第2話 No Pet No Life

Umi辺の家にはたくさんのペットがいた。一番初めに飼ってもらったのはシャムネコのP-ちゃんだ。P-ちゃんはおしゃれな子だった。手足の先としっぽ、顔と三角の耳がこげ茶色で、目は透き通るOcean Blueの子だ。パリのシャンデリゼから来たのだとよく父が言っていた。私の小さいときの猫の絵はシャムネコで、弟の猫の絵は、ぐるぐるの線で描いた真っ黒なボールみたいな黒べーだった。そう、あの藤子不二雄の「ジャングル黒べえ」からネーミングされたガリガリの猫だ。


父は猟犬ポインター2匹と、ドーベルマン1匹を飼っていた。父は、仕事で忙しいので、散歩に行けないらしく、3匹の犬の鎖を外して、「散歩に行ってこーい!!」とよく野放しにしていた。犬は、うれしいので走る、走り回る、おいしい夕飯のにおいに誘われてよその家にお邪魔する、郵便屋さんのバイクを追いかける、鬼ごっこしている子供を追いかける……大変な近所迷惑である。今の時代なら、速攻警察に通報されて3匹の犬は保健所行きのはずである。

しかし、当時の近隣はなにも言わない、いや、言えないのである。なぜか?それは、犬より、父が吠えるほうがはるかに恐ろしいからだ。


母も小鳥を飼っていた。リリーという頭が黄色で体は緑色のセキセイインコだ。でもある朝、鳥かごが空になっていてリリーちゃんはいなくなってしまった。しばらく、母はリリーちゃんの話はしなかったが、大きくなって、母が、リリーと一緒に寝ていて自分の寝返りでペッちゃんこにしてしまったらしいことを知ってしまった。それから私は、鳥を自分の人差し指にのせてかわいいわね~とkissする愛鳥家を見るたび、その子と一緒に寝ないようにと祈らずにはいられなくなったのである。

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