第101話 浜辺でのなんやかんや
「シンさーん!」
みんなと浜辺で朝食の焼きそばを食べていると、エモンズ商会のタコヤーさんが商会の人と走ってやって来るんだが、早朝ランニングかな?
「タコヤーさんおはよう、早朝からどうしたんですか?」
「ハァ、ハァ、良かった!宿として使っている家を留守にしていると聞いて、もしやと思い来てみればやはり浜辺にいたのですね
おい、急いで侯爵様の使いの方にお知らせを」
「はい!」
「タコヤーさんとりあえず水どうぞ」
「ありがとうございます、『ゴキュッゴキュッゴキュッ』ふぅー生き返りました!
シンさん、侯爵様がここに来られます!」
「閣下が?貴族というのはこんな早朝から行動するんですねぇ」
「シンさん何を悠長な事を言ってるんですか!侯爵様ですよ?しかもこんな早朝から尋ねて来られるなんて、普通ではありませんよ!」
「そう言われましてもこの時間から働くのは普通ですし、貴族なら早朝しか暇が無くても不思議では無いでしょう、それより何故タコヤーさんが俺を探してたんですか?」
「私は簀立ての様子を確認する為に浜辺に向かっていたのですが、そこで偶然侯爵様の使いの方がシンさんの行きそうな所を尋ねて来られたんです
こんな早朝からシンさんが行く所と言えば、魚に関する事しか無いと思ったんです。新鮮な魚をとても喜んでおられたので、予想が当たって良かったです」
「それはご苦労様でした」
「えーとシンさん、今から侯爵様が来られるんですよ?」
「ん?それは既に聞きましたけど」
「タコヤーさん、ダンナは貴族相手でもいつもこんな感じだから気にしないでいいよ、多分、王族を相手にしても変わんないから」
「・・・え?」
「ケイトどぅーゆぅーこと?」
「ダンナは知らないだろうけど、普通は貴族の当主と直接話すなんてありえないから、たとえ貴族の御用商会であっても家令と話すのがせいぜいで
貴族でも無いダンナが、侯爵家当主と会って話すなんてのは異常だから」
「へぇー、じゃあ今度から貴族に呼ばれても、おそれ多いとか言って断っても問題無いな!」
「シン殿、そう言わずにワシとはこれからも気軽に会ってくれんと、妻から屋敷を追い出されてしまうのだが」
「っ?!こっここここここ侯爵様!!」
わぁお!
いつの間にやらゲオルグ様がやって来てニコニコしながら俺達を見ている
「そなたは確かエモンズ商会の者だったな、構わん楽にしてくれ」
「ゲオルグ様おはようございます、私に何か用があるとか」
「うむ、おはよう♪朝からすまんな今日はこの時間しか暇が無かったのでな、実は昨日シン殿が出してくれた酒が欲しくて参った次第だ、少しで良いのだが無理だろうか?」
「少しで良いなら構いませんが、、、」
「そうか♪ははは、そんな顔をせずともシン殿に迷惑をかける事はせんよ
次からはピスケス伯爵を通すし、今回は知り合いに飲ませて自慢したいだけだからな(笑)」
「そういう事でしたら、つまみに干し肉かベーコンはいかがです?味には少しばかり自信がありますよ♪」
「ほぅ、今話題の干し肉とベーコンか、それもレシピ登録者のオリジナルとあれば買わねばなるまい、言い値で構わんあるだけ売ってくれ」
「まいどあり♪」
「ふふっ、そういう表情を見るとただの商人にしか見えぬのだがな、そなたが貴族から引く手あまたの商会の会長にはとても見えん。それもピスケス伯爵、、、いや夫人の方か、それが上手くやっておるのだろう」
なんだか俺の知らないところで大変な事になってるんじゃね?まあアストレア様が上手くやってるっぽいけど
マジで貴族の面倒事に巻き込まれるのだけは勘弁して欲しい
「そんな事より、さっきからそこの鉄板から良い匂いがしている料理が気になるのだが」
「あぁー、これは露店で売るような食べ物なので、ゲオルグ様のお口には合わないと思いますよ」
「ふむ、確かに見た目だけなら貴族は見向きもしないだろうが、シン殿が作ったのなら食べる価値はあろう」
「そこまで仰るなら、黒っぽい方がソース焼きそば、薄い色の方が塩ダレレモン焼きそばです、どうぞ」
「うむ、細い紐のような食べ物は初めてだ、では頂くとしよう、、、
ふふっ、わはははは♪これはまたとんでもない料理を作ったもんだ(笑)」
笑いながらガツガツ食べる姿はちょいと怖いが、気に入って貰えたみたいだ
「ふぅー、満腹だ♪シン殿旨かったぞ、また屋敷でゆっくり話そう、さらばだ!」
「さようなら~」
貴族と話すのは疲れるから、次呼ばれる前にキャラバンシティに帰ろう!
ゲオルグ様が酒を持ってご機嫌で帰って行ったし、俺達はこれから潮干狩りだ!
今回用意した道具は畑で使う鍬と鋤だ
ちまちま掘るのは面倒だからな、元世界でこんな道具を使ったら完全に怒られるやつだけど、この世界にそんなルールは無い!
潮干狩りへ、れっつらごー♪
つづく。
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