機械仕掛けの涙

感情があるから

それが愛を生むから

こんなに辛くなる


信頼があるから

それが夢を抱くから

こんなに傷ついている


悲しいから涙がこぼれる

人間ってものを

神様がきっと

そう設計したから


だけどその涙が

たとえ機械仕掛けだったとしても

この胸の痛みは

他の誰のものでもなくて


疑いようもなく

この僕のものなんだ



理性があるから

それが知と交わるから

こんなにも不安になる


記憶があるから

それが未練に変わるから

こんなに後悔してしまう


出会うから別れが待ってる

宿命ってやつを

神様がきっと

そう悪戯したから


だけどこの涙が

たとえ時計仕掛けだったとしても

この震える心は

他の誰のためでもなくて


間違いなく

君だけのためなんだ



霊長類として

ホモサピエンスとして

神様がきっと

そう設計したから


君と僕とは

きっと似ていて

ため息さえ


きっと似ているから

憎しみ合うこともあれば

きっと似ているから

こんなに求め合う


喜びや嬉しさがあって

失いたくない

守りたい

こんなにも

こんなにも


初めから神様が

そう設計したなら

涙だって

きっとオートマタでも流せる


だけど

君と出会い

離れて

この揺さぶられる感情は

この心の衝動は

他の誰でもなく

この僕だけの


たとえその涙が

機械仕掛けだったとしても


神様がそう

設計したのだとしても

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