第151話 池田屋商会下着騒動
朝、目が覚めると
はぁ
思わず溜め息が出てしまった
いつも俺の隣で寝ているカスミとスミレの頬に濡れた跡があったからだ
嫌な夢でも見たのかもしれない、姉妹だからなのかこういう所で何故かシンクロする時があるんだよな
2人が俺の奴隷として来る以前の事は一切聞いてないから、どんな人生を送って来たのか俺は知らないし興味も無い
俺が知りたいのは、今を楽しく過ごせているかどうかだけだ
今朝もスミレの隣で腹を出して寝ているケイトも、悩みなんか全然無さそうなのに色々あったからな
ニィナもそうだけど、メリルにも当然悩みのひとつやふたつあるだろう、それで俺に出来る事は・・・
っていうか朝から色々考えて俺が落ち込むんが1番あかんやつやろ!
腹が減ってる時に考え事はいかんな、さっさと起きて飯を食おう!
「みんな朝だぞ、起きろー♪」
『ペチペチ』
「ケイト腹が冷えるぞー」
「・・・ふぇ?」
「にゅ~、おはよごじゃます」
「はい、スミレおはよう」
今朝もいつものように眠たそうにしてるスミレを抱っこすると、そのまま二度寝をしてしまった
まったくこんな甘えん坊に誰がしたんだ!
俺だよ(笑)
「カスミおはよう」
「ご主人様おはようございま、、、す?」
俺がカスミの頬をタオルで拭ってやると、カスミは不思議そうな顔をしている
「糸屑が付いてたからな、もう取れたで」
「ありがとうございます♪」
今はこれが俺の精一杯だ、いずれ夢の中であろうと笑顔にしてみせる!
だからそれまでもう少し待っていて欲しい。
「ニィナ、メリルも起きろー」
俺はみんなを起こしスミレを抱っこしたまま1階に行くと、そこにも既に見慣れた光景がある
「シンさんにスミレちゃんおはよう♪」
「お藤さんおはようございます、スンスン、なんだか不思議だけど良い匂いがしますね♪」
「朝食は、ナシゴレンと海老入り生春巻きにしてみました。これもエスニック料理なんだけどどうかしら?クセの強い食材は入れて無いんだけど」
おお!
お藤さんって和食も作るけど、外国の料理も得意なんだよな
「良い匂いですし大丈夫だと思いますよ。ナシゴレンは、、、焼き飯?」
『きゅるるるる~』
ありゃ?
いつの間にかスミレが起きていて、鼻をクンクンさせている
こういうの見ると凄く犬っぽくて可愛いんだよな♪
「ふふふっ、まあ似たような物ね、スミレちゃんのお腹が限界みたいだし、料理を並べるの手伝って貰えるかしら」
「「はーい」」
『コンコン』
「シンさーん、おはようございまーす、アルでーす。」
こんな早朝から我が家を訪ねて来るのはウェンディさんだけかと思ったら、今朝は珍しくアルだった
まさか朝食を食べに来た訳じゃ無いだろうし、商会でトラブルでもあったか?
「今開けるよー、、、『ガチャ』おはようアル、朝からどうした?」
「こんな時間にすみません、たいした事では無いのですが、一応シンさんにお知らせしておいた方がいいと思いまし、、て、、、スンスン、、ほぉ、何とも食欲をそそる良い匂いがしますね♪」
アルは嬉しそうに笑顔のまま俺を見つめて動かない・・・
ただの屍のようだ
冗談はさておき
「えぇーと、朝食一緒に食べるか?」
「喜んで!!」
はぁ~、とりあえずアルには俺をじっと見つめるのを止めさせよう、朝から男に見つめられても全然嬉しくないからな
「ダンナ早くー!お腹空いて倒れちゃうよぉ~(泣)」
リビングに行くと既に朝食は並べ終わっていてみんなが俺を待っていたけど
俺の後ろにいるアルを見たニィナとメリルが嫌そうな顔をしてるのが笑えるな(笑)
「みんなお待たせ、お藤さんすみませんが一人分追加をお願いします。」
「はーい」
「皆様おはようございます。初めましての方も居ますので、自己紹介をしましょうか
池田屋商会で人事を担当しております、アルヴェロヴェールと申します。気軽にアルとお呼び下さい
それにしてもシンさんの御自宅には興味深い物が沢山ありますね♪」
「気になるなら好きに味見していいよ、それじゃあいただきます。」
「「「「「「いただきます♪」」」」」」
「いただきます」
アルが興味を持ってるのはテーブルに置かれた調味料セットだ
我が家では食事の時に醤油やマヨネーズ等、各種調味料は自由に使えるようにしてる
それよりも、ナシゴレンめちゃ旨やな!
未だにエスニックが何なのかさっぱり分からんけど(笑)
生春巻きも初めて食べたけど、あっさりしてるから朝食にはぴったりだな♪
ふぅ~、満腹でございます。
食後の緑茶が癒される~♪
あっ!
「すっかり忘れてたけど、アルは何か用事があって来たんだよな?」
「そう言えば、すっかり忘れてましたね、アハハハハハ。
実はパール男爵家の使いの方が商会に来られまして、男爵家の御令嬢が下着を買いに商会にやって来るそうですので、一応シンさんに確認をとるまで使いの方にはお待ち頂いてます。」
「そうか、、、って使いの人をずっと待たせてんのか?ゆっくりお茶飲んでる場合かよ!」
「あはははは、心配いりませんよ、使いの方には池田屋商会自慢のお茶とお菓子を沢山お出ししていますから♪
それに、本人が商会に来るのは昼頃で、こちらの返事に関係無くやって来るそうですから」
それは良いのだろうか?
相手は貴族だし、こんな早朝から使いを寄越すって事は
「しっかり準備して待ってなさい!」って感じだろうか?
下着に関してはアストレア様の紹介状を持っている人にしか売らない決まりだ
その紹介状を持って来たのもまだ2人しか居ないんだけど、これから来る男爵令嬢も紹介状は持ってるよな?
これまで紹介状を持って無い人達は、幾ら出せば売ってくれるんだ?とか
資金提供をするから沢山作って売って欲しいとか、事前にそういう問い合わせをしてくるだけだった
万が一紹介状を持って無い時はどうしよう(汗)
「ご主人様ー!大変ですーーー!!」
額に汗を光らせながらやって来たのは、本店で働いている猫耳獣人のミーナだ
「そんなに急いでどうしたミーナ?」
「ききっ、貴族の御令嬢が下着を求めて商会に殺到してます!その数12人です!!」
なっ?!
なんですとーーーー!!
つづく。
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