第43話 前夫人の償い
ヴェルナール前夫人が、その懺悔ともとれる告白を終えた頃には、もう夕刻になっていた。
「こんな私が言えた事ではないわ。だけど、ラウラさん。貴方は本当にお母様そっくりね。その銀色の綺麗な髪も、サファイアのような目も…………、」
「………………」
あまりの話の内容に、ラウラは言葉を失った様子だった。
ラウラとしては「物心つく前の話が殆どで、小さい頃は貧しかったような気がする、お母さんのことは覚えていない……、」とのことだった。
ここで僕はとある質問をした。
「あの……、一つ気になったのですが……」
「何?」
「もしや、伯爵家のみなさまは、氷魔法をお使いになりませんか?」
「えぇ。ラウラさんの魔法の話も聴いているわ。伯爵家の嫡流は代々、氷魔法を受け継ぐの」
なるほど……、ラウラが孤児ながらCランクの魔力量を有し、氷魔法を扱えたのは、伯爵家の庶子だったからか……。
「ラウラさんたち母娘の人生を壊したのは、私たち伯爵家よ。どうやってもラウラさんたちにした仕打ちは償いきれないわ。だから、無理に許してほしいと願ったりはしません」
前夫人は申し訳なさそうに僕たちに頭を下げた。
ラウラを見やれば、何とも言えなさそうな顔をしていた。
「ラウラは当時のことをほとんど覚えていない様子です……。勿論、これはラウラの気持ちの問題ですが………………、いいえ…………、ラウラも、もう、気にしないようです」
「本当に、ごめんなさい……」
ラウラはフルフルと、顔を横に振っていた。
「それでも、今のラウラさんには貴方を守ってくれる騎士様が付いているようね? 良かったわ……。とても私が言えた義理ではないけれど、二人で仲良く暮らしてくださいね……」
「はい」
僕が返事をすると、隣に座るラウラは僕に身体を寄せて密着してきた。
「それで……、ここからは私の厚かましいおせっかいですけれど…………、」
「はい」
「エルヴィンさん。貴方、貴族学園に通ってみない?」
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