第43話 だし巻き玉子とカスミとおっさんと

最近色々あって進んでなかった


『だし巻き玉子販売計画』を進めようと思う。



なんかソレっぽく言ってみたけど作るのはカスミで販売は新たに人を雇う予定だから


俺がやる事と言えばカスミに作り方を教えるだけだ



「よしカスミ、今からだし巻き玉子を作るからよく見ててくれよ」


「はい!ご主人様」



俺がだし巻き玉子を作る時は、いつもは粉末の和風出汁か濃縮めんつゆを入れるんだけど、お吸い物の素とか入れても美味しい


今日は濃縮めんつゆを入れる、卵はホイッパーを使ってしっかり混ぜる方が焼きやすいし仕上がりも綺麗だと思う



「まずはキッチンペーパーに油を染み込ませてフライパンに薄く油をひいて熱する、そして卵を流し入れるんだけどフライパン全体にギリギリ行き渡る量が理想かな


卵を入れたら2~3回混ぜてから卵を奥に集めて2回目の卵を流し入れる、卵を入れ過ぎたら戻して構わない


卵を持ち上げて下にも卵を流す、焼けてきたら手前にくるっと巻いて


最後まで巻けたら奥に移動させて残りの卵を流し入れる、焼けたらさっきと同じように巻けば


だし巻き玉子の完成だよ、さあ試食してみて」



「はい!それではいただきます、ハフハフハフハフ、、、美味しいですご主人様!こんなにフワフワになるなんて」


「よしカスミ、早速作ってみよう」


「はい!」





それでカスミがだし巻き玉子を作った結果は、、、まあ言わなくても分かるか


料理は初めてだって言ってたからな


見た目は少し残念な出来だけど、焦げてないし普通に美味しく食べれる


俺が初めて作った時より上手なんだから大したもんだよ





「申し訳ございません、ご主人様」



でもカスミが凄い落ち込んでしまった、だし巻き玉子を作れないと罰があるとか思ってんのかなぁ?



「カスミ最初なんだからそんなに落ち込まないの、とりあえずだし巻き玉子を10個作ろうか


落ち込むのはそれからだよ、じゃあ俺は他にやる事があるからひとりで作っといてよ」


「はい!かしこまりましたご主人様」




やる事があるとかは嘘だ


俺が見てるとプレッシャーで上手く出来ないだろうから、それに未だにカスミとは微妙な距離感があるんだよな


俺は時間を潰すために裏庭でお茶を飲んで一服することにした




「主様、如何されました?お悩みのご様子ですが」


「あぁニィナ、お悩みだよぉ~俺にはおなごの気持ちは分からんのよ」


「ふふっ、カスミの事ですか?あまり心配は要らないと思いますが」


「そうなん?でもなぁこのままではあかん気ぃがするやん」


「ならば主様のなさりたいようにするのが良いと思います」


「俺のやりたいようにか?」


「はい、私たち奴隷は常に不安なのです、残りの人生を共に過ごす主様がどのようなお考えをなさっているのか、機嫌を損ねれば捨てられるのではないかと」


「俺はそんなことしないぞ!」


「主様がそのような事をなさらないのは知っています、主様はカスミに対して遠慮し過ぎです」


「そりゃあ年頃の娘なんだから遠慮のひとつやふたつするでしょうが」


「ふふっ、それが主様の良きところでございます、それでは私はカスミの様子を見てきます。」



えぇー?!


結局どうしたらいいか分からないままなんですけどー!




「あっ!ご主人様だー♪何してるんですかー?」


「おぅスミレ~♪俺はお茶飲んで休憩中だよ、スミレは何してんの?」


「メリルおねえちゃんのお手伝いしてるのー」


「そうか、偉いなスミレ~♪」



俺がスミレの頭をワシャワシャしてやると、スミレは尻尾をブンブン振ってとても嬉しそうだ


そんなスミレを見て俺も嬉しい♪



俺のやりたいようにか、、、






「カスミー、調子はどうだー?」


「はい、だし巻き玉子10個焼き終えました!」



おおー!3個目ぐらいからめちゃめちゃ上達してるやん!


俺は1番綺麗に出来てるだし巻き玉子を食べる



「旨っ!カスミよく出来てる、もうこのまま売れるくらいだよ♪」


「ご、ごひゅじんひゃま?!」



俺はカスミのほっぺをムニムニしてみる



「カスミ、俺は話すの下手だし何考えてるか分からない事も沢山あると思うけど、カスミとスミレを捨てたりしないから!


それだけは分かっていて欲しいんだ、だからまあ、なんというか、、、」


「ふぇ~ん(泣)」



なんだか微妙な雰囲気になってどうしたらいいのか分からなくなり困っているとカスミが泣いてしまった


これはいったいどうすればいいんだ!



「あぁー!ダンナがカスミを泣かしたー!」


「ちょっと待てケイト、確かに俺が原因だろうけど」


「ちっ違う、、ヒック、ずっと捨てられる、、、ヒック、恐くて、ヒック、だがら゛わ゛た゛し゛、ヒック」


「カスミ大丈夫だから、いや何が大丈夫なのか分からんけど、えーと、どどどどどうすればーー?!」



周りを見て助けを求めるが、どうやら援軍は来ないらしい



こうなったら最終手段だ、俺はカスミをそっと抱き締めてやる


おっさんにはこんな事しか思い付かない、嫌だったらどうしようと思ったが、嫌がられては無い、、、よな?



メリルもやって来て笑顔で見てるから大丈夫なのだろうと思うが





ちゃんと考えてカスミとスミレを迎えたけど、何処かお気楽な気持ちがあったんだろうと思う


他人の人生に責任持つってのは難しいもんだな



これから毎日、、、は無理かもしれんが笑顔で過ごせるように、おっさんは努力するからな!






つづく。

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