第44話 眠れる森からの使者

俺はニィナと2人で商業ギルドのミリーさんの部屋に来ている


何か用があるとかで呼び出されたんだ。



「シン君お待たせ、わざわざ呼び出してごめんなさいね」


「それは構いませんけど、呼ばれた理由は何なんでしょうか?」


「それはこちらの彼女から伝えるわ」



そう言うミリーさんの隣には、これぞtheエルフという見た目の女性が立っていた




「この度わたくしウェンディが、族長の名代として参りました。


シン殿に書状を預かって参りましたので読ませて頂きます。



我ら一族を茨の道よりお救い下さったシン殿の功績を讃え


シン殿を『エルフの友』とし、病める時も健やかなる時も、未来永劫共に痛みを分かち合う事をここに宣言する


スリーピングフォレスト族長


フレデリカアーデルハイト・E・スリーピングフォレスト」




「あのう、これはいったいどういう事なのでしょうか?」



「ふふふ、驚かせてしまったわね、シン君が根菜を教えてくれた事に対する感謝よ、本当は宝石とかあれば良かったのだけど、シン君が喜びそうな物が無くてね」


「俺の故郷では普通に食べてた物ですから、感謝の気持ちだけでじゅうぶんですよ」


「まあシン君ならそう言うだろうとは思ったけれど」


「ミリアリア様よろしいでしょうか?」


「そういえば、まだ渡してなかったわね」


「シン殿これを、『エルフの友』である証としてお受け取り下さい」



差し出されたのは指輪に見えるが、それにしては物凄く細くてただの針金に見える


何気なく小指にその指輪を嵌めると跡形もなく消えてしまった



「これはいったい、、、」


「ふふっ、心配しなくてもいいわ魔法で見えなくなっただけだから、それは『エルフの友』である事を証明する指輪よ


それ以外の意味は無いし、私達以外にはなんの価値も無いわ


見えなくなる以外のチカラも無いし身体への影響も無いから心配しないで、勿論嫌なら返してくれて構わない」


「身体に影響が無いならありがたく頂いておきます」



「それにしてもこのようにお若い方があの雑草の事を知っていたとは驚きです」


「ああ、芋の事ですねちなみにどうやって食べてます?」


「食べ方ですか?焼くかスープに入れて食べてますが」


「そうですか、ではよければ芋で作ったフライドポテトを食べてみて下さい」



俺は収納から作り置きしておいたフライドポテトを取り出す



「ふらいどぽてと?」


「名前はともかく食べてみて下さいよ」


「それでは、、、ッ?!こっこれは本当に芋なのですか?塩だけなのに何故これほど美味しいのですか?!焼いた芋も美味しかったのですがこれはいったい、、、」


「これは芋を油で揚げてから塩をまぶしました、他にもポテサラとか、根菜ならグラタンにしてもいいかもしれませんね」


「そんなに沢山、、、ミリアリア様どうなさいました?!」



ウェンディさんの横でミリーさんは何故か頭を抱えていた



「大丈夫よ、以前からシン君の料理の知識は凄いと思っていたけれど、まさか雑草ですらそんなに食べ方があるなんて


でも支払える対価が無いわ、どうしたらいいの」



ミリーさんはまた頭を抱えてしまった、今までの会話からミリーさんはエルフの中でもそれなりの地位にいるのだと思う


それだけに対価も無しに何かを貰うというのは駄目なのだろう



「ミリーさんとりあえず対価は後払いという事にしませんか?何かあれば相談に乗って貰うって事で構いませんから」


「それでは対価として不充分だわ!何かないかしら」


「シン殿!わたしの身体を対価として差し出します、如何様にして頂いても構いませんのでどうか今回はこれで収めて頂きたい」



えぇー?!


どうしてそうなる!


全く求めてないというのに



「そもそも俺は対価は要らないのですが」


「なっ?!私では不満という事でしょうか?」


「いえ不満とかそういう事では無いのですが、、、」


「ならば私を対価に!!」




俺は横にいるニィナに助けを求めるが、、、


どうやら今回も助けは来ないらしい、どうしてこうなった!




「分かりました、どうしても対価を支払うというならこれ以上情報提供はしないという事で」


「シン殿?!そそそそそ、それは困ります!!対価は後日改めて考えるという事で平にご容赦を!!」




マジで良かった


エルフ族


とても面倒な種族として俺の心に刻まれたのであった






つづく。

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