第40話 トウモロコシ
アメジスト商会での出来事から数日たった今日は休日だ
露店は3日働いて1日休む事にしている、休みといっても露店で売る新しい料理の試作や、ドワーフの親方さんと打ち合わせしたりと忙しい
今日は新しく売ろうと思っている肉まんの試作をしてる最中だ
薄力粉、イースト、塩、砂糖、ベーキングパウダーに、ぬるま湯をいれて混ぜる
生地が綺麗に纏まってくればOKだ!
後は生地が乾燥しないように、濡れ布巾をかけて生地が膨らむのを待つ
待ってる間に中の餡を作る、定番の豚肉は勿論だけど
大きめの肉を入れて作ったミートソースや、甘さ控えめのあんこを入れた甘いのも作ってみた
とりあえずこれを試食して評判の良いものを採用して売ろうと思っている。
それで今は膨らんだ生地で餡を包んでいるんだが、肉まん特有のあのヒダヒダが出来ん!
めっちゃムズイ!
頑張ったけどかなり歪になってしまったのでヒダヒダは断念して
普通に丸くするだけにしたら、見た目は完全に饅頭になってしまった(笑)
「ダンナァ今日は何作ってるのぉ~?」
「ケイトか、今日は肉まんだよ」
「肉まん?その白パンが肉まんになるの?」
「肉まんになるっていうか、すでに肉まんなんだが、、、それより白パンって貴族が食べるパンだろ?そもそも白パンって何なんだ?」
「白くて柔らかいのが白パンじゃないの?」
「へぇーそうなんか、わりといい加減な定義なんだな、これは焼かずに蒸すからスゲェー柔らかくなるんだ、期待しててくれ」
「マジかよ、ダンナがそこまで言うんだから相当期待出来るね♪」
ーーーーーーーーーーーーーー
俺は今ケイトと街を散歩している、肉まんはどうしたって?
最初は試作だからって事でケイトに見られながらも一人でひっそりと作ってたんだ
でもまあ他のみんなに見つかるよね(笑)
試食用にみんなには1個ずつで作ればいいかなと思ってたんだけど、何故かニィナがヤル気を出して練習も兼ねて沢山作るって言うし
俺も疲れたから肉まん作りはみんなに任せて、ケイトと散歩しているんだ
街を散歩してるが観るものが無い!
そもそも楽しむ為に街を観る『観光』って考えが無いんだから仕方ない
とりあえず裏通りをブラブラしてみる事にした
おお?!
表通りには見なかった野菜や武具や、用途の分からない道具が沢山あるではないか、業者向けの問屋街なのかな?
荷馬車から荷馬車に荷物を移しては出ていったり、新たに荷馬車が来たりしている
むむっ?
あれはトウモロコシかな、芯から外された状態だけどトウモロコシがあるならポップコーンが作れるな
元世界でもポップコーンは簡単に作れて旨いからかなり昔からあったみたいだし、油と塩があれば出来るから遠慮なく売れる
でもあれ爆裂種なのかな?
他の種類だとポップコーンは出来ないんだよな
「こんにちは、ねぇおっちゃんこれってトウモロコシ?」
「ん?トウモロコシかは分からんが俺達はモロコシって呼んでるぞ、地域によって名前が違うのはよくあるからな」
「そうなん?ちなみにそのモロコシって他に種類があるんかな?」
「種類?モロコシはモロコシしか無いだろ、いや待てよ前に柔らかいモロコシで家畜を育ててるってヤツがいたな」
「じゃあここにあるモロコシは固いの?」
「う~ん、俺はこれしか知らんからなぁ柔らかいとか固いとかは分からんな」
他より固いなら爆裂種の可能性ありだが
仮に爆裂種じゃなくても、粉にして何かしら料理に使えるから買っても無駄にはならんだろ
「おっちゃんこれ1袋幾ら?」
「おう、買ってくれるのか、1袋銅貨二枚だ」
安っ!1袋10キロくらいありそうなんだけど
「じゃあさここにあるの全部貰っていいかな?」
「そりゃあ構わんが持って帰れるのか?」
「収納があるから大丈夫だよ、じゃあこれ20袋で銀貨4枚ね」
俺はトウモロコシが入った袋を次々に収納に入れていく
「こりゃスゲェ、収納スキルなんて初めて見たけど便利なもんだなぁ、なぁあんたうちで働かないか報酬は弾むぞ?」
「悪いけどこう見えても忙しくてさ、じゃあね」
「よかったらまた来てくれよ、あんたなら安くしてやるからさ」
いきなり商品が完売したからだろう、おっちゃんはホクホク顔だ
「ねぇダンナ、餌そんなに買って何か飼うのか?」
「飼わないよ、ケイトはモロコシ食った事無いのか?」
「流石に餌を食う奴はいないよ、ダンナそれ食う為に買ったの?!」
「勿論だ、上手く行けばおやつとして手頃な値段で大量に売れるからな」
「ダンナが言うなら本当なんだろうけど、、、」
流石のケイトもこの状態のトウモロコシが美味しくなるとは思えないらしい
この世界じゃ家畜の餌だし今はただの固いだけの実だからな
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。