第116話 新しいスタートは現状確認から

朝、目が覚めると


スミレの犬耳が俺の鼻に当たってくすぐったい、その隣にはいつものように警棒を握りながら眠るダークエルフのニィナ


反対側にはうさぎ耳のカスミが居て、その隣にメリルとケイト


我が家に帰って来ても床にマットレスと布団を敷いてみんなで寝る事になった


なんだかんだでみんな年頃の娘だからな、こうやって寝顔が見れるのもあと何回だろう


年頃と言ったけどニィナはどうなんだ?ダークエルフは長命種らしいけど年齢は聞いてないから知らないんだよな


女性の年齢に興味は無いから聞く気も無い、だからメリルの年齢も知らない


最初は12歳くらいだと思ってたんだけど、あの頃はガリガリに痩せて顔色も悪かった


俺と暮らすようになってから健康的な身体になったし、成長期なのか背も伸びた


急に大人っぽくなったから成人が近いのかもしれん、その時になれば言ってくれるだろう




サウスビーチで出会った日本人転生者のお藤さんは、しばらく我が家で暮らす事になった


色々話したい事もあるし商会で新しく立ち上げる服飾&下着部門についても相談したいからな、一緒に住む方が都合が良い



そういえば、ニックとスナックはどうするんだろう?


何故か俺があげたテントが気に入って我が家の裏庭でテント生活をしている


以前は野宿生活だったからテントでも快適らしい


部屋を借りれるだけの報酬は渡してるけれど、わざわざ追い出す気も無い


まあそのうち部屋を借りて出ていくだろう




さて、そろそろ起きて朝飯作ろう



「みんな起きろ~」


「うにゅ~」



みんな今日は眠そうだな、やはり旅の疲れがあるんだろうスミレも寝ぼけてるよ



「ほらスミレ、抱っこしてあげるからおいで」


「う~ん」



俺はスミレを抱っこして1階に降りる


あれ?スンスン、良い匂いがする♪



「シンさんにスミレちゃん、おはようございます」


「お藤さんおはようございます、朝食作ってくれてるんですか?」


「ええ、米や醤油を見たらどうしても自分で作りたくなって、厨房にある食材を勝手に使っちゃったけど大丈夫よね?」


「大丈夫ですよ、厨房にあるのはどんどん使って下さい」


「ダンナァ、おふぁよぉ~」


「あら、今日はみんな眠そうね(笑)でも、ケイトちゃん!」


「ふぇ?!」


「年頃の娘さんが人前でだらしない格好をしてはいけません!眠いなら井戸で顔洗ってらっしゃい」


「えーと、井戸の水はスゲェ冷たいんだけど」


「目が覚めてちょうどいいじゃないの♪早くいってらっしゃい」


「は~い」



お藤さんってオカンみたいだな(笑)



「みんな席に着いてちょうだい、朝食はお味噌汁、たまご焼き、鮭の塩焼き、炊き込みご飯、にしてみました」


「それでは、いただきます」


「「「「「「いただきます」」」」」」



いいねぇ、甘いたまご焼きに炊き込みご飯 、実家のご飯って感じがする


こうなると少しベタっとした焼き飯と吉○新喜劇が観たいとこだ、土曜の昼飯っていえば『焼き飯』か『焼きそば』が定番だったな♪








飯も食って腹一杯でまったりしていたいが、俺には仕事が待っている


流石の俺でも分かる、今の池田屋商会は大商会と呼ばれる規模になってる


そうなると会長である俺は仕事が山積みだよ、とりあえず俺が留守の間に問題が無かったかの確認からだ


まずは我が家の裏庭に住んでる甘味部門の2人から行こう



「おーい、ニック、スナック起きてるかー?」


「アニキ待ってたぜ、コレ食ってみてよ」


「新作のクレープか?上になんか乗ってるな、、、細かくして炒ったパンか?」


「あぁ~、なんで食べる前に分かるんだよぉ」


「兄ちゃん残念だったね、でもアニキはやっぱ凄いや!今まで食べずに当てた人は居なかったんだ」


「それにしてもなかなか良い発想だよ♪ザクザクした食感が良いし、どうしてパンを選んだんだ?」


「前にアニキも食感が大事だって言ってたろ、色々試したんだけどパンなら本店で安く売ってくれるからクレープの値段はそのままで売れるんだ」


「へぇー、よく考えたな。よし、このメニュー採用!」


「やったね兄ちゃん♪」


「おう、でもアニキはもっと色んなメニュー知ってるんだろ?どうして売らないんだ?」


「それは材料が手に入らないのが1番の理由だけど、客の求めてる物は何なのかを知らないと、どんなに美味しい物も売れない事がある、だから今はそれを調べてるんだよ」


「なんか難しいんだな」


「ははは、そんな簡単に上手く行ったら商人だらけになっちゃうだろ(笑)


俺も2人のお土産に新メニューがあるんだ、とりあえず食ってみろよ、少し酸味があるけど問題無いからさ」



俺が2人に渡したのはベーコン、チーズ、マヨネーズを挟んだクレープ、そろそろマヨネーズを普及させてみても良いかなと思っている



「中身何だろ?ベーコンとなんか白いのがあるけど、あーんっ、、、っ?!なんだよこれ!すんげぇ旨いんだけど!!」


「本当だ!少し酸っぱいけど、それが凄い美味しいね♪」


「口に合って良かったよ、中身はベーコン、チーズ、マヨネーズだな、チーズもマヨネーズも商会で作る予定だから、それまでにチーズを使った新メニュー考えとけよ」


「いや、もうこれで売っていいと思うんだけど」


「ニック、他人から与えられた物で満足してどうするよ、自分で考える事を止めたら成長しないし、いつまで経っても1人前になれないぞ!」


「・・・アニキごめん


でも俺、あのパンのアイデア自信あったんだ、でもアニキはすぐ分かっちゃうし、だから俺・・・」


「言いたい事があるなら遠慮すんな」


「俺、アニキに腹が立った」


「そうか、ニックお前は馬鹿か」


「いきなりなんだよ、たしかに馬鹿だけどさ」


「どうして俺がすぐパンだって分かったと思う?」


「どうして?そりゃあアニキが物知りだからじゃないの?」


「分かってるじゃないか、じゃあどうして俺が物知りなのか分かるか?」


「そんなの頭が良いからだろ」


「頭が良いってのは、メリルとかミリーさんみたいなのを言うんだよ、俺の頭なんてニックとさほど変わらん、だから俺だって頭の良い奴に腹が立つ事もあるよ


でもな、頭が良いから知識がある訳じゃ無いんだぞ、俺だって沢山本を読んで、自分で料理して失敗して経験した結果、知識として身に付いたんだ


頭の悪さを言い訳にして努力をしない馬鹿共と、お前は同じ馬鹿なのか?とさっきは聞いたんだよ」


「・・・」



「いいかニック、努力に頭の良さは関係無い!俺に腹立つ暇があったら料理の本でも読め」


「でも俺、少ししか字が読めないし」


「それならアンさんに教えて貰えよ」


「アンさんかぁ」


「アンさん苦手なのか?」


「苦手っていうか、無駄に色気を出して来るんだよ」


「なるほど、アンさんは元娼婦だから職業病ってやつだ、慣れるしかないな(笑)」


「はぁ~、アニキの背中が遠いよ」


「デカい目標で見失わなくて良いだろ、わっはっはっはっ♪」


「あはは、兄ちゃん僕達まだまだアニキには敵わないね」


「でも絶対追い付くからな!!」




いいねぇ若いってのは、俺を追い越すくらい成長してくれたら楽出来るんだけど


それは将来のお楽しみだな♪






つづく。

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