」」
扉の奥には、アニメや漫画で見た事あるような金銀財宝の山が鎮座していた
そして目を引くのは、金銀財宝の山の前に置かれた3つの宝箱
左右の2つは木で出来た宝箱なのだが、真ん中のやつには、ダイヤ、サファイア、エメラルド、他にも見た事無い宝石がびっしり付いた、凄く怪しげな宝箱が1つ
ゲームだとあの真ん中の箱は人を喰うモンスターっていうのが定番だけど、、、
「ドラゴンさん、あの宝箱って罠じゃないですよね?」
「試練をクリアした景品だから安心してよ、それと真ん中の箱は女神様のメッセージ付きだから、開けて貰わないと困るんだよね『パカッ』」
『ボワワワワ~ん』
おお!
宝箱から出て来た光が創造神様っぽい輪郭を作っとる
『勇者よ、第一の試練クリアおめでとうございます。残る十一の試練を乗り越え世界の平和を護るのです!
ではまた次の試練で会いましょう♪』
《シンは経験値を100万手に入れた》
レベルが12上がった
HPが305上がった
MPが86229上がった
範囲魔法が使えるようになった
牡羊の宝珠を手に入れた
う~ん
宝箱の中身が経験値なのは分かるけど
MPが異常に上昇してるのはどうなのよ、魔法を駆使してもっと美味しい料理を作れっていう無言の圧力だったりするのか?
自分の為にも美味しい料理は作るからいいけど
次は範囲魔法
勇者なら必須な魔法だよな、俺だとあんまり使わないかもしれんけど、1回でみんなに自動回復をかけられるなら楽にはなるか
残った宝石付きの箱はこれだけでもかなりの価値がありそうだし持って帰ろう
宝石だけバラして貴族の贈り物用にしても良いかもしれん
最後に牡羊の宝珠
凄く綺麗な珠だけど、、、
今は収納に入れてそっとしておこう、こんなに分かりやすくいかにもな宝珠、テンプレ展開が大挙して襲って来る未来しか見えん!
「ねぇダンナ、さっきの光って、、、」
「教会にある女神像に似てたよな」
「ああ、うん、そうだね」
みんなのリアクションから、どうやらメッセージを聞けたのは俺だけみたいだ
とりあえず残りの箱を開けるか『パカッ、パカッ』
『ボワワワワ~ん』
ん?
箱がそのまま形を変えて、これは
オーブンと業務用卓上ミキサーやん♪
しかもよく見たらこのオーブンとミキサー、魔石に魔力を充填して使うやつや!
めっちゃええやん!
今年はこれで七面鳥焼けるで♪
ちーちゃんさん、最高の景品をありがとう!
「おにいちゃん、それってそんなに良い物なの?」
「勿論だよメリル!これで更に美味しい料理が作れるよ
おっと、うっかりしてたけどそろそろ帰る時間だな、みんなそれぞれの背負い袋に入るだけお宝を詰めたら帰るぞー」
「わざわざそんな事しなくても、おにいちゃんの収納に全部入れたら良くない?」
「これから浮島に来る奴等に少しは残さないと、わざわざ来たのに宝が無かったらガッカリするからね」
「もう!男の子ってよく分かんない事ばっかりするんだから!」
「あははは、お嬢怒んないであげてよ浮島は冒険者の夢なんだからさ、ダンナの優しさはありがたいよ」
ケイトさん、もっと言ってくれて良いんだぞ♪
それに、男の浪漫は女には理解されないもんさ
つづく。
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