第15話 登場!おじさんズ
セバスお爺さんが町を歩き回って、何人かのおじさん達を集めてくれた。
「キャンバル様。町で戦える人材を集めました」
というのも、噴水に魔石を投げて入れたいんだけど、うちに魔石は全然ないらしい。
魔石を取りに行きたいと相談すると、魔物というのを狩る必要があるらしくて、そのための狩人チームを編成しようという話になった。
リーダーはジェラルドさん。
おじさんズが6人。
そして、僕。
僕が参加する理由は魔物との戦いでケガをする人が出る事も多いらしくて、すぐに回復魔法が使える僕が一緒に行った方が良いだろうというセバスお爺さんの作戦だ。
うちの町の周辺には弱い魔物ばかりという事だから、おじさんズでも武器を持っていけば十分だというけど、本当に大丈夫かな?
屋敷に常備していたという長い槍を6つ持ってきてくれて、おじさんズがそれぞれ持つと、意外と強そうに見える。
「キャンバルさま~ここはおでたちに任せといてくだしぇ~」
「そ~だ~そ~だ~」
うん。
僕でも分かる。
凄く不安だ。
◇
ジェラルドさんと共にジアリス町から出て南方面に向かって歩き始めて数十分が経過した。
うちの町のすぐ近くは土ばかりで、緑色は全くないのに、ここまで歩いてくると地面にポツポツと緑色が見え始め、地平線の向こうには木々がチラチラと見え始めた。
ただ、それよりも気になるのは広い荒野に見えている緑色の
「キャンバル様。向こうに見えるのがオークという魔物でございます。オークにもいくつかの種類がございますが、荒野オークと呼ばれており、オークの中では珍しく群れではなく単体で行動する種族でございます」
ジェラルドさんがしっかりと説明してくれる。
あれは荒野オークね。ちゃんと覚えておこう!
「では無理はせず、教えたやり方で狩りを行う! 今回の目標は魔石なので倒す事だけを念頭に置いておけ!」
「「「「はっ!」」」」
おじさんズが元気に返事をする。
僕もやってみたいけどタイミングがよくわからない…………今度はちゃんと参加できるようにおじさんズについていこう。
一番近くの荒野オーク1体に向かってみんなで走り出す。
意外とおじさんズが早くて追いつくのに精いっぱいだ。
「いぐで~!」
一番前のおじさんがオークの脚を槍で突く。
続いて順番通りにもう片脚を突いて、右腕、左腕を突くとオークが動けない状態となった。
そこで残り二人が腹と頭に槍を突いて、一瞬のうちにオークが倒された。
ただ、オークに槍を突いた時に緑色の血液が溢れるのが凄くグロテスクだった。
「キャンバルさま~辛くないだが~?」
「はい!」
「偉いだべ~うちのガキもこだなぐらいりっぺぇに育って欲しいべ~」
…………??
おじさんズって何を言っているのか良く分からない。
これが…………異世界言葉の壁なのか!(注。ただの方言です)
それからおじさんズは苦労する事なく、次々オークを倒しては心臓部分から魔石を集めてくれた。
「ジェラさま~こいづはやべーべー」
順調にオークを倒しまくっていたおじさんズが足を止められたのは、今まで倒してきたオークよりも一回り大きいオークで、今までが大体2メートルくらいだったのに対して、目の前のオークは3メートルくらいの身長に全身に血管が浮き出て筋肉もムキムキでめちゃくちゃ強そうなオークだ。
「オークの中でも時折生まれる強い個体――――それを特別個体と呼びます。どの種族にも必ず特別個体は存在します。このオークもまた特別個体なのでしょう」
特別個体ね! ちゃんと覚えておこう。
「さて、特別個体は俺が相手しよう。皆さんはキャンバル様を守っていてくれ」
「いいど~」
そして、剣を抜いて大きなオークと対峙するジェラルドさん。
一瞬の沈黙が続き――――オークが雄叫びをあげながらジェラルドさんに襲い掛かる。
動きだけでも今までのオークとは比べ物にならないくらい早いし、地面を蹴り飛ばした跡からも特別個体オークの強さを容易に感じられる。
しかし、
「まだ甘いな」
襲い掛かるオークの殴りをぴょいって避けて、剣でシュッで斬って、ヒュンヒュンと走り回るとまたジュバーッて背中を斬るとオークがその場で倒れた。
「凄い! ジェラルドさん凄い~!」
「すごいだ~さすがだべ~」
特別個体オークの魔石は他よりも一際大きかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます