vol. 08 青年海外協力隊とJICAとODA ③

いったい何度説明するのか?って思うかもですが、もう一回ODAの定義に触れますね。


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-政府または政府機関によって供与されるものであること

-開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としていること

-資金協力については、その供与条件のグラント・エレメント(※)が国・機関別の設定基準を満たしていること

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その上でさっきも言ったんですが、ODA事業ってこの定義さえ満たしていればODA事業とみなされるんです(小泉構文的になってますが)。

要は政府/政府機関から供与され、主たる目的がODA定義要求を満していれば(開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与する)、他にどんな思惑/狙いが背後にあろうが関係なくそれはODA事業なんです。


だから協力隊経験の日本社会への還元なんて全く問題なしなんですよ。

当然、私の挙げた協力隊参加のメリットもそれを主目的にしなければ協力隊参加の目的として挙げても問題ないんです。


ちょっと話の抽象度をあげますが、そもそもの話、日本政府はなぜODAを行うと思います?


ODAの定義には散々触れて、もはやその定義内容とかは覚えてしまったかもですが、日本がODAをやる理由には触れてなかったですよね。


あっ、そうです。

もちろん第一は途上国支援の為です。

けど、なぜ国のお金を途上国支援の為とは言え貸し出す(無償+有償)必要があるかってことです。

だって税金ですよ?なんなら国債発行してですよ?

借金してまで人にお金貸し出すって相当アレじゃないですか。

個人レベルだったら、まだ単なるお人好し(or 馬鹿)で済みますが、国レベルでやるってなったら。


この答えは、JICAの資料にも外務省資料も明記があります。


・・・そうです、仰る通りです。

日本のODAが行うのは、国益の為ですね。


例えば、JICAの資料には、日本がODAをやる理由をこう書いてます。


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世界には約67億人の人口がおり、そのうち約10億人が飢餓(きが)や貧困に苦しんでいます。さらに、環境やエイズ問題など、地球的規模の問題など、これらの問題の解決に向け、ODAを通じて貢献していくことは国際社会の一員として重要なことなのです。とくに、資源や食料の多くを海外からの輸入に頼っている日本にとっては、ODAを通じて途上国の発展をお手伝いし、それを世界の安定と平和につなげていくことは、日本の国の利益にもつながるのです。

たとえば環境問題を考えてみましょう。環境の悪化は、その国だけでなく、周辺の国、そして全世界に影響が及ぶものです。途上国での環境問題に日本が協力するということは、日本の環境を守ることと同じことなのです。途上国の経済発展のお手伝いをするというのも同じです。途上国の経済が発展すれば、日本の電化製品や車なども買ってくれるようになり、日本の経済にも影響があるのです。つまり、途上国を支援するということは、途上国のためでもあり、また日本のためにもなっているのです。

また、日本も終戦後の復興や経済発展の過程で、多くの支援を海外から受けたことがあるということも忘れてはなりません。

(https://www.jica.go.jp/aboutoda/basic/01.html#a01)

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外務省資料にはODAの目的(なぜ必要か?)についてこう書いてあります。


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国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資すること

(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/03_hakusho/ODA2003/html/honpen/hp002010000.htm)

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他の外務省資料等にはこう書かれています。


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日本は,国際社会の平和と安全及び繁栄の確保により一層積極的に貢献することを目的に開発協力を推進しています。

飢えや貧困に苦しみ,十分な食料や飲み水が得られなかったり,教育や医療を満足に受けられなかったりする人々を抱える国・地域は,世界196か国・地域のうち,146か国・地域(出典:DAC資料)にも及びます。また,環境・気候変動,水問題,大規模自然災害,感染症,食料問題,エネルギーなど地球規模の問題も山積しています。開発協力を通じて途上国の発展を手助けし,地球全体の問題解決に努める日本に対して,世界各国から寄せられる期待は少なくありません。このような期待に積極的に応えていくことは,国際社会における日本の信頼を培い,存在感を高めることになります。


また,現在のグローバル化した国際社会では,国際社会との相互依存がますます深まっており,国際社会と協力して,平和で安定し,繁栄した国際社会を作っていくことは,国民の生活を守り,繁栄を実現することにもつながっています。このように,開発途上国の安定と発展に貢献することで,望ましい国際環境を形成し,そのことを通じて,日本国民の利益の増進にも貢献する開発協力は,我が国の平和国家としての歩みを体現するものであり,まさに,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の実践なのです。

(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/oda/oda.html)

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開発協力隊の目的:

国際社会の平和と安定及び繁栄の確保により一層積極的に貢献すること


【現在の国際社会】

国際的な経済活動の拡大,相互依存の深化,非国家主体の影響力増加:

世界各地のあらゆるリスクが,世界全体の平和・安定・繁栄に直接的な悪影響を及ぼし得る。

新興国・開発途上国の経済的重要性の高まり:

新興国・開発途上国の「質の高い成長」が世界全体の安定的成長に不可欠


【我が国の経済社会状況】

新興国・開発途上国を始めとする国際社会との協力関係を深化させ,その活力を取り込んでいく

ことが,我が国自身の持続的な繁栄にとって鍵


->平和で安定し,繁栄した国際社会の構築は,我が国の国益と分かちがたく結びつく。

(国益=我が国の平和と安全の維持,更なる繁栄の実現,安定性及び透明性が高く

見通しがつきやすい国際環境の実現,普遍的価値に基づく国際秩序の維持・擁護等)


望ましい国際環境を形成することを通じ,我が国の国益の確保にもつながる。


”我が国の外交政策の最も重要な手段の1つ”

(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/000092329.pdf)

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長い。。。すみません。

引用ばっかり、、、ごめんなさい。

けど、一次情報がほしくないですか?、、、

あぁ、、、要点だけ知りたい。。。

ごめんなさい。

もう少しで終わるので。


要は経済と安全保証の為ってことなんです。


貧困は争いを生む。

争いは社会不安を巻き起こす。

争いが発生していない国々でも、その周辺国で争いが起きれば大きな影響を受ける。

特定の国にのみ産出する資源があった場合、その国で争いが起きればその他の全ての国が影響を受ける。


貧困が改善する。

社会が安定し国が発展する。

人々はさらに良い生活を求め始める。

良い製品/ソリューションを国外から輸入する。


日本は資源に乏しく食物自給率も低い。

それでも国を維持/成長していくためには、日本にない資源や足りない食料を安定して輸出してくれる貿易バートナー国が必要。

”安定して”というのが重要。

もし、その国々から輸入できなくなるといった事態が起きると、輸入に頼る日本は厳しい状況に陥る。

争いはいつどこで起きるかはわからない。

故に、一国購買みたいなことはせずに多くの国々とパートナーになっておく必要がある。

更には、世界人口が今後さらに増えていく。

その時代に向けた食料の取り合いは既に始まっている。

資源及び食料の安定した調達のためには、今から多くの国々と良いパートナーになっておかねばならない。


日本の高齢化は深刻である。

現在の日本の基幹産業は製造業であるが、人口減少が始まっている日本においては今後内需の成長は見込めない。

さらなる成長を望むためには?

買い手を日本以外も探せば良い。

貿易パートナー国が日本製品の輸出先になれば、

日本としての経済的成長も見込めることになる。


では、どうやって途上国の国々とパートナーになれば良いのか?

かつては植民地という形でパートナー国(支配国)を先進国は得ていた。

しかし、もはやそんな時代ではないのは明らかである。

武力による植民地化は許されない。

ではどうやって?


その手段の一つがODAてことですね。

人間関係にも同じことが言えますが、貸し(金銭的に)を作るというのは”強い関係”作りの手段の一つですし、各国の省庁レベルの人間に対して技術的な協力を行い、発展の支援とそのレベルの方々との強いコネクションを構築するもその一つです。


ODAの実施は、そういった関係を作り出し、日本の外交的な仲間を増やし(敵を減らす)、日本の経済成長の為の投資、ということになるわけです。


まぁ、人によってはこういった目的の支援は動機不純だとか言うかもですが、結果的には途上国側は支援が得られる、日本は良い関係を構築できるという、なんだかんだWin-Winになっているのでイイジャン、みたいな感じかなと私は思います。


。。。はい、そうですそうです。

ODA事業は支援と言いつつ、その実は投資なのです。

超長期の投資ということですね。

まぁリターンが不確かで、負ける可能性もある投資ですが。

ただ、投資をしないと勝つ機会もないわけで。


やたら遠回りしてしましたが、まとめると

・ODA事業は主目的が途上国支援であれば、あとはなんでも良い。

・日本の政府レベル資料から、"ODA事業は国益の為にも行う"といったことを事業実施の理由として明記している。

・故に、協力隊員がその協力隊経験を企業へ還元する、言い換えれば企業で活用することを想定して協力隊に参加することも問題ない。

・ただし、いずれにしてもODA実施機関であるJICAが途上国支援以外を大々的に打ち出すのは、主目的を途上国支援以外に捉えられてしまう可能性があるので、自己成長などはやはり声高には言えない。


あー話過ぎて喉乾きました。。。

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