第132話 砂糖の在り処

おっさん本気のお菓子3種類、さあどうだ!




『ガシッ!!』


ん?



「もう私、シンさんを離さないわ!だからぎゅってしちゃう♪」


「ん゛ーーー、アフトヘファ様?!」



どうしてこうなった?


アストレア様に手を握られたから、これからも宜しく的な事かと思ったら


何故か抱き締められている、そして俺はアストレア様の胸圧によって窒息寸前だ


しかし、男としてはこれ以上無い最高の最期なのかもしれん


短い異世界生活だったけど我が生涯に一片の悔い無、、、






「わぁーーー!!アストレア様、シン殿が窒息してしまいますよぉー(汗)」


「あらあら、私ったらつい嬉しくて♪」


「ぷはぁっ!はぁはぁ、、、あれ?ここはまだ異世界?」


「シン殿ぉーー!お気を確かに、あなたのウェンディですよぉー(泣)」


「・・・ウェンディさんを俺の物にした記憶は無いですけど」


「シン殿、酷いですぅ~(泣)」


「ほっ、どうやらシン君も無事みたいね、アストレア様!」


「うふふ、シンさんごめんなさいね、でもこんなに素敵なお菓子を出すんだもの、しょうがないじゃない」


「えぇーと、今回は俺も本気を出しましたから、アストレア様のその反応なら貴族が食べるお菓子と比べても見劣りはしないようですね」


「あらあら、今のシンさんの言葉を宮廷料理人が聞いたら泣いちゃうわ。見劣りどころかこんなに華やかなお菓子なんて初めてよ♪」


「見た目にも味にも自信はありますけど、褒めるのは食べてからにして下さい。シンシアさんも良ければ御一緒にどうぞ、お菓子は沢山ありますから」


「いえ、私は」


「シンさんがこう言ってるんだから、シンシアも一緒に食べましょう。いただきまーす」


「「「「いただきます」」」」



さて、皆さんの反応はどうかな


1番気になるのは、おはぎなんだけど



「あぁー!アストレア様、黒い方のティラミス器ごと持って行かないで下さいよぉ~」


「あら、こっちのは苦味を効かせた大人の味だから、エルフは苦手だと思うわよ」


「シン殿のお菓子は苦くても美味しいですぅ」


「奥様、他にもお菓子はあるのですから、それとも全部完食するおつもりですか?」


「シンシア、そんなに怖い顔をしなくてもいいじゃない、シンさんの手作りお菓子なんて滅多に食べられないんだから。シンシアも遠慮なく食べなさいよ」


「では失礼して、、、まあ♪」




どうやらおはぎも好評のようだ、それにしても用意したお菓子全部食べるのかな?


テーブル一杯に並べてあるんだけど・・・


見てるだけで胸焼けが、、、俺も甘いものは好きだけど1度に沢山は要らない


女の人ってどうしてあんなに甘いものを食べられるんだろう、また謎が増えたよ





「シンさんごちそうさま、とても美味しかったわ♪」


「それは良かったです。私も頑張って作った甲斐がありますけど、全品完食するとは思いませんでしたよ」


「シン殿のお菓子は美味しいですから、まだまだ食べれますよぉ、ですよねミリアリア様♪」


「そっ、そうね、とても美味しかったわ」



あれー?


もう何度目だろうか、俺がお菓子を持ってくる度にミリーさんが頭を抱えてしまうんだよな、お疲れなのかな?



「それでですね、今回食べて貰ったお菓子は、プリンが卵、ティラミスはマスカルポーネチーズ、おはぎは小豆と餅米、この国だとライスですね、それらを主に使っています」


「チーズ?!」「ライス?!」



わぁお!ミリーさんとアストレア様がほぼ同時に



「えぇーと、ミリーさんから何ですか?」


「チーズって言ったわよね?チーズってパンにベーコンと一緒に挟んで食べたあのチーズ?」


「チーズにも色々と種類がありますから、食事にもお菓子にも使えますよ、なのでミリーさんには牛の確保をお願いしようと思ってたんですよ」


「えっ?!ちょっと待って、チーズってそんなに沢山あるの?」


「俺が見た事あるだけでも20とか30種類は軽くあったと思うんですよね、それに前に言いませんでしたっけ?


チーズの種類もチーズを使った料理のレシピも沢山あるんで、早く世間にチーズを普及させたいって」


「・・・言ってたわね」


「ふふふ、良かったじゃないミリアリア、レシピの売り上げでまた儲かるんだから」


「ついでにレシピが欲しい貴族から、お願いという名の圧力も増えますけどね」


「なんだか御苦労をお掛けしてますが、牛の確保よろしくお願いします」


「それは任せておいて、牛のミルクが高く売れるようになれば暮らしが楽になる人が増えるから」



「じゃあチーズは解決したわね、次は私の番よ」


「ライスですね、私の産まれた所だと米って言ってたんですけど、これも種類によって酒になったり、おはぎのモチッとした食感の物もあったり、なのでピスケス領のライスも現物が見たいんです。」


「そういう事だったのね、では旦那様にお願いしてピスケス家で直接オリバーを召し抱えた方が良いわね、シンさんの凄さを知った今ならオリバーも文句は言わないでしょ」


「ありがとうございます。それでは最後に1番重要な話です、皆さん既にお気付きだと思いますが、先程食べて頂いたお菓子には砂糖がたっぷり使われています、おそらくこの国の砂糖よりも数倍は良い物でしょう


この国では原料や製法等は秘匿されているらしいですが、美味しいお菓子の為には砂糖をもっと普及させるべきだと思うのですが、いかがでしょう」


「シンさんが何処から砂糖を入手しているのかの方が気になるけれど、それは聞かない約束らしいわね


この国の砂糖は貴族がガッチリ絡んで来るから難しいのよ、シンさんが自ら砂糖を作るならいいけど」


「私もそれは考えましたけど、絶対面倒な事になりますよね?」


「ふふっ、シンさんがまともな考えの持ち主で良かったわ♪


シンさんのお菓子を食べてから、いずれこういう話題が出るんじゃないかと思ってこちらで密かに調べてたの、なかなか大変だったけれどとある侯爵様からの情報提供もあってやっと判明したの


砂糖を作ってるのはオフューカス子爵よ」



・・・オフューカス子爵だと?


またか、子爵領には良い思い出が無いんだよ



「アストレア様、申し訳ありませんが砂糖の普及は諦めます。」


「・・・ねぇミリアリア、これはオフューカス子爵の陰謀か何かなのかしら?」


「えっ?、、、違うと思いますけど」


「そう、、、だとしたらオフューカス子爵が私に嫌がらせをしているのね。私の楽しみを奪うあのブタ子爵、私自ら冥府に送ってやるわ!!」


「えっ?ちょっとアストレア様?!」


「アストレア様、大丈夫ですから!これからもお菓子は作りますから!貴族が絡んで来るのに、砂糖を普及させるの面倒くさいなぁって思っただけですからーー(汗)」


「うぬぬぬ、、、とりあえずブタを冥府に送るのは延期します」




ほっ、


良かった、、、のか?


延期って言ったよな?中止じゃ無いのかよ


これはどうにか子爵を説得して穏便に砂糖を普及させないと駄目っぽいな(汗)






つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る