第159話 愛と宿命と自転車 その3

ニィナの復讐相手、主君の仇が判明した


レオニード・オフューカス


ニコライ・オフューカス


この2人だ、運良く兄弟であり2人まとめて復讐出来るのはまさに僥倖というやつだろう。




俺がニィナに一緒に復讐しようと約束したあの日から、俺はどうやって復讐するかをずっと考えていた。


出来ればもっと商人としてチカラを蓄えてからにしたかったんだけど、そうも言ってられない


ゲオルグ様が裏で動いている以上、ちんたらしてる間にオフューカスの一族郎党が処刑台送りになっても驚かないが


復讐する前にそんな事になったら笑い話にもならんからな



俺がずっと考えていた作戦は


復讐相手の領地周辺に居る有力貴族を、俺の持ってる元世界の知識とチート能力をフル活用して味方に引き込むと同時に


出入りしている商人達を残らず買収



(現在は既に復讐相手がオフューカスと判明しているので子爵領の周辺になる)



買収に応じない奴には、脅迫、色仕掛け、貴族の威光等々、ありとあらゆる手段を使って首を縦に振らせ経済を裏から操り


半年から一年ほどかけてじわじわ経済を破綻させつつ、第二、第三弾の攻撃を仕掛ける


という予定だったんだけど、作戦変更だ!



短期決戦の第一弾として商業ギルドを通して王国十二家に砂糖の製法を記した手紙を送ったんだ、その料金総額なんと金貨12枚


高ぇよ!!


でもちゃんと手続きをしたお陰で商業ギルドが中身を保証してくれて、読まれず棄てられる可能性が減るんだ、ゼロにはならないけどな(泣)


いきなり平民から手紙が来ても、裏庭の落ち葉と一緒に燃やされちゃうのがオチだ


それに少なくともアストレア様は手紙を読んでくれるだろうからそれで充分だ


手紙を読まないで棄てた奴等は頭を抱えて後悔しやがれってんだ(笑)





短期決戦の話に戻るけど、問題もある


レオニードの姿は街の外のキャンプ地で確認しているけど、弟のニコライの方は未確認だ


子爵家当主のレオニードがキャラバンシティに来ているのだから、その間弟は領地を守ってるのが普通だろう


そうすると短期決戦は難しくなる


だが俺は思う、ニコライも一緒にキャラバンシティに来ているのでは?


もし、オフューカス兄弟がゲオルグ様が裏で動いている事を察知しているとしたら、色々と探られないように一緒に領地から出て来ている可能性はあるんじゃないだろうか?


ミリーさんもオフューカス子爵はなりふり構って居られなくなったのでは?と言っていたし、街の外のキャンプ地をもう一度確認に行かないとな




「ご主人様!」



商業ギルドから出た所で俺を呼び止めたのは、商会の本店で働いている犬耳獣人のマックス、年齢は確か10歳だったかな?



「やあマックス、俺を探してたって事は緊急の用件か?」


「はい!先程オフューカス子爵の使いの方が来て、、、えぇーっと、その、、、」


「なんか分からんけど俺は気にしないから聞いた通りに話していいよ」


「では、失礼を承知で聞いたままをお伝えします!


本日、光栄な事に下賎なる愚民が経営する池田屋商会に、オフューカス子爵家当主自ら視察をしてやるから、もてなしの準備をして待っていろ。だそうです。」




おおっ!


なんとまあ分かりやすく見本のように嫌な奴が使いとして来たもんだ



「マックス、商会の方は準備出来てるか?」


「はっ!第二おもてなし体勢で準備完了しています!」


「よし!急いで商会に行くぞ!」




ウチの商会ではお客に対していくつかおもてなしに種類がある


通常のおもてなしの他に、第一と第二のおもてなしだ


第一は、アストレア様のように本気のおもてなしが必要な時、ゲオルグ様も第一の対象だ



そして第二


これはオフューカスのような要注意人物に対して行われる。


表向きは全力でもてなすが、裏では最大限の警戒体勢が敷かれる


基本的にはピスケス伯爵家を盾にしてさっさとお帰り頂く方針だ




今まで聞いた噂によると、オフューカスってのはいわゆるテンプレな馬鹿貴族っぽいんだよなぁ


こんな所にテンプレはいらないよ(泣)




だがしかし


オフューカス、お前達は絶対に許さん!




いざ参る!






つづく。

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