不倫したい!~優子サイドストーリー~大学編5

雪は、まだ降っていなかったが

身体が氷のように冷たくなっていた


男の部屋に上がると

爽やかな香りに


ようやく、息が吐けた


過呼吸寸前であった


「とりあえず、そこに座ってろ

今、コーヒー淹れるから、砂糖やミルクはいるか?」


優子は、黙って首を横に振る


「了解待ってろ」


キッチンからは、コーヒーの香りが漂ってきた

苦い匂いも交じっている

男は、たばこを吸いながら

コーヒーを入れてくれていた




無言で心地の良い空間に


少し落ち着きを取り戻して来たら、


また涙がこぼれた


止まることのない涙が、


優子のすべてをはぎ取っていく



コーヒーと共に

ホットタオルを手渡された


男は、何も言わずただ、黙って自分用のコーヒーを飲んでいる


ホットタオルで、顔を覆い


柔軟剤の香りだろうか、良い匂いに


次第に涙が止まってきた


顔を少しだけぬぐってふき



入れてくれたコーヒーを一口飲んだ


「美味しい、、、」


「そうか?それはよかった」


男は、コーヒー片手に本を読んでいた


しゃべらなくていいこの空間と


はじめて出会った男の家でコーヒーを飲んでる


自分の姿に、少し笑えて来た



何がいけなかったのだろう、、、



何でここに今自分はいるのだろう



これからどうしたらいいのだろう


落ち着きと共に不安がこみ上げてくるたび


コーヒーを飲んで落ち着かせていた


知らない男の人の家なのに


なんか落ち着く



しばらく、無言のまますごしてきて


ようやく優子は口を開く


「いきなり、おじゃましてごめんなさい。ありがとうございます」


男は、読んでいた本を閉じた

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