第3話 私は、異形のものに恋をした
スーラは、10歳になった私の背中に収まりきらないどころか、私より少し大きくなり、しかもいろんな形をするようになった。
以前はスライムと蛇だけだったが、今ではタコなどのいろんな生き物や植物に似た形をするのだった。
背中に納まりきらなくなってしまったこともあり、学校に連れて行くわけにいかず、家で留守番をしてもらうようになった。
「ただいま」
家に入って一言いうと、スーラは縦に長く伸びたスライムみたいな姿で出迎えてくれた。
その彼に、私は抱きついてキスをする。
「会いたかった…好きよ」
学校から帰ったら、スーラは必ず出迎えてくれる。私は大好きなスーラに抱きついてキスをする。こんなことを毎日やっていた。
以前なら彼の粘液で、私は体も服もべとべとになるけど、どうやら成長すると同時に、粘液を出したり出さなかったりできるようになったみたいで、今はぬるぬるしてもべとべとにならなかった。
10歳でありながら、かなり大人っぽいことをするようになったと思った。
思えば私はこのころから、子供ながらにスーラを愛してたのかもしれない。
学校は普通に通っていたが、実はスーラと抱き合うようになってから、私の体は軽く感じるようになった。
実際、かなり長い距離を歩いたり走ったりしても、まったくと言っていいほど疲れなくなった。
スーラの粘液に何かがあるのだろうと思ったが、私が彼と一緒に住んでることは誰にも言ってないこともあり、調べてもらうこともできなかった。
それにほとんど勉強してないのに、学力は平均を少し上回った成績を残している。
それどころか、学んだことがなくて全然知らないことまで、気が付いたら知っていた。
(もしかして、どういう形でかはわからないけど、スーラの知識を私は取り入れてる…?)
それから3年ほど過ぎて、私は中学生になった。
最初のころは楽しかったが、ある程度慣れてきたころからいじめられるようになった。
その原因が、体型だった。
私の身長と肉付きは年相応だが、胸だけは13歳になっても小学生だったころのままだった。
そのこともあり、男子からは「本当は男なんじゃないの?」とか言われるだけならまだしも、女子たちにも「そんなぺたんこなら、ブラなんていらないでしょ?」と言われて取り上げられたりした。
おまけに、更衣室で着替えてるときに、歳不相応に大人びた体型(特に胸が目立った)を見せられて悔しい思いもした。
その目立つ胸を持つ女子(以下:モデル気取り)は、私と同い年でありながら身長が170センチほどあった。
実際にモデルをやっており、“中学生の大人モデル”として評判で、それを鼻にかけて自慢しまくっている。
その目立つ胸を羨ましく思ったことも一度や二度ではなかったが、体育の授業はつるぺたで助かった。
特にマラソンなどで走るとき、モデル気取りは一歩踏むごとに胸が大きく上下に揺れ、それを痛がって速く走れないのだった。
しかもその大きく揺れる胸が、男子生徒たちの注目の的になり、男子の中に「脱いで見せてくれーーー!!」とか「触らせてくれーーー!!」と叫ぶ生徒まで出てきた。(後で教師からきつい説教をされてるのを見た)
(大声で、しかも授業中に堂々と何てことを…(汗))
これを聞いたモデル気取りは顔を真っ赤にして、しかも躓いてこけてしまった。
他の女子生徒も、モデル気取りほどじゃないにしても、胸を大きくしたくて大きめサイズの下着をつけたりしてたけど、その下着がずれたりしてうまく走れず、そんな生徒たちを横目に、私はさらしをしっかり巻いて全力疾走した。
おかげでマラソンはトップでゴールした。
担当の教師からは褒められたが、周りの女子生徒たちはよく思わなかった。
「褒められていい気になってるんじゃないわよ!?運動神経は私のほうがいいんだから、すぐ抜いてやるんだからね!」
授業が終わって、更衣室でモデル気取りが代表するかのように言う。後ろにいた女子たちも「そうだそうだ!」と言った。
「私に勝ちたいなら、まずその“無駄に大きいもの”をどうにかしないといけないんじゃない?」
私は不敵に笑って聞いた。
「む、無駄に大きいですって!?」
「実際に走ってるとき、その“無駄に大きいもの”が弾けて、それが痛くてうまく走れなかったんじゃないの?しかも男子生徒たちからは、その“無駄に大きいもの”が注目の的になってたし」
「無駄無駄ってうるさいわね!自分がつるぺただからって!」
モデル気取りは、顔を真っ赤にして怒ってきた。
「そうね。私は見ての通りつるぺたで、そのせいで本当は男じゃないかっていじめられたりして、さっきまでコンプレックスだったわ!」
私は体操着の上着を脱いでさらしだけになった。
「でもね、さっきの体育の授業で、学生でいる間は、大きな胸は必要ないって気づいたのよ」
この時になって、お風呂でスーラがタオルの上から私を抱いても、それ以上何もしてこない理由がわかった気がした。
「ふ、ふん。そんなこと、あなたが本当は男だから言えるんでしょ?」
「まだそんなことを言うの?つまり、ここで私が女だってことを証明すればいいのね!?」
皮肉を込めるような言い方で聞いてきたが、私は怯まなかった。
それどころか、私はモデル気取りの手を引き、自分の下着の中に手を入れて股を触らせた。
「これでも私が男だって言える!?ちゃんと女の性器がここにあるでしょ!?」
私の下着の中に入れたモデル気取りの手の上から、自分の手で私の股の感触を確かめさせた。
モデル気取りは、私がこんなことをすると思ってなかったのか、驚いて怯んだのを見て、私は手を離した。
「他のみんなもどうなの!?私が男か確認する!?」
私が睨みながら言うと、女子生徒たちは逃げるように更衣室から出て行った。
「ち、ちょっと待ちなさいよ!」
モデル気取りも、慌ててみんなの後を追う。
「ふん…まったく、私を押し倒すぐらい勢いよく迫ってくるくせに、私が押し返すぐらいの勢いで反撃したら、すぐ逃げ出すんだから…」
誰もいなくなって静かになった更衣室で私は愚痴を漏らし、着替えて教室に戻った。
教室に戻ると、ほかの女子生徒たちが体操着姿のままだったが、私が教室に入ると、みんな一斉に更衣室に駆け込んで着替え、チャイムが鳴るギリギリになって戻ってきた。
「?」
さっきの私の行動に恐怖を覚えたのだろうか?
授業は普通に始まり、特に問題も起きずに時間が過ぎて、普通に終わって放課後になった。
休み時間になり、普通はほっとするのかもしれないけど、私には苦痛だった。
というのも今までずっと、休み時間になってから終わるまで、胸のことでみんなからいじめられてきたからだ。
スーラには余計な心配をさせたくなくて話してない。
でもきっと、感づいてるかもしれない。
家に帰ると、彼はいつも私を優しく抱きしめて、キスしてくれる。
大好きなスーラのおかげで、私は頑張れる。
(もしかしたら、これが“愛”なのかな…?)
(あれ…?)
いつもなら先生が教室を出てその数秒後に、モデル気取りが“無駄に大きい膨らみ”を揺らしながら近づいてきて、自分の“無駄に大きい膨らみ”を自慢しながら、私の体型のことで嫌味を言う。
でも、今はそれがないどころか、みんな私から距離を置いている。
もしかして、更衣室のときの・・・?
まさかと思いながらも、かばんを手に取って教室から出た。
そして校門を出たときに、知らない男の人が3人いて私を囲った。
「な、何?」
「ちょっと、来てもらおうか」
男の一人が私の腕を強い力でつかみ、周りにいた男たちに担ぎ上げられて、どこかに連れていかれた。
連れていかれた先は、人通りが全くと言っていいほどないどこかの倉庫。
そこで私は、椅子に無理やり座らされて上半身を縛られ、足も股を開いた状態で縛り付けられた。
二人の男は見張りに出ていき、残った男に制服の上着を脱がされ、さらしを丸見えにさせられた。
「ち、ちょっと、何するの!?」
「何って、お前の肉付きを確かめてやるのさ。ぐふふふふふ」
正面に立った男が、上半身裸の下着姿になって私の前に立つ。
私はスカートをめくられそうになって、必死に抵抗した。
「ひっひっひ。いい体してるなぁ」
「どこがよ!?中学生の肉付きと平均身長をしてるけど、見ての通り胸はないじゃない!」
「そのない胸がそそるんだよ。なにしろ俺様は、スレンダーが好きだからなぁ」
そう言って自分手で私に触ろうとしてきた。
過去に同じことをやられた記憶がよみがえった。
「い、嫌…」
だるま男にやられそうになったときは、私の背中にスーラがいたからよかった。
でも今は、彼は家で私の帰りを待ってる。
本当に絶望的だった。だけど・・・。
ずば!!
「ぎ!?うぎゃあぁあああああ!!!!!!!」
何かを切った音がしたと思うと、男は倉庫中に響き渡るほどの悲鳴を上げながら、出血する手を抑えて転がりながら苦しみだした。
「おぉあぁああああああ!!な…なんだぁ!?」
(え!?まさか!!)
自分の手を見ると、蛇の姿をして鋭い牙をむいたスーラがいた。
(まさか、彼の一部はずっと、私の背中にいたの!?)
スーラは牙を引っ込め、すぐ私の背中に戻った。
「な、お前何をした!?」
悲鳴を聞いて入ってきた男が聞いてきた。
「隠れてた毒蛇が、その人の手を切ったのよ!あなたたちも同じようになりたい!?」
男たちは真っ青な顔になり、股を抑えて苦しむ男をかついで逃げた。
本当はスーラがやったことだけど、知られないように黙っておいた。
倉庫に誰もいなくなった後、スーラは私の制服の袖から出てきて、私を縛っている紐も食いちぎってくれた。
(ずっと、私を守ってくれてたのね…ありがとう)
私は半分脱がされた制服の上着を整えて、倉庫から出た。
幸い、知ってる道だったから、迷うことなく家に帰ることができた。
「ただいま」
玄関のドアを開けて言うと、いつものようにスーラが出迎えてくれた。
「…スーラ…」
彼は私に4本の腕を伸ばしてきた。そのうちの2本の腕に私は触れた。
「ありがとう。おかげで私は、こうして無事に帰ってくることができたわ」
私はうっとりして彼に抱きつき、彼は私を優しく抱きしめてくれた。
スーラの温かい抱擁に癒された私は、同時に嬉しくて泣いてしまった。
「本当に、ありがとう。凄く嬉しい…それに幸せ…あなたが大好き…」
私は涙を止めずに、スーラの口に私の熱い想いを込めたキスをした。
そしてしばらくして唇を離し、無意識に次の言葉が出てきた。
「…愛してるわ…」
このとき、私はスーラを愛してることをはっきりと自覚した。
夜。私はバスタオルを体に巻いた状態でスーラとお風呂に入り、彼に抱き着いて熱いキスをした。
「助けてくれた時、本当に嬉しかった…スーラも私のこと、愛してくれてるんだなって思えたから…」
私が言うと、スーラは4本の腕でタオルの上から私を抱いてくれた。
「温かい…幸せ…」
私は呟きながら、スーラの頭を固定して、本心からの深い愛を込めた熱いキスをした。
「スーラ…愛してるわ…」
この後のことは記憶になく、気が付いたらパジャマ姿でベッドに横になっていた。
それも、スーラに抱かれた状態だった。
翌朝、私はスーラの腕の中で目を覚ました。
少し驚いたけど、昨夜何があったのかを考えたとき、お風呂で熱いキスをしたことを思い出して納得した。
私が目を覚ましたことを確認したスーラは、私を温かく抱いていた4本の腕をほどき、私はベッドから起きて、パジャマから制服に着替え、うがいして顔を洗い、その間にスーラが用意してくれた食事を一緒に食べた。
(食後に蜂蜜の味がする粘液も飲んだ。これを飲むと、力が湧いてくる感じになる)
「じゃぁ、行ってくるね?」
学校に行くためにカバンを手に取って玄関に行き、靴を履きながら言う。
「…あ、その前に…」
ドアを開けて外に出ようとしたけど、その前に、スーラを抱きしめてキスをした。
「…愛してるわ…」
唇を離して囁き、外に出てドアを閉めた。
私の気持ちは、今までにないぐらい爽やかだった。
これがきっと、“愛の力”なのかな?なんて思ったりした。
学校につき、教室に入ると、なぜかシーンとしていた。
(どうしたの…?)
まさか、昨日の更衣室でのこと?…それとも、倉庫でのこと…?
どちらにしても、詮索しないほうがいいと思って、誰にも聞かなかった。
どんなときだった。
「あなた、昨日何をしたの?」
モデル気取りが、私に聞いてきた。
「昨日って…?」
「とぼけないで! 昨日の放課後に、あなたが3人の大人の男に、町はずれの倉庫に連れ去られていくのを見てしまったけど、その少し後に、倉庫から男たちが慌てて出て行ったじゃない!」
なぜそれを見てたのかが気になったけど、でもあえて気にならないふりをした。
私はその男たちに乱暴されそうになったこと、そして私に触れようとした男が、倉庫に隠れてた毒蛇に襲われ、それを見たほかの男たちが慌てて逃げたことを言った。
(本当はスーラがやったことだけど、ここはあえて蛇ということにした)
モデル気取りだけじゃなく、これを聞いていたほかのみんなも驚いた。
「悪運の強い人ね。大人の男を、毒蛇で黙らせてしまうなんて…」
このとき、私に触れようとした男は、過去に私によくないことをしようとしただるま男と同じように伝染病になり、人の手を借りないと全く動けない状態になったと聞いた。
(感染して1日の時間も過ぎてないのにそんな状態になるなんて…よっぽど恐ろしい病気なのね…)
その男だけでなく、あとの二人も、同じような状態になったと聞いた。
そして後日、その3人は見るも無残な形で死んでいることを聞くことになる。
「まぁいいわ。私に恥をかかせたあなたに、反撃できないままいなくなられるのは心残りだと思ってたから。でも、これから気を付けるのね」
そう言ってどこかに行こうとしたが、引き返してきた。
「言い忘れてたわ。今回は私の負けみたいなものだけど、私には大人なモデル体型という武器があって、あなたに勝とうと思えば簡単に勝てることを忘れないことね!」
教室全体に聞こえるほどの声で私に宣戦布告をしてきた。
「モデル体型はともかく、整形で無理やり大きくした胸が、そんなに自慢なの!?」
私もモデル気取りと同じぐらいの声量で聞き返した。
『せ、整形!?』
教室全体がざわっとなった。
「みんなおかしいと思ったことない?こんな大きい胸をした生徒がいたら、入学式の日からそのことで話題になってたはずよ?なのに、その頃は「高身長のモデル女子がいる」っていう話題は出ても、体型のことには誰も触れなかった」
私が聞くと、みんなははっとなった。
「無理もないわよね。入学して間もないころは、私と同じスレンダーだったから。なのにそれから1週間ほどで急にこんなに大きい胸をぶら下げて登校してくるんだもん。これが整形じゃなかったら何なの!?」
「っく…」
モデル気取りは、苦虫を噛み潰したような表情になった。
「昨日の体育の授業の後でも言ったけど、学生にはそんな大きい胸は必要ないのよ。昨日の体育みたいに、あんなに大きくボヨンボヨン弾ませながら走ってたら、記録なんて出ないじゃない」
私はモデル気取りのプライドをへし折るぐらいの勢いで言ったが、モデル気取りは不敵に笑った。
「ふん。相変わらず口だけは達者なのね。でも、あなたは私みたいに、色気がある大人の下着がはけるかしら?」
そう言って自分のスカートの前をまくり上げる。スカートの中は、黒の勝負下着だった。
驚きはしたが、同時に呆れてしまった。
「わかってないわね。確かに色気があるといえばあるけど、黒で男子は釣られないわよ?」
「わかってないのはあなたじゃない!実際に男たちに見てもらえば、どっちが正しいかわかるでしょ!?ほら!!!」
そう言ってスカートをめくり上げ、自分の下着を思いっきり周りに見せたが、それを見た男子たちは、私が予想した通りの無反応だった。
「え!?ど、どうして!?」
モデル気取りは予想外の反応に驚き、スカートを戻した。
ほかの女子生徒たちも、男子たちの反応に驚きを隠せなかった。
「いい機会だから教えてやるか」
一人の男子生徒が椅子から立って言った。
「ほかの男はどうか知らないけど、俺は黒かそれに近い色をした下着に色気を感じないんだ」
この返事に、モデル気取りはもちろん、ほかの女子たちも驚いた。
「だと思ったわ。だって…」
私は何となくだけどわかってた。その理由が・・・。
「男子たちは小学校1年の時から、体育の授業で女子のブルマを見てきたからじゃない?」
「その通りさ。体育の授業のたびにブルマを見てきて、それで慣れてしまったからかな…」
別の男子生徒が返事した。
「そんな…」
予想外な返事に、モデル気取りはがっくりしてしまった。
「この教室にいる男子全員に聞くけど、どんな色の下着なら色気を感じるの?」
ぶ~~~~~~~っ!!!!!!
私が聞くと、男子全員はもちろん、女子生徒たちも吹き出した。
「へ、へ…返事に困る質問するんじゃねぇ!!!」
男子生徒の一人が、苦笑いしながら言った。
「でも、興味あるわね」
女子の一人が言った。
「そうね。ねぇ、いい機会だから教えてよ。スカートの中、どんな色が好きなの?」
もう一人の女子が聞いた。
男子たちは苦笑し、言いにくそうにしながらも答えた。その結果が・・・。
黄色、ピンク、水色と、明るい系のいろんな色を答えたが、一番多かったのは・・・。
「やっぱ、真っ白が気を引くかなぁ」
「だよなぁ、眩しくて直視できないし。真っ白が色気ないって言う奴いるけど、むしろ目のやり場に困る」
「同じく。しかも俺は、見せパンとか水着のビキニパンツやレオタードでも、真っ白でスカートからチラっとでも見えるとドキッとする」
なんていう声が飛び交った。
これを聞いた女子たちは納得した感じだった。
私は小さいころから、真っ白な下着しかはいたことがない。
そもそも、家には白しかなかったから。
今更、の色を変えようとは思わない。
私にとって大事なのは、下着の色気じゃないと思うから。
後日、女子生徒の何人かが、気がある男子生徒たちに彼らの好みの色の下着をはいて告白してたのは余談かな・・・。
しかも告白の内容もすごかった。
「あなたの好きな色の下着をつけてあげるから、彼女にしてくれない?」
と、誰もいないところに呼び出し、頬を赤くしながら聞いたらしい。
告白された男子生徒は、女子生徒の予想外な行動に頬を赤くして苦笑し、「負けました」と言ってOKしたと聞いた。
こんなことがあったものの、私のクラスで大勢のカップルができたのも、また余談ね・・・。
「ねぇ、あなたは誰にも告白しないの?」
私が誰にも告白してないことを知って、ルカが聞いてきた。
実際、私は誰にも告白してない。本心から深く愛してるスーラがいるからだ。
でも、学校ではこのことを誰にも言ってない。
「うん…実は私ね、6歳のころから想い続けてる相手がいるから…」
本当のことだが、他に言いようがなかった。
「そうなんだ。一途なんだね」
それだけ言って、どこかに行った。
追及されなかったことを不思議に思ったけど、同時にホッとした。
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