第32話 肴は炙ったイカで良い♪

肴は炙ったイカで良い~♪



なんて歌っているが炙っただけのイカが旨いと思ったのは30歳過ぎてからだったな(笑)





家に帰り夕食と風呂を済ませた俺は、自分の部屋で指先から出した魔法の火で、さきイカを炙っている


元の世界でひとり暮らししてた時はガスコンロが無くてIHの調理器具だけだったから、ライター買ってきてイカを炙ってよく食ってたんだ


身体に悪そうだから真似しないで欲しいが、異世界にライターが無いから真似する奴もいないか(笑)


でもライターで炙ると少し臭くなるんだよなぁ、酒飲んでほろ酔いだったからあんま気にしなかったけど




おっ!


いい感じにイカがプツプツ音を出して焼けてきた、イカを食べながら熱燗をクイッと


くぅーー、旨い♪


五臓六腑に染み渡るこの感じたまらんな、皆でワイワイ飲むのもいいが、こうやってひとりで飲むのも好きなんだ




『コンコン』


「主様、よろしいでしょうか?」



ニィナか、そういえば話があるって言われてたんだよ酒飲んでる場合じゃなかった


反省。



「ニィナ入っていいぞ」


「失礼しま、、、す。主様それは?」


「ああ、すまん酒と炙ったイカなんだけど直ぐ片付けるよ」


「片付けるのですか?」



ニィナがウルウルした目で俺を見てくる



「飲みながら話すのは如何なものかと思ったんだが」


「うぬぬぬぬぬぬ、ならば早急に話を終わらせましょう!」


「おっ、おぅ、そうだな」


「実は露店からの帰り道、主様から不思議な魔力の流れを感じました


主様なら他人に知られてはならぬ事のひとつやふたつあって当然かと思います。しかしながら主様を御守りする立場としては、全てをお教え頂く事で万全を期す事が出来ると思い参った次第でございます。」



スキルの「店」を使って生キャラメルを購入した時だな、魔力の流れとか異世界小説じゃ当たり前なのに忘れてたわ


最近じゃあレベルが上がったからか、スキルの「店」で購入した物は目の前に出すか、収納に送るか選択出来るようになったんだ


だから普通に使ってもバレないと思ったんだが、気を付けないと駄目だな




「ニィナなら教えても問題はないか、ちなみに俺が作る料理や菓子についてどう思う?」


「素晴らしいの一言に尽きるかと」


「それは嬉しいけど、おかしいとは思わなかったか?」


「はい、確かにおかしいとは思いました」


「おかしくて当然なんだよ、俺のユニークスキルなんだから」


「スキル?!ならばそれは料理を作るスキルなのでしょうか?」



うーむどうしよう、ネットショップとか言っても説明がなぁ、、、



「作るというか、神様にお願いする感じかな?」


「神にですか・・・」



間違ってはないだろう、あれは創造神様が管理してるはずだからな



「まあそういう事だから、メリルとケイトにはまだ言ってないから秘密にしといてくれよ、そうだちょうどいいから神様に報告がてらお供えしよう」


「報告?!主様は神と会話が出来るのですか?!」


「会話というか聞こえるだけというか、そんな感じだな」



どうやらニィナの頭の処理能力が限界みたいだ、遠い目をして窓の外を見てる



ニィナはそっとしておいて、俺は「収納」から事前に買っておいた女神像と白い布をだして机に置いていく


お供えのリクエストは『シュー・ア・ラ・クレーム』だったな


ようするにシュークリームの事だ、それだけだと淋しいからエクレアも用意した、チョコのかかったやつと、フォンダンのかかったやつだ


女神像の前にお供え物を置き目を閉じて祈る


えーと、約束のシュークリームとおまけのエクレアです。


それと愉快な仲間も出来て楽しく過ごしています。


今後もよろしくお願いします。




しばらく目を閉じていたが反応がないので目を開けると、お供えのシュークリームとエクレアがうっすら光り消えてしまった。



(承諾 驚愕 美味 感謝)


俺の頭の中に声が響く、何故カタコトなのかは不明だがお供えは無事届いたらしいが


美味しくてびっくりしたっていう事で良いんだよな?



一連の出来事を見ていたニィナは目をぱちくりしている



「はいはい、ニィナも驚くのはほどほどにな、ほら炙ったイカと日本酒があるから一緒に飲もう」


「これは露店で冒険者に売っていたものですね」


「それより大分良い酒だよ」


「それではひと口、んぐ、ふぅーーー。これが日本酒、素晴らしい」



『コンコン』


「ダンナァ~いるかい?開けるよー」


「どうしたケイト、ん?メリルもいるのか何か用か?」


「用っていうかなんか良い匂いがしたから、あーー!ニィナもいるー!!2人でなんか旨い物食ってたんだろう、あたしも食べたい!」


「おにいちゃん、美味しいものはわたしも食べるから!」


「ただのイカだからそこまで旨いものでも、、、まあ食べれば分かるか」


「スンスン、これも不思議な匂いがするなどれどれ、、、う~んあんまり旨くないかなぁ、、、、、、、あれ?なんかだんだん旨くなってきたよ!」


「ホントだ!最初はそんなに美味しく無かったけど噛んでると美味しくなって来るね!」


「噛めば噛むほど美味しくなるのがイカの特徴だからな」


「おにいちゃん、これ」


「イカは売らないから」


「えぇー、絶対売れるのにー!」


「イカの仕入れ先が無いから無理だよ」


「むぅ、じゃあだし巻き玉子なら良いよね!卵は朝市で売ってるから!」


「えぇ~、面倒なんだけど」


「従業員増やせば大丈夫だよ、それにおにいちゃんはほっとくと直ぐ面倒って言って新しい事やらないんだから!」


「あははははは、今回はダンナの負けだね、お嬢がこんなにやる気なんだから売ってやりゃあいいじゃん、あたしも手伝うからさぁ」


「しょうがない、やるからには全力出すぞ!この街に卵革命を起こすんだ!」


「「「おーー!!」」」





つづく。

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