第42話 変化

「ちょいとそこのお兄さ~ん、私と遊びましょうよぉ~♪」


「すまんな俺は忙しいんだ!」


俺は甘ったるい声で話しかけてきた女にそう言うと足早に立ち去る、うしろで女が何か言ってるが無視だ!



女が見えなくなる所まで来ると俺は思いっきり息を吐き出した


「ぷはぁーーーー!臭かったー!」


「あはははは、ダンナは香水の匂いが苦手なのか?」


「香水は嫌いじゃないが、あの女は付け過ぎだろ!鼻がもげるわ!!」



何故か最近よく女に声をかけられるようになった、しかも香水の匂いをプンプンさせた臭い女にだ



「ダンナはああいう女は嫌いなのか?」


「見た目はともかく臭い女は遠慮したいね」


「ダンナにはあれが臭いのかぁ~」


「ん?ケイトは良い匂いに感じるのか?」


「ダンナほどじゃないけど匂いをさせ過ぎかなとは思うよ、でも男が好きな女ってああいうのじゃないの?」


「それは何処の男の話だよ、それに娼婦に声をかけられてもそんなに嬉しくないよ」


「何処のって酒場にいる男はみんな好きだと思うけど、、、それよりあの女は娼婦じゃないと思うよ」


「そうなのか?」


「街の娼婦って果物を使って自分で香水作る女が多いんだよ、金が無いからね、だから果物の匂いがするんだけど


さっきの女は違ったろ?どっかの商会が作ってる香水じゃないかな、ようするに金には困ってない女だよ」


「そんな女が何故俺に声をかけるんだ?」


「そりゃあどっかの金持ちに雇われたんじゃない?ダンナの事を知りたいヤツは沢山いるだろうからさ」


「マジかよ、いつか来るだろうとは思ってたけど遂に来たか、めんどくせぇー!」


「ダンナはこのまま先に帰っててよ、あたしはさっきの女を追いかけるからさ」


「それは構わんけど、無理だけはすんなよ、それと夕飯までには帰って来いよ」


「勿論絶対に夕飯には帰るから!1日の終わりにダンナの飯が食えないなんて想像もしたくないよ!ダンナも気をつけてな」


そう言ってケイトはさっきの女の所に走っていった、




さっきの女が雇われてたのなら、最近声をかけてきた女も全員誰かに雇われてたのだろうか?


確かに全員化粧が濃くてケバくて香水臭かったな



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



さて夕飯を作ろう、今日はケイトの好きなすき焼きにしてやるか、でもケイトの好きなのだけだとニィナの機嫌が悪くなるんだよなぁ、


そういう時だけ奴隷としての立場を気にして何も言わないから、俺が気にしてやらないと駄目なんだろうな


ニィナには野菜たっぷりの水炊きにしようかな、メリルは最近卵料理にハマってるから茶碗蒸しでいいか、


カスミとスミレの好物はまだ分かんないんだよな、何でも旨そうに食べるから


今日のデザートは桃のロールケーキにしとくかな、勿論すき焼きも水炊きも人数分を用意するのは忘れない


何故なら人数分無いと俺のうしろで手伝ってくれている皆が落ち込むからだ、余っても収納に入れておけばいいしな


それにスミレは落ち込むと耳がぺしょんとなってしまうんだ、耳がぺしょんとなって落ち込むスミレなんて可哀想過ぎておっさんは見ていられない!



「ただいまー!お腹空いたよぉ~(泣)」


ケイトが帰ってきたか、飯の時間ぴったりだな(笑)


「お帰りケイト、どうだった?」


「ああバッチリだよ、あの女アメジスト商会の奴と会ってた、それでスゲェ揉めてたよ」


「仲間割れか?」


「あははは、そりゃダンナがあの女の誘いを断ったせいだよ、何の情報も聞き出せなかったから報酬が貰えなくて文句言ってたんだ」


「それにしてもアメジスト商会か、あのジジイ何かして来るとは思ったけど、普通の手で来たな、もっと陰湿なのを予想してたんだけどな」


「主様、よければ私がアメジスト商会を探りますがいかが致しましょう」


「ニィナが?」


「はい、情報収集は得意でございます」


「ならお願いするよ、ただし探るのは昼間だけ、絶対無理しない、飯は食べに帰って来る事」


「承知しました、では明日から始めます」



「それじゃあ飯にしよう」


「ヒャッホー、すき焼きだぁ~♪ダンナァ酒も欲しいよぉ」


「心配するなよちゃんと用意してるから、それじゃあ食べよう、いただきます」


「「「「「いただきます」」」」」



今日もみんな旨そうに食べてる、スミレは尻尾がブンブン振れるから分かりやすい♪


カスミは、、、表情は明るいが難しい年頃だからなぁ、おっさんには扱い方の難易度が高いんよ(泣)


メリルは茶碗蒸しを食べて何かを考えてる、またどうやって売ろうか考えてるんだろう


ケイトとニィナはいつも通りバクバク食べてる




俺の役目ってこういう毎日を守る事なんだろうな






つづく。

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