20
1/100秒後、シュウは跳んでいた。蹴りを浴びせる。
助祭は人間離れしたパワーの正拳で応じる。
共に初撃を
──速い。限界までチューンアップしている。結城助祭はサイボーグ聖兵だ。
教団が自衛の名目で組織する武装集団──〈使徒兵団〉を束ねる指揮官がサイボーグ聖兵だ。総本部に居ると聞いたが、それが結城助祭だったとは──
サイボーグ聖兵のデータは持っている。が、助祭の戦闘能力はデータを超える。そこらの、ごろつきサイボーグとは格が違うのだ。
命のやり取りなしでは決着しない。
右の手刀に超高速振動を起こした。表皮に衝撃波の
助祭は肘で斬撃を弾き返した。超硬度カーボンプロテクターを腕に巻いている。
ひとまずカマイタチを納める。消耗の激しい
「ほほう、ブーステッドか。ゼロ課の正規品か?」余裕をもって助祭は問う。
ブーステッドがスピードでアドバンテージをもつとはいえ、今回の差は小さい。一方、サイボーグ聖兵は歩く武器庫のようなものだ。寿命を犠牲にして、体内にあさましいほど兵器を詰め込んでいる。最悪でも敵を道連れにするため、自爆システムも抱えているはずだ。が、まさか本部を破壊する気はないだろう。起爆はロックされていると信じたい。
シュウはジョーカーを放つ。ジョーカーは3D迷彩でステルス化し、プロペラを回転させて飛ぶ。
ジョーカーが発射する熱線を、助祭は難なく避けた。
熱感知レーダーを装備している。小さな伏兵の援護は把握されている。
──死角は無い。
助祭の左手が手首で分離し、ジェット噴射で飛んだ。昆虫を手づかみするように、ジョーカーを捕えて床に転がった。
「ゼロ課のネズミは卑怯な手を使うと聞いたが、本当だな」
「躰に武器を仕込みまくったオマエは、卑怯じゃないのか?」
「ふん。殺す前に聞いておこう。ゼロ課はこちら側のハズだが、キミ、反政府一派の使いか?」
「どちら側でもない。どちら側になるべきか、調べに来た」
「アポを取って正面玄関から来れば良いものを。裏口から来たネズミは、生きて帰れんなあ」助祭は憐れむように眉尻を下げた。
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