第117話 キャラバンシティ拡張計画

「行くぞスナック!」


「アニキ行って来まーす」


「ニック、スナック行ってらっしゃーい」


「「「「会長さん、行って来ま~す♪」」」」


「皆さんも行ってらっしゃ~い」



今日も元気にリヤカーを引いてクレープとウィンナーサンドと肉まん販売に行く、ニックとスナックと元娼婦の皆を見送る


よし、俺が留守の間のリヤカー露店販売チーム問題無し!


問題無いんだけど、露店販売に関しては把握出来て無いのが現状だ


なぜなら


商会の従業員は少しでも暇があると自主的に製麺所で作った乾麺や、孤児院で作ってるポップコーンを街中に売りに行くからだ


理由は新たな客層の開拓という、俺なんかよりも商会の事を考えていて感動で泣けるぜ


孤児院のポップコーンや大学芋っぽいやつも、俺が留守の間に少し客が落ち着くかと思ったけど、値段が安いのと馬車に乗りながらでも手軽に食べれるって事でまだまだ人気上昇中らしい


大学芋はベタベタして食べずらいと思うんだけど、買った人が気にしないならまぁ良いや



池田屋商会の本店は小売りはせず主に穀物、小麦、大麦、トウモロコシ等の卸しをしていて


本店はミリーさんに任せてたから問題は無いだろう。チーズの感想聞くついでに確認だけはしとくか




「ニィナ行こうか」


「はい♪」


『シャーーーーーーーーー』


今日も街の中を自転車で疾走する、やっぱ自転車便利だわ♪


材質で騒ぎになるかと思ったけど、そうでも無いんだよなぁ、俺の考え過ぎだったのかな


おっと、商業ギルドを通り過ぎるとこだよ、今日はちゃんとアポを取ってるからミリーさんの部屋に直行!



『コンコン』


「ミリーさん、シンです」


「どうぞ入ってちょうだい」


『ガチャ』


「失礼します、ミリーさんおはようございます」


「ミリアリア様、おはようございます」


「シン君、ニィナさんもおはよう」


「さっそくですけど、俺が留守の間に商会で問題は無かったですか?」


「ええ、何も問題無いわよ。他の商会から売り込みがあったり雇って欲しいって人も来たり、あと貴族から色んなお願いという名の圧力があったくらいかしら」


「あぁ~、そうですか(汗)とっ、とりあえず新作のお菓子を持って来たので食べながら話しましょう!


今日のお菓子はどら焼きです。砂糖で豆を甘く煮た『あんこ』っていうのをホットケーキの生地で挟んだ物ですね」


「あら?今日のお菓子はいつもとテイストが違うわね、ではひと口『もぐもぐもぐ』ふふっ


不思議な食感だけど生地とあんこが絶妙ね♪」



ふぅー、ミリーさんの機嫌も治ったみたいで良かったよ



「ミリーさんに昨日渡したチーズ食べましたか?」


「あの白いのね、まさかまたあんなに美味しい物を持って来るなんて、レシピを見たけれど、発酵パンや保存食に比べれば簡単に作れそうだけど、でも良かったの?レシピ登録すると独占販売出来ないけど」


「構いませんよ、チーズは他にも種類がありますし、食べ方まではレシピに書いてませんからウチの優位性は変わりません


チーズを使った料理のレシピも沢山あるんで、チーズが早く世間に普及してくれないと困るんですよね」



「今更シン君の知識には驚かないけれど、そういう所、本当に抜け目が無いわね」


「一応商会の会長ですからね(笑)それと気になったのが、キャラバンシティに帰って来た時、新しい門があったんですけどあれは何ですか?」


「南門の所ね、実は西門も新しく造ったのよ、それを今の北門と東門に石壁で繋いでキャラバンシティを拡張する予定よ」


「拡張?!それってかなり広範囲ですよね、領主もまだ決まって無いのにそんな事して大丈夫なんですか?」


「街の拡張なんて財源の問題もあって領主が率先してやる事は少ないんだけど、今回はドワーフが建設費等含め全責任を持って作業するというのでアストレア様が許可したの


その辺りは領主が決まって無い事が幸いしたわね♪」


「ドワーフがそこまでするのに何か理由があるんですか?


なんとなくですけど、とても大変な事になってる気がするのですけど」


「うーん、どうなのかしら?その事についてはオリビエさんから聞いてちょうだい、それと今回もシン君が原因だから♪」


「あははは(汗)」



にこやかに微笑むミリーさんがとても怖かったが、なんとか平静を保ちギルドを後にした


次はドワーフのガゼル親方の工房に、れっつらごー!






つづく。

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