第九章 絶命剣『死狂』 その二
――三十分後。
「中々壮観なものだな、豪雨の中の決闘とは」
白い甲冑を身にまとった草薙が崩壊したビル街の道路を我が物顔で闊歩する。空から地上から見守る者は多数いるが、相対するのは黒い武者である狂四狼ただ一人。
「決着ノ時ダ」
「この戦いをどう思う?」
「?」
「『この世は不条理で不平等だ』と、諦めてきた者達の反逆だ。この戦いは虐げられてきた弱者が権力者に放つ悪足掻きの一撃のような戦いだ。常に日陰にいた者達が立ち上がったこの戦いは彼らの希望となるだろう……」
「……」
「それを貴様は止められるのか?」
「愚問」
それは耳当たりの良い言葉だが、弱者と強者の入れ替えに過ぎない。そしてそれが争いの連鎖を生む。このような強引なやり方では駄目だ。先人の築いた平和を放棄することとなる。誰も安心できない世の中になる。そんな世界はうんざりだ。
狂四狼は黒い小袖を脱ぎ、暁ノ鴉を低く構えた。
「最早暴力でしか語れぬ、力こそが全てだ。この俺を止めてみろ!」
「地獄三刀流、不死身狂四狼。刀名、暁ノ鴉。参ル」
「無心二刀流、草薙空我。刀名、空紅ノ王。来いッ」
草薙がゆっくりと両腰にぶら下げている空紅ノ王と呼んでいた二本の野太刀を抜刀しようとしている時、狂四狼は脱いだ黒い小袖を草薙に向かって投げた。
この時、狂四狼は前田上官と立てた作戦の内容を思い出す。草薙空我の改造人間としての特性、それは電磁気を操ること。その中でも特に注意すべきは『電磁殺界』と呼ばれる防御術だ。
草薙は全身から常に電磁波を放射し、周囲をレーダーのように索敵しているとのこと。その力を用いて高速に飛来する金属を探知すると、脳と脊髄と各筋肉に電撃パルスが流れる。そこで『加速装置』と呼ばれる思考の加速と、『自動人形』と呼ばれる体の回避動作を始めるとのことだった。
これにより遠くからの暗殺はほぼ不可能に近い。それどころか加速装置の対策方法がないと戦闘にもならない。
前田上官は「狂四狼、お前も『加速装置』を使うのだ」と言った。必要な加速剤と呼ばれる薬剤は草薙が現れた時に既に服用している。後は思考の加速を強く念ずるのみ。そして現在、狂四狼の右奥歯には爆発能力の起爆スイッチがあり、左奥歯には自己暗示により思考加速を脳に促すスイッチが埋められていた。
『加速』
カチッと左奥歯を鳴らす。
自分自身の肉体を含む全ての物体が運動を減速させ、狂四狼の思考のみが弾ける。雨粒の一つ一つがゆっくりと認識できるようになり、やがて静止した。全ての音を置き去りにし、眼前には静寂の空間が広がるのみ。
(動けぇぇぇええええええ!)
何もかもが静止した世界で、右奥歯に力を込めると狂四狼の左足が大爆発を起こした。
爆発の衝撃を受け、狂四狼の体が弾丸のように撃ち出される。制止した雨粒を掻き分けるように進む。
しかし草薙はこの動きをまだ『電磁殺界』で感知することはできない。
狂四狼と草薙の間には投げた黒い小袖が舞っていた。その黒い小袖にはアルミシートが三重に貼られており、これが電磁波を反射させている。つまりは強烈な目眩ましだ。
狂四狼の肉体が音速の領域、つまりマッハに到達した時、狂四狼は自分の投げた黒い小袖を突き破った。ここからは『電磁殺界』の探索に引っ掛かる。しかし残る距離は二間弱、反応速度が0・0一秒以上ならば即死させることが可能だ。
そして迫る草薙の体、狂四狼は暁ノ鴉を胴へと走らす。
(これはッ!)
その時、加速された世界で狂四狼は見た。
空紅ノ王が発光していた。稲妻のような強烈な電気を帯びていたのだ。『自動人形』が最適な動きを算出し、肉体が動作を開始したのだ。
『電磁抜刀』
ゆっくりと、しかし確実に、鞘から空紅ノ王の一刀が右脇腹を保護するように射出される。 狂四狼の暁ノ鴉が僅かに間に合わない。
(ッチィィ!)
そして時は動き出す。
爆発により加速された狂四狼の体は減速の術を知らず、強烈な体当たりとなって草薙に向かった。地面に穴を穿ち続ける最中に草薙は言った。
「まさか俺の音速の世界に入ってくる者がいるとは思わなかったぞ! だが、そこまでだ!」
「マダダ!」
体勢が良い。狂四狼の体は上へ、無理な形で受けることが精一杯な草薙の体は下へ固定されている。やがてその位置関係を保ったまま二人の動きは止まった。
狂四狼はこのまま暁ノ鴉を用いて地面へ縫い付ける形で圧殺を試みる。
しかし下に位置する草薙が足で狂四狼の胸を押すように付ける。狂四狼は巴投げが来ると認識し、重心を下げ、受けに回ろうとした。その時、バチバチと電撃が走った。
狂四狼は驚きと電撃の衝撃で腰が引けてしまった。
その隙に草薙によって後ろへ投げ付けられてしまう。
「やるじゃないか。実を言うと貴様の体を見た時にはガッカリしたものさ。肉体の欠損が激しくてな。しかしお前は他の改造人間とは違うらしい」
「グッ……」
投げ飛ばされた狂四狼は追撃が来ると予測し、直ぐに暁ノ鴉を握り、体勢を立て直す。
だが狂四狼が草薙を見た時、追撃よりも恐ろしい未来が視えた。思わず大きく跳躍して距離を取る。
「ようやく強敵と出会えた……本気で行くぞ」
草薙が小袖と袴を脱ぎ払うと、体中に仕込んだ十個ほどの鉄球が現れた。その一つを握り込むとまるで野球選手のように思い切り振り被る。
『電磁加速砲』
重さ一貫ほどの鉄球がマッハ二の速度で投じられる。
かつて久我が歩兵砲を足で受け、僅かに軌道を逸らすことに成功した。しかし砲弾の質量は同程度とは言え、歩兵砲の速度はマッハ0・六ほどである。運動量ならば三倍強、運動エネルギーならば十倍、とても受けられない。
『地獄三刀流・乱走』
狂四狼は再び爆発能力も用いて走り出す。しかし通常の速度のみを重視した走り方ではない。乱走とは対人武術において使用される、間合いを計らせない緩急を付けた独特の走法である。
今回狂四狼はこの技を相手から見て横向きに、水平に移動するのに用いた。相手が飛び道具を用いる際の捕捉を振り切るためだ。
『加速』
加速放射され、熱を持ち、湯気をまとう鉄球が地面を掘り構築物を破壊していく様を見て、戦慄しながら、狂四狼は鉄球を避け続ける。
一発、二発、三発、避ける。
四発目で背中に浅く鉄球が食い込み、回転を伴う角運動量が発生する。体を引き摺られるような強い衝撃が狂四狼を襲う。それでも加速された世界で冷静に弾道を見極め、身体のバランスを崩しながら五発、六発躱した。
しかし七発目が無情にも狂四狼に腹部を正確に捉える。
『爆発を伴う甲冑』
爆発反応装甲と言う物がある。装甲は二重になっており、敵の砲弾が外側の装甲に命中した時に、二つの装甲の間に挟まれている爆薬が爆発し、敵の砲弾の威力を下げるつつ内側の装甲を保護するという物だ。
狂四狼は両腕と右足で砲弾を受け、接触と同時に甲冑を爆発させた。
これにより、腹部を局所破壊する筈であった砲弾の威力は爆発の衝撃を受け、減衰。代わりに減衰させた運動量と運動エネルギーに等しい衝撃を、狂四狼は爆発を引き起こした両腕と右足全体で受けることとなった。つまり局所破壊を避け、より広い面で衝撃を受けることを選んだのだ。
弾けるように狂四狼の体全体が吹き飛び、背後にあった屋舎の外壁を突き破る。更に内壁も突き破り建物を挟んで反対側の道路まで転がり込む。
「ガッッ!」
狂四狼は血を吐いた。変身した状態では初めてのことだ。
「死の足音が聞こえるな、不死身狂四狼」
「…………」
全身を強く打った。戦闘機から降りた時以上の衝撃が体内を走り、内臓も傷つけた。けれど大丈夫……まだやれる。もし爆発反応装甲を使わなかったら腹を開けられ死んでいた筈だ。
草薙は仕留めたと思っている。そこに付け入る隙がある。
狂四狼もそうであるように、恐らく草薙も加速装置の連続使用はできない。今までに加速装置を打ち破った者はいないのなら、加速装置に頼った戦いしかしていないのなら自分に分があると狂四狼は確信する。
狂四狼は一気に跳ね起きると暁ノ鴉で斬り付けた。
「動けるのか!」
「チイイイイイイ!」
今も『電磁殺界』は有効、下段からの一撃を草薙はほぼ無意識のまま右腕の空紅ノ王で受ける。
『爆発を伴う斬撃』
暁ノ鴉を起爆させ、爆発力で圧し潰す。空紅ノ王を一本共、思い切り打ち上げる。
「もう、一つ……」
右足の諸刃の刀を起爆させ、天に向かって蹴り上げる。振り下ろされる左腕の空紅ノ王を弾いた。
これで草薙の全身ががら空きとなる。
『地獄三刀流・羅刹突き』
「祈レ」
狂四狼は下から斜めに差し込むように左腕の脇差で草薙の左胸を突き刺した。さすが改造人間の変身形態、発達した大胸筋と肋骨に刃が塞き止められる。しかし脇差を爆破させ、大胸筋と肋骨を剥がすように刃を引き抜く。
そして暁ノ鴉を持ったまま右腕の拳で心臓の上から潰すように殴る。更に爆発の力も加え、、心臓に衝撃を与える。通常の人間ならその一撃で心臓は完全に破裂し、敵は絶命する筈、改造人間でも心停止ぐらいは望める。
「おの、れ……ッ!」
草薙が吐血し、左胸を突かれた衝撃で後ろへ倒れ込む。
「勝利ダ……」
そう確信して追撃を怠ったのが誤りだった。
『電磁蘇生』
草薙の胸が電撃によって跳ね上がる。心臓を圧迫しているようだった。
草薙の心臓の拍動が戻り、次の瞬間には草薙は上半身だけを上げ、空紅ノ王を二本前に差し出す。
すると空紅ノ王が二本の電極となったのか、二本の間で火花放電が起きた。バチバチと雷が起こる。
「ナ……」
それだけに留まらなかった。二本の空紅ノ王の間で電弧放電が起き、激しい発光が起こる。日本の刃の中心、根元に青白い火球とも言うべきプラズマが生成されると、草薙は二本の空紅ノ王の間の幅を広げた。凡そ三千度ともなる火球は雨粒を含む大気を吸っても縮小せず急激に膨張、半径五尺程度まで成長する。
「ナニ……」
『電磁加速』
空紅ノ王と言う長い野太刀を発射台として火球は十分に加速され、マッハ六という速度で狂四狼に向かって弾き出された。
「ッッオオ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」
狂四狼は火球に向かって左腕の脇差を音速で突く。
だが、脇差はミシミシと音を立てて砕け散った。左腕の肘から腕まであった生身の部分も破裂して血と肉と骨が散り散りになって肩まで霧散した。
そして狂四狼は真っ白な光に包まれた。そして次に広がる闇は血液が脳に届かずグレイアウトしたことを示す。
衝撃波により大量の窓ガラスの割れる音、ありとあらゆる建築物に亀裂が入り倒壊する音は半分しか聞こえなかった。左耳の鼓膜が破れたからだ。
「――あぁ……」
全身から出血し、力が抜ける。甚大な量の血の軌跡を描きながら遥か後方、一町ほどの距離までボロ雑巾のように転がり続け、交差点のど真ん中、瓦礫の山にぶち当たる。
何も感じなかった。致命傷を受けたことを直ぐに理解した。黒い甲冑がボロボロと泥水の中に剥がれ落ち、変身が強制的に解かれる。
「…………………………………………まだ、だ……立たねば……」
震える手で暁ノ鴉を鞘に納刀し、杖のように大地に立てる。
グレイアウトした視界が少しだが、回復する。狂四狼は暁ノ鴉の鏡面を隻眼で覗いた時、軽く驚いた。
「な、んだ……これは……」
震え、恐怖し、醜悪に歪んだ自分の顔がそこにはあった。
(何に怯えている……?)
簡単な問いだ。
(俺は今……死に怯えている。のか……? ……何度死線を彷徨ったと思っている。俺は兵士だぞ……)
満月を犯そうとした夜、満月は「私は旦那様自身も知らないことを知っているつもりです」と言った。
(俺は自身も知り得なかったこの臆病者の俺自身のことを知っていたということか……)
鳳凰海運の王威は死の間際に「なぜ、そんなに××××なのだ」と言った。あれは「なぜ、そんなにつらそうなのだ」と言ったのだ。
(俺は人を一方的に惨殺することで復讐されることに怯えていたということか……)
満月と逃げ出そうとした夜、風助は「先輩はこんな時、そんな顔をするんですね……」と言った。
(俺は満月の身を案じる振りをして風助に嬲り殺しに遭うことを恐れていたということか……)
鷹山警察監に「君は死にたいのかね?」と問われた時、「……死を望んでいる訳じゃない、それでも俺は死に値する人間だ」と答えた。それがこの様だ。中々滑稽じゃないか。
「死……」
「そうだ」
目の前には白い武者が、空紅ノ王二刀を引き摺りながら悠然とたたずむ草薙が、見えた。
これを最期の殺人にしよう。これからは日の当たる場所へ行こう。誰にも恨まれることなく死の影に怯えることなく全うに生きよう。そのために責任を果たし、生き残る。そう誓いを立てた。
大地に立てた暁ノ鴉に体重を預け、変身の解けた狂四狼はなんとか立ち上がった。全身から血が流れ出る。あまりに大量の血が滴るので地面に血溜まりができ、更に鉄製の鉛を仕込んだ暁ノ鴉の鞘が血で満ちている。
「なぜ立つ? なぜ戦おうとする? 本気で俺を止められると思っているのか?」
「…………」
「何が貴様をそこまで追い立てる? それは正義か? 平和か? 自由か? それとも愛のためか?」
「…………決めたからだ」
二、三歩、草薙が怯え、引いた。
「変身が解けたからと言って油断はしない。次の攻撃が史上最強にして最狂にして最凶の一撃だ。それで決着をつけよう」
草薙が大きく後ろへ跳躍した。
それを見届けたのを最後に、狂四狼の視界が完全に消失した。変身後の身体の欠損の後遺症が今頃来た。今度は残った右目を失明したらしい。
絶望的、だがやることは決まっている。最後まで信じ、抗い、戦うのだ。
『加速』
生涯最後の加速、無理でも使用しなければならない。カチッと左奥歯を鳴らす。
光のない闇の世界で、無音の世界で、撫でる空気を舌で感じ、降る雨粒を肌で感じ、焦げつく町の臭いを鼻で感じ、そして生を感じる。全身の感覚を研ぎ澄まし、その時を待つ。
草薙空我、お前が受ける刃はこの世で最も儚く、脆く、か弱い一撃だ。その最弱がお前を討つ。
そして不死身狂四狼は明日を掴むべく備える。
白
白
白
(俺は何を捨てたのか、何を手に入れたのか…………)
狂四狼の頭部が吹き飛んだ。
不死身狂四狼、即死。
不死身狂四狼ノ秘剣、絶命剣『死狂』、生涯ヲモッテモ完成ニ及バズ。
****
不死身狂四狼の命が尽きる十秒前のことである。
大きく二町ほどの距離を取った草薙は狂四狼の異様な気配を察知し、攻撃をためらっていた。
(なぜそんなに穏やかでいられる? これから貴様は死の闇に葬り去られるというのに、なぜそんなに達観していられる? 何か策があるのか?)
『無心二刀流・天魔鏖殺の構え』
これから放つは天も魔も皆殺しの秘剣である。草薙は二本の空紅ノ王を左右の腰に下げている鞘に納刀した。体の力を抜いたその姿は全てに対応できるよう自然体に近い。抜刀術の究極奥義、鞘の内の勝利、それは構えないという構えだった。
(どんな攻撃がこようともその前に決着を付けてやる。死んだことにも気付かぬ一撃だ)
白い武者の甲冑は鉄でできていた。故に『電磁加速』を用いて身体全部を加速させることも可能。『電磁加速』で加速し、『電磁抜刀術』で抜刀する。最速無比の抜刀術。
草薙が駆けた。
『大悲観音、地獄の三章を破る者なり』
第一加速
『大慈観音、餓鬼の三章を破る者なり』
第二加速
『獅子無畏観音、畜生の三章を破る者なり』
第三加速
『大光普照観音、修羅の三章を破る者なり』
第四加速
『天人丈夫観音、人間の三章を破る者なり』
第五加速
『大梵深音観音、天道を能化する者なり』
最終加速
秘剣、断命剣『昼月』
どんな攻撃が来ようとも思考の加速で見抜ける筈だ。加速装置はとっくに働いている。
長い滑走路、肉体は六段階の加速を経てマッハ四に到達した。その肉体が持っている空紅ノ王はマッハ一の速さで抜刀される。相対速度マッハ五の居合が加速された意識の中でゆっくりと放たれる。二本の空紅ノ王の刃が不死身狂四狼の頭部を左右から切断に向かう。
(何もない! やはり力尽きていたか、不死身狂四狼!)
――その瞬間である。
ゆっくりと左右の刃が頭部に到達したその瞬間、杖代わりにしていた狂四狼の暁ノ鴉の鞘がやや前に傾きながら大地にめり込み、大地に小さな無数のひび割れを作った。
(ッッ!)
草薙が認識した時には既に狂四狼の頭部は宙に舞っていた。
狂四狼は即死している筈である。しかし、杖代わりにしていた暁ノ鴉は鞘を強烈な土台として、前方上空に向けて発射されていた。
草薙はなぜ狂四狼が『電磁抜刀術』と似た『爆発を伴う抜刀術』を行わないのかを理解した。爆発の破壊力が強すぎたのだ。恐らく通常の居合術の鞘に爆発を仕込むと力が強すぎて鞘を支えきれず、鞘が後ろに跳び出すだけの失敗作になっていた筈だ。
(だ、だが……例外がある!)
大地と言う強大な土台を得た時に限り、その居合は成立する。準備はできていた。暁ノ鴉の鞘は既に爆発の材料となる己の血で満ちている。
(しかし――)
斬られてから斬るなんて事ができるのか――?
(首を刎ねられた後も十八か月間、生存していた鶏の事例がある。脳死した蛙の足に酸を垂らすと筋肉が反射で動き出すという事例もある。しかしこの例はあまりにも狂って……)
万全と思われた秘剣、断命剣『昼月』も攻撃の瞬間だけは防御ががら空きであった。
一刀が修羅を舞う。
それは冥界からの一撃。
絶命剣『死狂』
下から天に向け抜刀された暁ノ鴉は首のない狂四狼の隻腕である右腕によって反転し、鞘内の爆発力をそのまま受け取りながら草薙空我の正中線を真っ二つにした。
(これが俺の死……
草薙空我、即死。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます