不倫したい! 第18話

買い物を終えて帰ると哲也は、ブチと寝ていた


ブチは、佐野家のアイドル猫である


夏子:てっちゃん、なんてウラヤマポジション。ズルい、、、。


夏子母:疲れてるんだから寝かせてあげなさい


夏子は疲れの原因が自分なので、何も言えずにいた。


夏子母:まずは、餃子から準備しましょう。夏子手洗って手伝って


夏子:子供じゃないんだから、手くらい洗うよ


夏子母:私にとっては、いつまでもあなたは、小さな子供と一緒よ


夏子:むー


夏子父:餃子包むの手伝おうか?


夏子母:あら、お願いできる?夏子がやるより上手だからね


夏子:父さんよりはヘタかもだけど、これでも主婦3年目だから、前よりうまいのよ!


夏子母/父:ふふっ。ははっ


夏子:何で二人とも笑うのよ!


夏子母:そういうところが、まだまだ子供なのよ


夏子の母と父は、大人になった夏子にうれしさと寂しさがあったが、こうやって、家にいる時はまるで昔に戻ったみたいな、子供の夏子が、うれしくてたまらなかった。大きくなってもいつまでもいつまでも


夏子:父さんの器用さがなんで私にいでんしなかったんだろ~


夏子母:お兄ちゃんに全部取られたのよ


夏子:じゃあ残ったのは、お母さんの不器用さだけか


夏子母:あら、母さんに似て可愛く生まれたんだから、よかったわね~


夏子:うわぁ~自分で言うし


夏子父:母さんは、この辺では有名な美人さんだぞ


夏子:この年になって親の惚気とかいらないし


夏子母:あら、お父さん、だったって過去じゃないの?


夏子父:母さんは、今でも美人だよ


夏子:・・・・(この夫婦は)


夏子の両親は、今でも仲良しカップル。子供が巣立っても二人で仲良く今でも旅行にいったりご飯は、父がいつも手伝っている。毎月、7か8の日は、花をプレゼントしている。これは、結婚してからずっと守り続けている父が、母に誓ったことだった


1輪の花を毎月プレゼントして誕生日では、年の数ではなく出会ってからの年月の数を、プレゼントしている


父は、ロマンチストだった

表情は豊かではないが、近所の花屋で有名だった。無愛想な父が、毎月1本花を買いにくるので実は、近所ですごく父の人気が高かった


この話が、周りで有名になり、この地域では、毎月1本花を求める男性が、増えたのだった。父のおかげか、この地域の夫婦中はすこぶる良い


そんなことは知る由も無しに父は、ただ花を渡す

口で言うのが恥ずかしいからだと小さい時に教えてもらった



私も花が欲しい!と小さい時に父にお願いしたが頑なに、くれなかった


「夏子も、自分を大事にしてくれる人が出来たらきっと、もらえるさ、その時までその気持ちを大事にとっときなさい」


なっとくいかなかったが、母が毎月楽しそうにしているので、段々とあきらめていった


でも、なんかうれしい気持ちだった。花を受け取る母と、その花を大事に飾る母の顔が、とてもきれいだったから


こんな夫婦になるのが夢だったが、哲也にこの話をしたことは一度もない。期待すると悲しくなる



これ以上望んだらダメだ


夏子は、手をお腹にあて気持ちを整えてから、また黙々と餃子を包むのであった

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