第10話 勇者パーティはどこでもガールズトーク
空中絶頂プレイを終えて、フレデリカという賢者を前に賢者モードになりかけるのをなんとか我慢する。
瞬時に魔法でパンツとズボンを履き替える。
この魔法は覚えておいて本当によかった。まじで良かった。
それにしても、結構地下に長いダンジョンみたいで、まだ咆哮が聞こえたフロアまで着かない。
「リッタ! もうすぐ着く!」
「おけ!」
フレデリカの言葉に間違いはないのだろう。
俺は彼女と手を取り合って、咆哮のしたフロアにたどり着く。
ドゴン!
上手いこと着地を果たして目の前を見てみる。
『ゴオオオオオオオオオオオオオオオ!』
そこには魔物の頂点に立つドラゴンがいた。
漆黒のドラゴンが俺たちを威圧するような咆哮を放っている。
「おいおい。魔物はいないんじゃないのかよ」
ルナの感知をすり抜けた存在なのか。そんな魔物聞いたことないが……。
後ろを振り返ると。
聖剣を握った剣の勇者のルナ。
ファイティングポーズで構える拳の勇者ローラ。
宙に浮いて相手を睨む妖精王エリス。
そして、トコトコとフレデリカがいつものポジションに立ち杖を構える。
バアアーン!
ふふ。相手がドラゴンとか関係ないか。
もう4人揃えば敵なしの勇者パーティの完成だ。
「おりゃ!」
「そりゃ!」
「てりゃ!」
「おっ! おっ! おっ!」
「ええええええええ!?」
2人の勇者と妖精王がフレデリカに攻撃をしている。
「よくもリッタ様との楽しい時間を!」
「イチャイチャしたのか!?」
「ビッチばっかじゃないの!」
「アデッアデッアデッ」
「ちょっと!! 勇者パーティさん!? 目の前にドラゴンいますけど!? 味方同士で争ってる場合!?」
「少々お待ちください。このお子ちゃまをしっかり躾してからです」
「油断も隙もない!」
「なにしてたのよ!? リッタとなにしてたのよ!?」
「ナニって。ナニと玉。握った」
「「「なああああああにいいいいいい!?」」」
やっちまったな。
「「「女は黙って天誅!!!」」」
はぁ……。普通にこえーよ……。
目の間には魔物の頂点に立つドラゴンがいるってのに。
勇者パーティという強さゆえの傲慢か。
『グロオオオオオオ!』
「おっ!」
ドラゴンがその長い爪で攻撃を仕掛けてくる。
よそ見をしていたので少し避けるのが遅れて、服がカスってしまった。
「勇者パーティ様はがきんちょの躾で忙しいみたいだし、俺が相手してやるよ」
言いながら漆黒のドラゴンの瞳を見た。
『アッパーコンパチブル』
心の中で唱えると、地面を蹴って空を飛んだ。
相手の能力を盗み、相手以上に使いこなすスキル。
俺のスキルは人だけではなく、動物や植物、魔物にだって有効だ。
俺はドラゴンの能力を得た。ただ、姿形は変わらない。
普段は人に使うことの多いスキル。ドラゴン相手に使うのは不慣れだ。
しかし貴重なドラゴン体験。
ドラゴンの能力ってことで、この時だけは空を飛ぶことができる。
「落ちる前に出会えていれば、俺のパンツとズボンは無事だったんだけど」
なんて、くだらないことを言ってる場合ではない。
大きく旋回して、ドラゴンに向かって大きく口を開いた。
内臓から湧き上がるすごい熱量を感じるのも一瞬。
口から炎を吐いた。
ぼおおおおおお!
口から炎を出す感覚は、二日酔いの嘔吐にかなり近い。
胃液まで出せば楽になるので、二日酔いの時は吐き切るのがポイント。
炎も同じで、吐き切らないと口の中に熱が残るからね。グラタンをふーふーしないで食べたあの熱さ体験はもうしたくない。
『グロオオオオオオ!』
ドラゴンの咆哮と共に俺の炎は最も簡単に消し飛んでしまった。
「ま、そうなるよな」
ドラゴンに火なんて通用しないだろう。口から炎を吐きたくなる男心ってやつさ。
それならば。
飛んでいる勢いを使って、そのままドラゴン目掛けて突進する。
「うおおおおおお!」
右腕を思いっきり振りかぶる。
「りゃ!」
そして、右ストレートをぶっ放す。
ドラゴンみたいな鋭い爪はないので、ただの右ストレートになってしまった。
ガンっ!
俺の右ストレートは普通に防がれてしまう。
すぐさま、カウンターみたいにドラゴンがもう1度ドラゴンクローを放ってくる。
空中で避ける経験のない俺は、避けることより受け止めることを選び、両腕で自分の身を守った。
「ぐっ!」
受け止めた反動で、ボールみたいに簡単に弾かれてしまう。
「うぐっ!」
斜め下に弾かれて、地面に背中から着地してしまう。
だが、ドラゴンの能力のおかげで防御力が高いため、大したダメージではない。
地面を転がっている途中で起き上がる。
体を起き上がらせても、まだ弾かれた運動が残っており、足を踏ん張ってようやく摩擦運動が働いて止まった。
なんちゅう力だよ。
「能力的な面では上位互換なんだろうが、その差はほとんどなし。炎が効かないところや、図体の違いによる物理的な火力はあっちの方が上って考えた方が良い。それと、こっちは慣れないコピーに対して、あっちはオリジナル。その能力で長年やってきた経験が違う。ふっ。やっぱり俺のスキルはチートと呼ぶことはできないかもな」
これがタイマンだったのなら、負けていただろう。
だが今、この瞬間、俺は1人じゃない。
俺は勇者パーティを見た。
「リッタ様の、その……玉って言うのは……いかがだったのでしょう」
「以外と柔らかい」
「へぇ。そうなんだ。固いと思ってた」
「それは棒のところでしょ。そっちは柔らかいんじゃないの?」
「エリスちゃん。なんで知ってるの?」
「や、べ、別に。勘っていうか……」
「怪しいです」
「怪しいね」
「怪しい……」
「おおおおおおい! ドラゴンを前になにを深めのガールズトークしとんだ!?」
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