第87話 冒険者ギルド
この国の食文化の問題が発覚したけど、国レベルの問題を解決するとか荷が重すぎる
俺に出来るのは簡単に作れて美味しいレシピを登録するだけだ
先に魚の捌き方を登録した方がいいか?
その辺りはこの街の商業ギルドで相談するかな
さてさて
冒険者ギルドの前まで来たけど、異世界小説だと冒険者ギルドってトラブルばかり起きるんだよなぁ
今はスミレもいるし、トラブル回避の為ならお金で全てを解決するのも躊躇はしない!
「どうしたのダンナ?早く行こうよぉ」
「おぅ、ちょいと考え事をな、行こうか」
ケイトの後に続いて冒険者ギルドに入る、、、
中を見渡すがこの時間は冒険者が少ないみたいだな、4人グループが2組いるだけだ
見た目の印象から喧嘩を売って来そうな奴はいない
「じゃあ、あたしは手続きしてくるから2人はこの辺で待っててよ」
ケイトを待つ間、はぐれないようにスミレを抱っこして壁に張ってある依頼票でも見とくか
子供は知らぬ間に迷子になるし、見た目の良い子供は普通に誘拐されて売られてしまう恐ろしい世界だからな
なんだかんだで初めての冒険者ギルドだから緊張するぜ(笑)
この掲示板に貼ってある紙が依頼表か、今さらだけど質は悪いが紙は普通にあるんだな、凄く高価な物ではなさそうだ
えぇーと、おお!
コブリンの討伐依頼があるよ、やっぱいるんだなゴブリン
出没場所がここから山をふたつ越えた所にある谷底か、やはり街の近くに来る事は稀ってのは本当らしいな安心したぜ
だけど討伐報酬が大銀貨5枚ってのは安過ぎじゃないか?
4人くらいのパーティーで依頼を受けたら、行って帰って来るだけで赤字だと思うんだがなぁ
近くに行ったらついでに討伐してねって感じの依頼なのだろうか?
「おいおいおい!ここは何時からガキが、、、何しやが『ドゴッ、バコッ、ドタドタドタ』」
ちくしょーやっぱりか!冒険者って奴はこれだから、、、
あれー?
どっかの馬鹿が絡んで来たと思って振り向くと、男が1人抱えられて運び出されてる以外にそれらしい奴はいないのは何故だ?
「こんにちは、どうかされたんですか?」
俺がキョロキョロしてるとギルドにいた冒険者グループのひとりが声をかけて来た
「ああ、なんか失礼な事を言って来た奴がいたと思ったんだけど、、、」
「きっ、気のせいじゃないですかね、さっき急に具合が悪くなって運び出された奴が呻いてましたから、そいつと勘違いしたのでは?(汗)」
「そうなのかな?」
「そうですよ!気のせいですよ、それよりあなたはキャラバンシティで商売してるシンさんですよね?」
「そうだけど、どっかで会った事あるかな?」
「個人的に会った事は無いですけど、私シンさんの保存食のファンなんです!」
なんと!俺の保存食にファンがいるのか、魚を挟んだパンみたいな酷い食べ物を見れば納得だけどな
「それは嬉しいな♪ありがとう」
「この街では保存食の販売はしないんですか?」
「ここには別の仕事で来てるから販売の予定は無いよ、でも保存食は一部を除いてレシピ登録してる筈だけど売ってないのかな?」
「一応売ってはいるんですけど、、、キャラバンシティで買った物と比べると、はっきり言って不味いんです」
レシピがあるんだから味は落ちるかもしれないけど不味いってのはどうなんだろう
そもそもレシピ通りに作ってるかどうかが怪しいのか
日本人の感覚からするとレシピ通りに作るなんて当たり前だけど
そういう日本人の几帳面な所って外国人からすると、ありえないって感じらしいし
さっきの魚を挟んだパンを見る限り、料理下手な人がやりがちなレシピを無視して独自のアレンジで作ってる可能性はあるな
「少しだけど手持ちがあるから売ってもいいよ」
「やったーー♪」
「おーいリーダー、さっきの新人潰しのバカは邪魔にならない所に棄てて来たぜ」
「皆、有り金全部出せ!」
「いきなりなんだよ、依頼の報酬貰ったから今から飯食いに行くんだろ?」
「バカヤロー!そんな飯より旨い物が買えるんだ、このチャンスを逃すと次はいつになるか分からないんだぞ!」
「おいおい、それって少し前にリーダーから貰っためちゃめちゃ旨かった保存食の事か?」
「ああそうだ、分かったならさっさと有り金出せ!」
「おう!」
うーむ、旨い物が食いたいのは分かるが有り金全部つぎ込むのは駄目だと思うよ
「シンさんお待たせしました、ここに大銀貨8枚分あります、これで買えるだけ下さい!」
またたくさん持って来たなぁ
「とりあえず干し芋、それとドライフルーツと干し肉はいくつか種類があるから好きなの選んでくれ、あと試作中の乾麺があるからこれは無料であげるよ」
「カンメン?」
「えぇーと、小麦粉から作った物で茹でたら柔らかくなるからスープに入れるか、トマトソースをかけて食べてみてよ」
「「「「あざしゃしゃっす!!」」」」
その挨拶、お前達は高校球児か!
結局、冒険者達は保存食を全種類買えるだけ買ってホクホク顔で帰って行った
「ダ~ンナ♪」
「あぁケイト、どうした?なんか嬉しそうだけど」
「そりゃあダンナの商品がこの街でも人気だって分かったから嬉しくてさ」
「そうだな、保存食売るだけで食いっぱぐれる事は無さそうだよ(笑)」
「だね♪じゃあ手続きしてきたから図書室行こうよ」
「行くか、そういやケイトは何の本見に来たんだ?」
「あたしは植物の本だよ、あれは定期的に内容が更新されるから確認に来たんだ、ダンナは目当ての本があるの?」
「へぇー、流石Aランク冒険者勉強熱心だな♪
俺は魔物図鑑があれば見たいなと思ってさ、あるかな?」
「むぅ~、あたしはもう冒険者じゃ無いもん!」
「そうだった、ケイトはウチの大事な護衛兼雑用係だからな、その為の勉強なんだよな」
「うん♪」
機嫌が直ったのはいいけど
ケイトよ、はっきり言って面倒くさい
これは早急にケイトの闇をなんとかしないといかんな、帰ったらメリルに相談してみるか
忘れないように、メモメモφ(..)
つづく。
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