第102話 潮干狩り
「よし、みんな準備は良いか?」
「なぁダンナ、準備は良いけど今から畑でも作るのか?」
「ここで畑を作っても何も育たないだろうな(笑)今から貝を掘るんだよ、まあ見ててくれ」
俺は潮が引いた干潟の適当な所に行き、持っている鍬を降り下ろす『ザクッ』
よし!綺麗に突き刺さった、後はテコの原理で柄をもって土を掘り起こせば、、、
出たー!
誰も貝なんて採らないからか1発目でデカイのが来た、15センチくらいのハマグリだ♪
「シンさん、その石はそれほど価値があるのですか?」
石?
なるほど、貝を石だと思っていたから誰も食べてなかったのか
そうすると貝の美味しさが広まるとちょいとマズイかな?
俺達が貝を掘るぐらいは問題無いけど、もし街の人が殺到して貝を掘りまくったら全滅するかもしれん
ゲオルグ様に頼んで貝を掘るのは許可制にしないと駄目かな、貴重な資源は豊富なうちに対策を考えておかないと手遅れになってしまう
「タコヤーさん、これは貝という生き物でとても美味しいのですが、当分の間秘密にして下さい!対価は何か考えますので」
「対価など不要ですよ、シンさんにはお世話になりっぱなしなんですから」
「そうですか、まあ今は一緒に貝を掘りましょう、道具も貸しますから」
「それじゃあ、ニィナとケイトは沖に向かってガンガン掘ってくれ、俺達は近場で掘るから」
「かしこまりました、ではケイト殿参りましょうか」
「おー!」
よっしゃガンガン掘るぜ!
ザクッザクッ、、、ザクッザクッ、、ザクッザクッ、、、ザクッザクッ
ふぅ~、それにしてもちょっと掘っただけで既にバケツが一杯だよ、どの貝も1個が大きいってのもあるけど
「おにいちゃん、これってさっきの貝と違うけどどうかな?」
「どれどれ、、、おぉ!メリル良いの見付けたな♪これはアサリって言うんだ、スープにすると旨いよ」
「そうなんだ、じゃあ沢山見付けて明日の朝食だね♪」
さて、カスミとスミレはどうかな
わぁお!既に貝の山が出来てる(汗)
獣人は身体能力が高いとは聞いてたけど、カスミはともかくスミレも凄まじいな
「おーい、カスミー、スミレー、沢山捕れたしそれくらいで充分だよー」
「「はーい」」
大漁大漁♪我が家は大食いってわけじゃないから、これだけあれば当分貝には困らんだろ
「タコヤーさんもお疲れ様、大漁じゃないですか♪」
「ええ、大漁なのですがこの石、、、貝でしたね、とても食べれるようには見えないのですが」
「まあ、見た目は石ですからね、1個開けてみましょうかパカッ、、、とこんな感じです」
「おお?!本当に石では無かったのですね、それにしても海の生き物というのは見た目が凄い物ばかりですね」
「ははは、見慣れないと気持ち悪くてもしょうがないですよ」
「これも焼いて食べるのでしょうか?」
「煮ても焼いても美味しいですけど、生きたままひと晩くらい綺麗な海水に浸けて砂出ししないと食べられませんよ」
「やはり、美味しく食べるにはそれなりの知識が必要なのですね」
とはいえ、俺もこれ以上の知識は無いんだけどな(笑)
「おーい、ダンナァー」
ニィナとケイトも帰って来たか
「2人ともどうだった?」
「見てよ!スゲェ格好いいやつ見付けたんだぁ♪」
嬉しそうにやって来たケイトが手に持ってるのは、長さが60センチくらいある巨大な海老だった
「マジかよ!しかもそれ伊勢海老じゃね?いや、ここはサウスビーチだからサウス海老か?まあどっちにしても旨いやつだよ、やったな♪」
「えへへ♪」
「ニィナはどうだった?」
「はい、貝は沢山捕れているようでしたので違う物をと思い、岩場に行ってみたら少し見た目の異なる貝が居ました、いかがでしょうか?」
「どれどれ、、、サザエ!
ニィナ、これは日本酒にとても合うやつだ、皆には内緒で頼む!」
「ふふっ、かしこまりました♪」
ニィナが持って来たサザエも当然のように巨大だった、みんなに内緒にする必要は無いんだけど
こうやってちょっとした秘密を共有する事で絆が少しでも深まればいいなぁと思ってみたり
奴隷解放出来ない以上は、生涯一緒に居る事になるだろうからこういう些細な事の積み重ねが大切だと俺は思ってる
それにしても思わぬ収穫で大満足やな♪
サザエはゲオルグ様に頼んで侯爵家で徹底管理してもらおう
貴重な資源は俺がまもーる!
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。