不倫したい!~夏子story~8

夏子は、仕事を順調に覚えていった

オフィスビル内のカフェだけあって、様々な人がいる


年齢層も幅広く、持ち前の人懐っこさでおじさんから人気になった


「なっちゃん、いつものね」


夏子:はい、いつもの豆乳ラテラージサイズですね

かしこまりました


「あと、第7会議室にコーヒーを4つ頼めるか?」


夏子:はい、大丈夫ですよ。あとでお持ちしますね♪


「ありがとう、じゃあまたね」


夏子:ありがとうございます。


たまに、ビル内の宅配も頼まれることがあるので意外と忙しい


青木:なっちゃん、宅配?

夏子:うん、第7に頼まれたよ~

青木:俺行こうか?

夏子:ビル内の宅配は、気分転換になるから好きなの。ありがと~


夏子と青木は、砕けた会話をするようになっていた

夏子は、だんだんと弟みたいで可愛いと思い始めていた


実際に、この青木徹という男は、人の懐に入るのが上手い


最初は、チャラいなど思われやすいが、仕事は真面目にやり

適度に、崩してくるだが、謙虚な姿勢も見た目と相まって

評判がよかった。


オフィスビルだけあって、いろんな会社の人が行き来する

大学1年のころから、うちに来ないか?と勧誘がすごかった


うまく交わしつつ、繋がりを増やしていった

実は、もうすぐ起業するらしい

大学のうちから起業して、今までの繋がりを活かしていくのだと

夏子は、徹から聞いていた


将来のことを真剣に話、そのために努力している姿に

応援したい気持ちが増え、弟のように接していた


ピンポーン

第7会議室は、ここだ


コンコン

夏子:失礼します。コーヒーのお届けです。

「ありがとうございます。下のカフェの人ですよね?」

まだ、会議前だったらしく、一人の男性が対応してくれた

夏子:はい、朝倉さんにご注文頂き伺いました。

「わざわざ、ありがとうございます。僕もここのコーヒー好きなんですよ

また、買いに行きますね」

夏子:ありがとうございます。またよろしくお願いします。


会社にもコーヒーがあるのに、このオフィスビルの人たちはわざわざ

買いに来る人が多い、夏子は不思議だった


夏子は、知らないがこのカフェのオーナーは店員を採用する基準がある

「顔」だ

わざわざ、高いコーヒーを買わせるために、美男美女や可愛い系など

世代ごとに、ヒットしそうな人を採用している


夏子が採用された基準は、おじさん受けが良さそうだからだった


このカフェオーナーの目論見通り

曜日ごとに、自分の推しに会いに来る

だから、店員は常連さんが決まりオーダーも早い


疲れた人々にちょっとした癒しを

そんなテーマに、社畜たちはぴったりハマったのであった


会社内で、タダで飲めるコーヒーがあるというのに

わざわざ買いに来るのは、オーナーの戦略の一つであった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夏子:徹くんあがり?

青木:今日は、会社の準備でこれから書類作ったりしなきゃなんだ

夏子:もうすぐだね、頑張って!これ私からのおごり

青木:なっちゃん!ありがとう♪愛してるよ~

夏子:はいはい~いってらっしゃい~


夏子は、哲也が転勤してから誰かにいってらっしゃいと

声をかけたのは、久しぶりであった

心がすこし、浮足立っていた

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