第131話 お菓子を食べて貰う仕事

現在部屋の中には


アストレア様


ミリーさん


ウェンディさん


メイドのシンシアさん


そして俺とニィナが居る




「シンさん、皆も揃ったし話を聞かせて貰えるかしら」


「分かりました、現在キャラバンシティの冒険者ギルドが閉鎖中なのは皆さん御存じだと思います。そのせいで仕事の無い冒険者が増えていて、このままでは街の治安が悪くなります


そこで、アストレア様には冒険者ギルドの再開をお願いしたいのです」


「それは難しいわね、冒険者ギルドは国が管理しているから私の一存ではどうにもならないのよ、勿論以前から国にはギルドの再開を要請しているんだけど未だに良い返事は無いわね


そしてキャラバンシティは今、とてもデリケートな状態になってるのよ


水が涌き出るように発展するこの街を何処が管理するかで、国、鷹派、中立派、保守派で睨みあって4すくみ状態なの、そこにドワーフやエルフが絡んで来て誰も手が出せなくなってるのよ」



「それって、普通は国が管理するのでは?」


「普通ならそうね、でも国が管理する冒険者ギルドが問題を起こしてしまった為に信頼を失ってしまったのよ、国が管理すればまた問題を起こすんじゃないかって。


領主にしても、国が選べば当然反対されるわ、各派閥も自分の所から領主を出したいしね」


「それってこの街を取り合って戦争になりませんか?」


「それは大丈夫よ、戦争なんて誰も得しないのは分かりきっているし、下手に手を出してドワーフとエルフを同時に敵に回したくないもの。今の状態を維持して誰も管理しないというのが御偉方の考えね」


「それって国家機密なのでは?」


「その中心にシンさんは居るのだけどね(笑)」



「そうすると仕事の無い冒険者の問題は解決しないんですけど」


「そうねぇ、とりあえず街の拡張工事を手伝わせてその間に解決策を考えましょう」


「仕方ないですね、じゃあ次のお願いに行きますか


わざわざ皆さんを呼んだのは、新作のお菓子を食べながらお茶でも飲もうと思いまして」


「やったぁー、シン殿のお菓子だぁ♪」


「ウェンディ、アストレア様の前ではしたないわよ!」


「ふふふ、はしゃぐ気持ちも分かるわよ、ミリアリアから送って貰って食べたのだけど、シンさんのお菓子はクッキーでさえ王宮晩餐会でも食べられないほど美味しいんだから♪」


「褒めて頂いて嬉しいですね、今日のお菓子は気合いを入れて作りましたので味わって食べて下さいね。さあどうぞ」


「まあ♪」「こっ、これは?!」「わぁーい♪」「ッ?!」



テーブルに出したお菓子を見て三者三様のリアクションが面白い


そして部屋の隅に居るメイドのシンシアさんも驚いてる



今日の為に俺が作ったお菓子は


ティーカッププリン、ティラミス、 おはぎの3つだ




先ずはプリン


ティーカップに入れてゼラチンで固めた物になる


オーブンが無いし、蒸して固めるのも面倒だったからゼラチンを使ったんだけど、この方法なら卵の割合が多くても固くならないから俺は好きだ♪


お好みで苦味を効かせたカラメルソースをかけて食べてもらう


バニラビーンズもケチらずたっぷり使ったから香りも良い


そして、蒸さずに冷やして固めるからティーカップ以外にもどんな器に入れても作れる、見た目もお洒落で貴族に人気が出そうだ♪




次にティラミス


マスカルポーネチーズを使っているんだけど、俺は未だにこれがチーズなのか?と思うくらいチーズっぽく無いチーズだと個人的には思ってる


チーズの可能性の凄さを知って貰うには良いんじゃないかと思う


そしてティラミスの表面にはコーヒーの粉を振りかけた苦甘ティラミスと


ココアを振りかけてから、桜の花の形に切り抜いた紙の上から粉砂糖を振りかけた、白い桜の花が美しい甘々ティラミスの2種類を用意した



最後におはぎ


半殺しにした餅米を、甘さ控えめのつぶ餡で包んだシンプルなやつだ、ひと口サイズにしたから女性でも食べやすいだろう


おはぎは米の美味しさを知って貰う為のお菓子になる




おっさん本気のお菓子3種類、さあどうだ!






つづく。


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