第88話 酢飯を作る時うちわで扇ぐ最後の世代?

やっと来たよ冒険者ギルドの図書室


長かったぁ、イベント起こり過ぎやねん!



「じゃあスミレはここで椅子に座って絵本読んで待っててな」


「はーい♪」



スミレに渡したのは俺がガキの頃好きだった擬人化した犬の名探偵が活躍するアニメを、俺が手書きで絵本にした物だ


字を覚えるのにちょうど良いかと思って頑張ったぜ


もし獣人の国に行けたら無料で配りまくって絶対流行らせるんだ♪




さてと


魔物の本はこれか、、、ふむふむ


ゴブリン、オーク、オーガ、ケルベロス


まあ異世界小説ではよくいるやつだな



なんと!


リヴァイアサンがいるのか?!


最後に目撃されたのが100年以上前らしいが怖すぎる


そしてドラゴンの記述が全く無い、いやあるんだけどこの本にあるドラゴンの姿絵はワイバーンなんだよな


この世界に俺の知ってるようなドラゴンはいないのだろうか?


更に気になるのが鳥居の絵だ、日本にあるのとほぼ同じ鳥居の絵が描かれてる、そもそも魔物の本で鳥居ってどういう事やねん!


そして鳥居の絵の横には『unknown』の文字だけがある


意味が分からない、絵があるって事はそこに実際行って見た奴がいるって事だ


それならここは魔物の巣とか何か書きようがあると思うんだ、だってこれは魔物の本なんだから、、、



「おーい、ケイトはこの『unknown』って何か知ってるか?」


「あぁ、それはあたしも分かんないや、過去に何度か調査隊が派遣されたらしいけど入れなかったって聞いた事があるよ、そういう場所は他に数ヶ所あったと思うけど」


「へぇー、これかなストーンサークルの真ん中に洞窟があるのと、海に浮かぶ城?の絵が描いてある、どっちも『unknown』だし」



しかし入れなかったとなると条件を満たせば入れるパターンか?


危険そうだから俺は行かないけどな




「用は済んだし待ち合わせ場所に行くか」


「ねぇダンナ、宿決めてないけど大丈夫なの?」


「心配要らないよ、俺達は表向きは普通の商人だけど、裏向きはここの領主に頼まれてレシピ登録しにきた客人だからな、商業ギルドが宿代わりの家を用意してくれてる筈だよ」


「それなら良かった、宿は危険だからさ」


「え?宿ってそんなに危険なのか?!」


「ダンナは大丈夫だろうけど、お嬢とカスミが危険だよ、男ってのは身分に関係無く女は男の言う事を聞くもんだって奴がいるからさ


だから無理矢理に、、、まあそういう感じかな」


「あぁ~そういう危険か、確かに宿は駄目だな、ニィナが相手の男を殺してしまうかもしれん」


「あたしが言ってるのはそういう危険じゃ、、、いやそっちも危険だけどさ、まあダンナ以外の男なんてどうでもいいけど」



「スミレ行くよ~」


「んー」


「どうしたスミレ?、、、ほら抱っこしてあげるからおいで」


「うん♪」



言ってくれれば抱っこぐらいいつでもしてやるんだけどなぁ、カスミもスミレもそういうの言わないから


今後の課題だな





ーーーーーーーーーーーーー





『パタパタパタパタ、パタパタパタパタ、パタパタ』



俺達は今、商業ギルドが用意してくれた宿代わりの家で、今日の夕食作りと明日の昼食の仕込みをしている



そして今やってるのは


みんなで酢飯をうちわで扇いでいる、風魔法を使えば楽だけどこういうのみんなでやると楽しいからな♪


いまどき酢飯を作るのに、うちわ使う奴なんていないんだろうな


俺がガキの頃でさえ扇風機だったんだから、そもそも家で酢飯は作らないのか?



それはいいとして、酢飯が出来たらレタスにマヨネーズと豚カツを乗せて酢飯と共に海苔で巻いたら


『豚カツ巻き寿司』の完成だ♪


そのままでもいいけど、ワサビ醤油をつけても旨い


この『豚カツ巻き寿司』は、高校野球を観に甲子園球場に行った時に近くのスーパーで買ってよく食べてたんだ


懐かしいなぁ、近くにあった波の出るプールにもよく行ったもんだよって誰も知らないか(笑)




豚カツ巻き寿司は明日の昼食で今日の夕食は煮込みハンバーグだ


キャラバンシティにいた時に池田屋商会本店の奴隷達に頼んで2日ほどコトコト煮込んで貰ってたんだ



煮込みハンバーグのソースは昔懐かしのケチャップベース


ケチャップ、コンソメ、トンカツソース、バター、醤油等を入れて煮込む


付け合わせにポテサラ


そしてライスを真っ白な皿に、ふっくら優しく盛る


ハンバーグの時は茶碗じゃなくて皿なんだ、個人的にはこの方が高級感があってテンション上がる♪


最後にグラスにワインを注いだら、完璧や!



「それでは、いただきます」


「「「「「いただきます!」」」」」



ハンバーグを切って断面にたっぷりソースを付けて


食う


そしてライスをかき込み


最後はワインで流し込む、んぐんぐ、くぅーー!


至福の瞬間♪



「ほら、ケイトも飲めよワイン好きだろ、野営の時はあんまり飲めなかったからな、今日は遠慮せず飲んでくれ」


「やったー♪ダンナの飯は旨いけど、酒があるともっと旨いから♪」


「ケイト殿、今夜の警戒は私がしますので遠慮なくどうぞ」


「じゃあ遠慮なく、えへへ♪」





ーーーーーー2時間後ーーーーー





俺とニィナの作戦により酔ってグデグデになったケイトをニィナに部屋まで運んでもらい、俺はメリルを部屋に呼ぶ



「おにいちゃん、こんな時間に呼ぶの珍しいね、どうしたの?」


「ケイトの事なんだけど、俺がいない時の様子を聞きたくてさ」


「おにいちゃんも気付いたの?」


「気付いたと言うかケイトは分かりやすいからね、それでどうなの?」


「うーん、たまに凄く子供っぽくなるかなぁ、仲間外れにされるのが嫌みたい」


「やっぱりか、ケイトの過去なんて全然知らんからなぁ、メリルは何か知らないかな?」


「スラムで暮らしてた時も凄い冒険者だって噂はよく聞いたけど、それぐらいかなぁ」


「それだけじゃなぁ、原因がさっぱり分からんな」


「ふふっ、おにいちゃんって意外と面倒見いいよね(笑)」


「そりゃあケイトはもう家族みたいな仲だからね、なんとかしてやりたいじゃん」


「そっかぁ、わたしも、、、」


「どうしたのメリル?」


「ううん何でもない、ケイトの事一緒になんとかしようね!じゃあおやすみー♪」


「ああ、おやすみ」





部屋から出ていくメリルの背中が、いつもより大人っぽく見えたのは気のせいだろうか






つづく。

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