第三話
ここは議会。蕎麦川ミル男は予算委員会会議で紛糾していた。彼は卓越した話術を持っていた。背は高く知的なイメージもうかがえるルックスで人気もあった。メディア戦略も完璧だ。その反面豪腕というより強引になんでも押し通すのであった。
誰でも言いくるめられてしまう。予算を自分都合で通すことなど赤子の手をひねるより簡単だった。赤子の手をひねるなんてとんだイメージダウンだ。せめて老害ジジイのスネをひねったほうがいい(よくないだろ)
今日も反対勢力をいなして自前の公共事業は上乗せ、不必要とした事案は却下させた。
「今日もお見事な制裁でございます蕎麦川先生。さすがです」秘書はすり寄った。
「ふっいちいち予算委員会に私を出席させるようなわずらわしいことをさせるんじゃない。こんなところでくすぶっている場合ではないのだ。いずれ国政にうってでるというのにだ」
「まあまあこれも地盤固めと思って堪えてください。蕎麦川先生の実力は国会でも認知されていますよ」
蕎麦川はネクタイを締め直す。
「そうだ。まずはエビフライ規制条例をはやく可決させることだ。これがこの地域における我が悲願。最後の忘れ物よ」
エビフライを規制することは子供の頃からの目標であった。このモチベーションこそ蕎麦川を政治家たらしめた要因だ。これが可決されたら国政へと一気に攻め込む構えだ。
エビフライ規制は着々と準備が進められていた。議論に出るまでが長くかかったが、やっとここまでこぎつけることができた。
エビフライ ジ エンド。
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