第111話 剣士ケイト その3
許さん、このボクっ子がぁーー!!
「おい、お前は何故ケイトがアイアンメイデンと呼ばれるのか知っているのかい?」
「・・・」
「あはは、その様子じゃあ知らないようだね♪そんな事も知らないのにどうしてケイトが一緒にいるのか理解に苦しむね」
「ラウール!その事はダンナに関係無い!」
「やっと名前を呼んでくれたね♪何時以来かな?キミが成人して孤児院を出た時が最後だったかな?
ちなみに今のボクの名前はラウール・サグェ
将来を期待されて、オフューカス子爵様直々に家名を頂いたんだ♪」
オフューカス子爵、、、チッ!またかよ、子爵絡みのトラブルばかりで嫌になるぜ
「おい!ラウールと言ったな、俺は他人に興味は無いんだよ、昔も、今も、これからもな!」
「ふん、虫のくせに!いいだろうボクが教えてあげるよ、そうすればお前がケイトに相応しく無いって分かる筈だよ」
うーむ、人の話を聞かない奴だな、ケイトの過去を知っても俺がどうにか出来るとも思えんが
「ケイトはねBランクだった時にパーティーを組んでた仲間に裏切られて、オーガの巣に置き去りにされたのさ、その時に組んでた奴等はケイトに寄生してBランクになっただけのゴミ虫だからね、ランクと実力が伴って無かったのさ
ケイトのチカラでBランクになったのにそれを自分達の実力と勘違いしたんだ、オーガ討伐の依頼を受け、いざオーガと対峙した時奴等はビビったんだよ
そして気付いたんだ自分達の実力の無さをね、その結果ケイトを囮にして自分達だけ逃げたんだ」
オーガの巣ってたしか、前にケイトが独りで行ったとか言ってたな、この事か?
図書館の本に書いてあったけど、オーガの討伐推奨戦力はBランクパーティー以上らしいけど、そこから独りで戻って来るとかスゲェな
「オーガの巣から逃げた奴等はギルドに報告する時、自分達を庇ってケイトが死んだと言ったんだ、そのお陰で帰って来れたとね
でも結果は見ての通り、ケイトは生きて帰って来た
後にボクも一緒にオーガの巣を調査したら、中にいたオーガ3体は体中をめった刺しにされて死んでた、まさに拷問でもされたようにオーガが苦悶の表情を浮かべていたよ、それを見た時ボクは喜びに震えたね、やはりケイトはボクと同じ神に選ばれた人間なんだと確信出来たんだから♪
オーガ3体を単独討伐した功績でケイトはAランクになり、アイアンメイデンと呼ばれるようになったのさ♪
そうそう、その時ケイトを置き去りにした冒険者はボクが始末しておいたよ、そもそもリーダーの男は処刑の予定だったし、他の2人も処刑か死ぬまで鉱山で働くかのどちからかで、あんなゴミを活かしておいても邪魔なだけだからね
これで分かっただろう、ケイトに必要なのは神に選ばれたこのボクなんだ!お前みたいなゴミ虫じゃあケイトの足手まといにしかならないのさ
それに、お前に出来るのかい?
仲間に裏切られて傷付いたケイトの心を癒す事が、どんな事があっても裏切らず側に居てあげる事がさ
無理だろうねぇ、ケイトの側に居てあげられるのは、ボクのようにチカラがある者だけなんだから
さあ、ケイト!ボクと一緒に遥かなる高みに行こうじゃないか♪」
ケイトにそんな過去があったなんてなぁ、でもそれを知った所で何も変わらない
なぜなら
心を癒すとか難し過ぎて俺には全然分からん!
俺に出来る事は、今も、これからも、旨い酒と飯を食わせてやる事だけだ
「ダンナ、ごめん」
「どうしてケイトが謝るんだよ」
「だって、アイツはあんなんだけど剣の腕は本物でAランクでSランクになるのもすぐだって言われてた、あたしもアイツには1度も勝った事が無いんだ、だからあたしが一緒に居たらアイツがダンナやお嬢に迷惑かけちゃう
あたし、ダンナ達とはここでお別れするよ」
「ケイト、俺は他人に興味なんて無いよ
俺はさ
剣の腕が凄くて、肉と酒が好きで、でも子供っぽくて面倒な性格してて、朝起きたら腹出して寝てるし
わけの分からん変な奴には付きまとわれてて、迷惑かけるからって勝手にお別れするとか言い出すし
でもさ
そういうの、全部ひっくるめたのがケイトだろ?
俺は、そんなケイトが好きだよ」
「ダッ、ダンナァ、、、でもアイツが」
「さっきも言ったろ、俺は他人に興味は無い、だからアイツが何をしようと知ったこっちゃねぇ!!
俺達は一緒に同じ土鍋の飯を食った仲だろ?あの時から俺達は家族みたいな仲だろ?
だったらケイトがどうしたいか教えてくれよ
だけどな、俺は嫌だぞケイトが居なくなるなんて
それはみんなも同じだと思うぞ」
「ケイト!わたしの護衛をほったらかして居なくなるなんて駄目だからね」
「お嬢様の事は私に任せて頂いて構わないのですが、ケイト殿が居なくなってお嬢様が悲しむ顔は見たくありません」
「ケイトさん私、魚を使ったお酒に合う料理をたくさん教えて頂いたんです、それをケイトさんに食べて欲しいです」
「ケイト姉ちゃん、居なくなっちゃうの?」
「ケイトさん、貴方とは出会って1日も経っていませんけれど、ちゃんと言葉にして伝えないと、相手に伝わらない事もあると思いますよ」
「あっ、あたし、、、みんなと一緒にいたいよ゛ぉ゛~、ダンナァ~(泣)」
「わっ?!バカヤロー鼻水が付くだろうが(嬉)」
「「「「「あはははははは」」」」」
『ダン!ダン!』
「キィーー!!お前達、ボクを無視して話をするんじゃない!!ボクは将来を約束されたAランク冒険者なんだぞ!」
『ダン!ダン!』
すっかり忘れてたけど、地団駄なんて踏んで子供かアイツは。
あんなんでも凄腕のAランク冒険者だって言うんだから面倒くさい事この上無い
「なあ、アイツを無視して我が家に帰るってのは駄目かな?」
「グスン、、、それダンナらしくてあたしは嬉しいけど、流石に駄目だと思うよ」
「ならば主様、アレしかありませんね」
「ああ、アレしかないな」
「「「「「アレ?」」」」」
「そう、プランBだ!」
つづく。
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