第103話 商い中
貝も沢山捕れたし帰るか
だけど貝を持って帰るのが大変だな、俺の収納に生きてる物は入らない
植物は土から生えてる状態のまんま入るんだけどなぁ
とりあえず収納から毎度お馴染み折り畳み式リヤカーを取り出す
「みんな~、そろそろ帰るから貝をリヤカーに乗せるの手伝ってくれ~」
「シンさん、その荷車はなんとも不思議なカタチをしていますが」
「これは、、、たまたま手に入れましてね(汗)とても便利なんで真似して作っても構いませんよ」
「本当ですか!しかし木材でこの細さ、さぞかし腕の良い職人の仕事なのでしょうねぇ」
ふぃー、ちょいと焦ったぜ
リヤカーにはちゃんと木目柄のテープを貼ってごまかしてるけど
素材のステンレスがこの世界だとどういう価値なのか分からんからなぁ、凄い高価な物だと騒ぎになるんだけど
そういえばオリビエさんにもステンレスは見られてたか、騒ぎになってないって事は存在するけど価値が低いからか?
確認するべきか悩むな
「俺達は帰りますけど、タコヤーさんはどうするんですか?」
「私は簀立てを確認してから、カニ篭の引き上げをする予定です」
「それじゃあ頑張って下さいね」
「はい、魚が捕れれば夕方頃にまたお持ちしますね」
ーーーーーーーーーーーーー
「安いよ安いよぉ~、サウスビーチの新名物!魚を挟んだパン、サバサンドだよぉ~♪
数に限りがあるから早い者勝ちだよぉ~♪」
貝を入れた樽をリヤカーに乗せて街に帰って来たら
エモンズ商会がサバサンドの露店を出していた
サバサンド1個銅貨5枚、まあ妥当な値段だな
それなりに人も集まってるし、もう少し魚が普及すれば大人気商品になる日も近そうだ
他の商人達も早速サバサンドを買って、中に挟んでる野菜とかソースを確認してる姿がある
サバサンドを参考にして新しい料理を作れば、この街の食べ物も少しは美味しくなるだろ
俺はそんな商人達に心の中でエールを送りつつ、宿代わりの家に帰って来た
とりあえず貝は明日まで放置だから
「みんな聞いてくれ、この街でやる事は終わったから明日キャラバンシティに帰ろうと思うんだけど、どうかな?」
「いいんじゃない、あたしはサウスエビ?が捕れたから満足だよ♪」
あぁ~
伊勢海老がサウスエビに、、、まあこの街の名物になるならサウスエビでいいか
「他のみんなも満足したみたいだし、今日1日自由行動にして明日帰るか」
「「「「「はーい」」」」」
自由行動にしたけど俺は特にやりたい事も無い、スミレと昼寝でもしようかと思ってたんだけど
現在、カスミとニィナと手を繋いで街を歩いている
カスミがもう一度服屋を見たいと言うので付き添いだ
「ご主人様ここです」
どうやら服屋に到着したみたいだけど、目の前の建物が服屋なのかどうか俺には全く分からん
この街の店は露店や一部の店以外は普通の民家と同じ造りだから、パッと見では民家なのか店なのか判断が難しい
盗難防止の為にドアも閉まってるし、窓も換気用の小さな物しかない
看板も金がかかるから無い店も多いし、こんな感じでよくこの服屋を見付けたな
「とりあえず入るか、、、あっ!」
「ご主人様?」「主様?」
「大丈夫だよ、入ろうか」
カスミとニィナに大丈夫と言ったが、実はめっちゃ驚いて声を出してしまったんだ
店のドアを開けようとしたら、そこに小さな木札がかけられていて
『春夏冬中 熊耳婦人服店』
これらが漢字で書いてあったからだ、意味は
春夏冬中→四季の中で秋が無い→秋が無い中→秋無い中→商い中
ようするに営業してますよって意味だ
元世界でも個人商店なんかはよくこういう札をかけてたりするのを見たけど、こんな事を書くのは日本人しかいないと思う
創造神様の言ってた、『あの子』では無いんだよな?
『あの子』は今、キャラバンシティに居るはずだから
転生者や転移者に遭遇するなんて、突然の異世界テンプレ発動でビビるわ!
こんな所で細々と婦人服店をしてるって事は、チート能力は無いのだろうか?
ヤバそうな奴なら何も言わずに帰ればいいか、見ただけでは俺が元日本人とは分からないだろうしな
いざ!
つづく。
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